デジタル大辞泉 「巴」の意味・読み・例文・類語
は【巴】[漢字項目]
〈ハ〉中国四川省東部の異称。「
〈ともえ(どもえ)〉水が渦巻いた模様。「
[名のり]とも
[難読]
能の曲名。二番目物。修羅物。作者不明。シテは巴の霊。木曾の国の僧(ワキ)が近江の粟津(あわづ)に着くと,社の前で涙を流している若い女(前ジテ)がいる。言葉をかけると,これは木曾義仲を祭った社だから,あなたも同国の人なら経を手向けなさいといって消え去る。僧が弔っていると女武者(後ジテ)が現れ,義仲に仕えた巴御前の霊であることを明かし,義仲の戦いぶりや死の前後のようすを物語る(〈クセ〉)。義仲が敗戦の混乱で乗馬を深田に踏み込み,動けなくなっていたのを,自分がここの松原に伴ってきて自害を勧め,寄せ手を追い散らして時をかせいだ(〈中ノリ地等〉)。戻ってみると義仲はすでに最期を遂げていたので,自分は形見の品を持って,遺言どおりに木曾に帰ったと物語り,なお弔いを頼むのだった。
現行の修羅物の中で唯一の女武者物である。義仲への思慕を描くなかで,女らしい薙刀(なぎなた)さばきを見せるというのがこの能の趣向である。
執筆者:横道 万里雄
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…ために毛が地についたままゆれて,髪を洗っているようにみえるところからこの名がついた。毛をぐるぐるとまわす型は〈巴(ともえ)〉と呼ばれる。なお,獅子の髪洗いは,たとえば長野県更埴市雨宮(あめのみや)の神事に,獅子が橋から水面すれすれに宙吊りになって獅子頭を振りまわす儀式(橋がかり)があることから,神事の獅子をめぐる民俗の反映が考えられている。…
…中国,四川省をさしていう語。巴とは現在の重慶を中心として,嘉陵江流域を含む四川省東部をさし,蜀とは成都盆地を主地域とし,岷(みん)江流域に広がる西部をさす。元来はいわゆる西南夷系統に属する異民族の住地であったが,その中で巴と蜀はさらに民族・文化系統を異にした。…
※「巴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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