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僧侶(そうりょ)の位階(僧位)の最上位で、僧綱(そうごう)位(僧階)の僧正(そうじょう)にあたり、法印大和尚(だいわじょう)位僧正という。その下が法眼(ほうげん)和尚位僧都(そうず)、法橋上人(ほっきょうしょうにん)位律師(りっし)である。したがって本来は僧侶の取締りにあたる役人的僧侶の敬称で、定まった定員があったが、時代とともにその数を増し、のちに仏師や絵師の敬称にまで用いられるようになった。とくにこの僧位を乱用したのは修験道(しゅげんどう)であって、先達(せんだつ)であれば法印権大僧都(ごんだいそうず)を許された。したがって山伏の別称としていまも「法印さん」とよばれている。
[五来 重]
僧位の一つ,法印大和尚位(だいかしようい)の略。もとは仏教における真理のしるしを意味し,諸行無常・諸法無我・涅槃寂静(ねはんじやくじよう)を三法印とする。僧位としては864年(貞観6)に設けられ,僧正(そうじよう)に与えられる階位で,真雅が最初。僧正相当の僧位が原則であったが,1003年(長保5)石清水(いわしみず)八幡検校の聖清が凡僧にして法印に叙されてからは,この原則はしだいにくずれ,僧都(そうづ),律師にも授けられるようになり,員数も増加した。また1077年(承暦1)仏師の長勢が法印に叙されて以来,法体(ほつたい)をした仏師,医師,儒者,連歌師,画工などにも授けられるにいたった。
→僧位
執筆者:中井 真孝
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…この場合には,ダルマは,社会規範というよりも,解脱を窮極のものとする宗教的目標に人びとをいたらしめる〈正しい教え〉(教法),ないし〈真理〉を意味する。たとえば仏教では,〈諸行無常〉〈諸法無我〉〈一切皆苦〉〈涅槃寂静〉の四つ(あるいははじめの三つ)が,すべてのダルマの要約(法印)すなわち仏教の旗印であるとされた。なお,今日のヒンディー語では,仏教は,〈ボウッド・ダルム〉すなわち〈ブッダ(仏陀)の徒のダルマ〉といい慣わされている。…
…《金剛頂経》はシンボリスティックに表現された仏の世界を人間の世界の外側に実在的に措定し,〈象徴されるものと象徴それ自体は同一である〉というその瑜伽(ヨーガ。神秘的合一)の論理に基づいて,三密加持,すなわち,自己の身体的動作によって諸尊の動作を模し(羯摩(かつま)印),口にそれらの真言を誦し(法印),意にそれらを象徴する形象(三昧耶形(さんまやぎよう))を観想し(三昧耶印),かくて自己を実在界(仏の世界)の一個の象徴(大印,マハームドラーmahāmudrā)と化することによって即身成仏をはかるもので,純然たる密教を実現している。 タントラ仏教はかの世界の女性原理を般若波羅蜜(仏母,すなわち悟りを生む智恵)として認識し,それを生身の女性(大印)と同置し,それと性的に瑜伽(合一)することによって中性的真実在の現成(悟り)を期するもので,通常は左道密教として嫌悪されるが,その本質はインド的精神性の原点への復帰現象とみなしうる面をもつ。…
※「法印」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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