カント(線路)(読み)かんと(英語表記)cant

翻訳|cant

日本大百科全書(ニッポニカ)「カント(線路)」の解説

カント(線路)
かんと
cant

線路の曲線部で車両が外方に倒れるのを防ぐために、外側レールを内側レールより高くする度合いをいう。列車が速い速度で曲線部を走行すると遠心力が働き、車両は外側に転覆しようとする動きを示す。したがって内側車輪にかかる重量が減るので、車輪が浮き上がって脱線するおそれが生じる。曲線部の半径とその曲線部を通過する際の列車速度に応じて外側レールを高くすることにより、遠心力と重力の合力をできるだけ軌道の中心に作用させ、列車が安全に曲線部を走行できるようにするのがカントの働きである。

 カントは、円曲線の前後で徐々に変化させなければならない。つまり、急激な変化により車両の安全な走行に支障を及ぼすことのないよう、円曲線のカント量、運転速度、車両の構造等を考慮して、相当の長さにおいて徐々に0まで減らしてゆく必要がある。

 普通鉄道のカントはC=GV2/127Rの式で求められる。Cはカント、Gは軌間(以上単位ミリメートル)、Vは速度(キロメートル/時)、Rは曲線半径(メートル)である。実際の列車は速度がまちまちなので、カントは平均的な速度に適応してつけられる。しかし、カントを高くしすぎると、低速度の場合に、車体傾斜乗客乗員に不快感を与えたり、風の影響等が重なって車体が曲線内方に倒れるおそれがある。このため最大カントが決められ、JRでは在来線で105ミリメートル、新幹線で200ミリメートルとなっている。

[大澤伸男]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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