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シギ Scolopacidae; sandpipers, curlews, snipes

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

シギ
Scolopacidae; sandpipers, curlews, snipes

チドリ目シギ科の鳥の総称。全長 12~66cmの地上採食性の鳥で,約 95種からなる。一般に頸,脚,が長く,尾は比較的短い。は通常細長くてまっすぐだが,上方にそったり,下方に湾曲したり,へら状になったものなどもある。羽色は雌雄ともよく似ていて,夏羽(→羽衣)は赤褐色や黒色になるものもあるが,冬羽はだいたい褐色や灰色など地味である。多くの種は北半球北部のツンドラや草原で繁殖し,繁殖を終えると長距離の渡りをして冬は熱帯南半球で過ごす。春と秋の渡りの途中に温帯の海岸,湿地,水田,草原などに渡来し,日本でもこれまでに 58種が観察されている。代表的な種にはエリマキシギキアシシギキョウジョシギダイシャクシギタシギハマシギヤマシギなどがある。ヤマシギはシギ類でも珍しく留鳥で森林にすむ。なお,科は異なるが,タマシギ科,セイタカシギ科などの鳥もシギと呼ばれる。(→渉禽類

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

シギ
しぎ / 鷸・鴫
sandpiper

広義には鳥綱チドリ目シギ科およびその近縁の数科に属する鳥の総称で、狭義にはシギ科の鳥だけをさす。すなわち広義のシギにはシギ科Scolopacidae81種のほか、タマシギ科Rostratulidae2種、セイタカシギ科Recurvirostridae7種、ヒレアシシギ科Phalaropidae3種などが含まれる。[高野伸二]

形態

体の大きさは大小さまざまで、全長約15~60センチメートルと幅がある。嘴(くちばし)は細長く、まっすぐなもの、下に曲がっているもの、上に反っているもの、へら形をしているものなどいろいろである。頸(くび)は長めで足も長く、種によっては体に比べて嘴や頸が著しく長い。体色は一般に上面が灰褐色、下面が淡色でじみであるが、夏羽になると赤褐色や黒色になったり、胸や腹に黒斑(こくはん)が出たりする。翼や腰に、白帯や白斑のある種が多い。足の色は、赤、黄、緑、黒褐色などである。[高野伸二]

生態

多くの種は北半球の極北部の草原で繁殖する。雄は繁殖地の上を鳴きながら飛び回って縄張りの宣言をするが、木の枝や杭(くい)に止まったままで鳴くこともある。また、縄張りがあまり明瞭(めいりょう)でなく、比較的狭い範囲に数つがいが巣をつくる種や、一雄多雌で繁殖する種、エリマキシギのように集団交尾場をもち、乱婚的な繁殖をする種もある。地上のくぼみや草の根元に、枯れ茎、細い枯れ枝、枯れ葉などを使って皿形の巣をつくり、そこに4個の卵を産む。卵は洋ナシ形で、灰色やクリーム色の地に黒褐色の大きな斑紋がある。雌雄交代で約4週間抱卵する。かえった雛(ひな)は綿羽に包まれており、孵化(ふか)後数時間で親鳥に導かれて巣を離れる。外敵が卵や小さな雛に近づくと、親鳥は翼を垂らして地面をはうように動き回り、敵の注意をそらそうと擬傷動作をする。北半球の高緯度地方で繁殖する多くの種は渡り鳥で、赤道を越え南半球で越冬するものも少なくない。[高野伸二]

日本のシギ類

日本では54種が記録されているが、旅鳥として春と秋に渡来するものが多い。ホウロクシギ、チュウシャクシギ、オオソリハシシギ、オバシギのように海岸や河口の干潟でおもに餌(えさ)をとるものと、タシギ、クサシギ、オジロトウネン、タカブシギのように内陸の淡水の水辺をおもな生息地としているものとがある。また干潟にも淡水にもいる種もある。主食は、貝、カニ、ゴカイ、トビムシなど動物質である。日本で繁殖するものは、タマシギ、イソシギ、アカアシシギ、オオジシギ、ヤマシギ、アマミヤマシギ、セイタカシギの7種で、タマシギは九州、四国、本州の水田や湿地、イソシギは九州、本州、北海道の川原、アカアシシギは北海道東部の湿原、ヤマシギは本州以北と伊豆諸島の山林、アマミヤマシギは奄美大島(あまみおおしま)の林、セイタカシギは本州中部の干拓地などで繁殖する。日本で定期的に越冬する種には、タマシギ、イソシギ、クサシギ、オジロトウネン、ハマシギ、ミユビシギ、ダイシャクシギなどがある。長い渡りをするだけに迷鳥として渡来する種類も多く、わが国から1~数回の記録があるだけのものに、ヒメウズラシギ、コモンシギ、シロハラチュウシャクシギ、ハリモモチュウシャク、アシナガシギ、オオキアシシギなどがある。[高野伸二]

人間生活との関連

シギ類は肉の味がよいので古来、狩猟鳥として珍重されてきた。しかし現在では、狩猟鳥として法律的に認められているのはタシギとヤマシギのみで、他の種はすべて狩猟を禁じられている。銃猟のほかに、剥製(はくせい)(型おとり)を浅瀬に立てておいて笛で群れを呼び寄せ、鳥が着地しようとする寸前に無双網をかぶせる猟法があったが、これも現在ではほとんど行われていない。また古来、シギ類は詩歌の対象としても親しまれている。[高野伸二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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