パーソンズ(Sir Charles Algernon Parsons)(読み)ぱーそんず(英語表記)Sir Charles Algernon Parsons

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

パーソンズ(Sir Charles Algernon Parsons)
ぱーそんず
Sir Charles Algernon Parsons
(1854―1931)

反動型蒸気タービンを発明したイギリスの機械技術者。ロンドンに生まれる。父親は望遠鏡の製作で知られる天文学者ウィリアム・パーソンズである。ダブリンとケンブリッジ両大学を卒業後、蒸気力利用に関心をもち研究、考案を始めた。1774年にワットが発明した蒸気機関は、ピストンの往復運動を遊星歯車あるいはクランクを用いて回転運動に変えるものであった。それ以後多くの技術者が、蒸気を直接車の周囲に取り付けた羽根に吹き当てて回転運動を得ようという考えをもち始めた。1880年代に発電機を回すために回転数の大きい動力源が必要となってきた。パーソンズは高速回転しても十分に安定で強度の大きい車輪を製作すること、その材料となる金属が熱に対して強いこと、蒸気をむだなく有効に使うくふうをすることなどの問題を解決して、1884年に最初の蒸気タービンを製作し、特許を取得した。1889年ニューカッスルの近くヒートンに会社を設立し、タービンの製作を始めた。その後タービンの性能向上に努め、次々と改良を行い、1891年に復水器付きのタービンをつくった。1897年にはビクトリア女王の在位60年祭に催された海軍観艦式において、パーソンズのタービンを備えたタービニア号が34.5ノット(時速63.9キロメートル)というかつてなかった速度で走った。蒸気タービンは回転速度が大きいので、船の推進プロペラを回すために歯車を使って回転速度を小さくする必要がある。パーソンズは歯車減速タービンを1910年に発明し、そのため蒸気タービンは船舶用動力機械として用いられるようになった。また火力発電所において発電機を動かすのにも使用された。1931年2月ジャマイカのキングストン沖の船中で死去した。

[中山秀太郎]

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