日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボス(責任者、指導者)」の意味・わかりやすい解説
ボス(責任者、指導者)
ぼす
boss
オランダ語のbaas(主人)から出たことば。アメリカからの外来語として日本語化したもので、町の顔役、親分といったあまり好ましくない意味で使われるが、元来は集団の責任者や指導者をさす。職業集団では雇主、直接の上役、職長といった自分に命令を発する人、ないし自分が職務上服従関係にある人をさす場合に使われる。政治集団では政党の領袖(りょうしゅう)や各派閥の代表をさす。反社会的なギャング集団では親分を意味し、ここでは、ボスと子分との関係は身分的なものであり、ボスの命令に対しては子分は絶対服従が要求され、違反に対しては厳しい制裁が課せられる。これらギャング集団とか日本のやくざ集団などのボスと部下の身分関係の実証分析のみならず、産業界、政界、教育界、地域社会、学校集団内のボスの分析は、派閥の中心人物としてその影響力が強いだけに、社会学にとって無視できない研究分野をなしている。
[高島昌二]
『丸山真男著『増補版 現代政治の思想と行動』(1964・未来社)』▽『岩井弘融著『病理集団の構造 親分乾分集団研究』(1963・誠信書房)』▽『M・ロイコ著、宇野輝雄訳『ボス シカゴ市長R・デイリー』(1973・平凡社)』