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ミサ曲 ミサきょくMass

翻訳|Mass

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ミサ曲
ミサきょく
Mass

ミサの各種典礼文につけられた曲。典礼文はミサ固有文ミサ通常文に分けられ,両者とも本来,単旋律のグレゴリオ聖歌旋律によって歌われた。多声音楽が発展すると,グレゴリオ聖歌旋律のほかにまったく新しい旋律によって多声の作曲が試みられるようになって,15世紀頃からミサ曲は,一般に5つのミサ通常文を一貫して多声的に作曲したものをさすようになった。また死者のためのミサ曲は「レクイエム」といって区別される。

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百科事典マイペディアの解説

ミサ曲【ミサきょく】

ミサ典礼文の中の通常式文ミサ)に作曲された音楽で,1.求憐誦キリエKyrie,2.栄光誦グロリアGloria,3.信経クレドCredo,4.三聖頌サンクトゥスSanctus,5.神の小羊アニュス・デイAgnus Deiからなるのが普通。
→関連項目イザークオブレヒト合唱ガブリエリカリッシミキリスト教音楽ケルビーニジャヌカンスカルラッティダンスタブルチマローザハイドンハスラーバードバンショアビバルディフランドル楽派ブルゴーニュ楽派モテットモラーレスラッスス

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世界大百科事典 第2版の解説

ミサきょく【ミサ曲 mass】

カトリック教会のミサの式文から〈キリエ〉(あわれみの賛歌),〈グロリア〉(栄光の賛歌),〈クレド〉(信仰宣言),〈サンクトゥス〉(感謝の賛歌),〈アニュス・デイ〉(平和の賛歌)の5曲一組で作曲したものをいう。以上のような通常式文のほかに,ミサの挙式日や目的などによって定められた固有式文を併せて作曲したものもある。特殊なものに,死者のためのミサで歌われるレクイエムがある。プロテスタントでも,英国国教会ではカトリックのミサ曲がそのまま歌われることもあり,ルター派では〈キリエ〉と〈グロリア〉のみの〈短いミサKurzemesse(ドイツ語)〉の音楽が作られた。

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大辞林 第三版の解説

ミサきょく【ミサ曲】

ミサ典礼文のうち、教会暦によっても変化しないミサ通常式文を作曲したもの。一般には、キリエ・グロリア・クレド・サンクトゥス・アニュス-デイを基本として一曲に構成した五楽章形式をとることが多い。古典派以後は純粋に演奏会用の曲も作られた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ミサ曲
みさきょく
missa ラテン語 イタリア語
mass英語
messeフランス語
Messeドイツ語

今日一般には、ローマ・カトリック教会のミサにおいて、通常文(1年を通じて同一の式文で歌われる)とよばれる五つの部分、「キリエkyrie」(あわれみの賛歌)、「グローリアgloria」(栄光の賛歌)、「クレドcredo」(信仰宣言)、「サンクトゥスsanctus」(感謝の賛歌)、「アニュス・デイAgnus Dei」(平和の賛歌)を多声的に作曲した音楽をいう。また、「レクイエム」は「死者のためのミサ曲」とよばれるが、普通は別にして取り扱われる。
 歴史的にみると、14世紀以降、ミサ通常文は通作的で多声に作曲される習慣が生まれた。14世紀中ごろのギヨーム・ド・マショーによる『ノートル・ダム・ミサ曲』は、全通常文を作曲した記念碑的作品で、1人の作曲家の手になる「ミサ」としては最初のものである。このミサの「グローリア」と「クレド」を除く部分では、グレゴリオ聖歌の旋律が定旋律(基礎となる旋律)として用いられているが、これはこのころのミサ曲の特徴の一端を示している。
 15世紀に入ると、ミサ曲の創作は音楽活動のなかでも重要な位置を占めるようになる。とくにミサの各部分を同じ定旋律を用いて作曲していく「循環形式」が確立されるに伴って、ミサに統一的な要素が加えられていった。この点に関しては、ブルゴーニュ楽派を代表する作曲家ギヨーム・デュファイの功績があげられる。彼の後を受け、16世紀にかかる時代には、フランドル楽派とよばれる一群の作曲家が活躍するが、声部間で定旋律のモチーフを模倣していく「通模倣様式」を好んで用いた。とくにヨハネス・オケヘムやジョスカン・デ・プレなどが名作を残しており重要である。
 このころまでのミサ曲の定旋律としては、〔1〕典礼的なもの、〔2〕世俗的なもの、〔3〕新たに創作されたものなどがみられたが、世俗的な素材がより好まれていた。とくに世俗歌曲の『武装した人』は、多くの作曲家に定旋律として用いられた。16世紀の後半になると、パロディー(もじり)・ミサが愛好された。これは、自作の、あるいは他の作曲家による既存のモテットやマドリガーレなどを借用、ミサ曲につくりかえたものである。このころの、そしてまたミサ曲の作曲家として重要なパレストリーナのミサの大半は、このパロディー・ミサに分類される。
 パレストリーナの示した、作品における均整美は、その後の作曲家にとって模範として仰がれたが、17世紀以降、ミサ曲の創作には以前ほどの重要性はみいだされなくなっていった。また、それらの様式にも多様化が進んだ。そのようななかで、J・S・バッハによるミサ曲ロ短調(1733)と、ベートーベンの『荘厳ミサ曲(ミサ・ソレムニス)』(1823完成)は、真の傑作に位置づけられる。19世紀以後のおもな作品としては、ブルックナーの交響楽的ミサ曲や、ストラビンスキーの管楽を伴ったミサなどがある。[磯部二郎]

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世界大百科事典内のミサ曲の言及

【キリスト教音楽】より

…ただし,他の宗教にも数多くの宗派宗旨があるように,キリスト教にも,カトリックとプロテスタントの二大教会の別があり,それぞれの内部に数多くの教派があって,音楽的伝統も一様ではない。芸術的に見た場合,それらの中でとくに重要なのは,パレストリーナやベートーベンのミサ曲によって代表されるローマ・カトリック教会,バッハのカンタータや受難曲によって代表されるルター派のドイツ福音主義教会,パーセルのアンセムやヘンデルのオラトリオによって代表される英国国教会,ボルトニャンスキーの教会コンチェルトによって代表されるロシア正教会などである。 イエス・キリストの生涯を書き記した新約聖書の福音書には,ただ1ヵ所だけ音楽に言及した個所がある。…

※「ミサ曲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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