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モテット モテット motet

翻訳|motet

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デジタル大辞泉の解説

モテット(motet)

《「モテト」とも》13世紀以来ヨーロッパで発達した、聖書の詩編などを歌詞にもつ多声の宗教声楽曲。

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百科事典マイペディアの解説

モテット

中世からルネサンス時代にかけての多声音楽のもっとも代表的な形式。無伴奏の声楽曲が多い。オルガヌムから最初期の形態が生まれ,13−18世紀にヨーロッパ各地でさまざまに発展をとげた。
→関連項目イザークオケヘムオブレヒト合唱ガブリエリカリッシミシャイトジャヌカンジョスカン・デ・プレスウェーリンクダンスタブルドラランドハスラーバードパレストリーナバンショアビクトリアビバルディマショーモーツァルトモンテベルディラッスス

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世界大百科事典 第2版の解説

モテット【motet】

モテットはミサ曲と並ぶ宗教音楽の最も重要な作曲形式であるが,13世紀から今日に至る約700年の間に,一時は世俗化の方向へ傾き,また作曲技法や様式のうえで,さまざまな変遷を遂げてきた。時代的に大きく分ければ,後期ゴシックまでの中世のモテット,ルネサンス時代の合唱ポリフォニー様式のモテット,種々の作風をあわせもつバロック時代のモテット,18世紀後半以降ロマン派から現代に至るモテットに区分できよう。 中世のモテットは,オルガヌムorganum(ラテン語)と呼ばれる初期のポリフォニーの形態を母体として興った。

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大辞林 第三版の解説

モテット【motet】

中世・ルネサンスのポリフォニー歌曲の最も重要な楽曲形式の一。中世では各声部が異なる歌を同時に歌った。ルネサンス期には各声部共通の歌詞で模倣技法を中心とする様式に変化。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

モテット
もてっと
motet 英語 フランス語
Motetteドイツ語
mottettoイタリア語
motetusラテン語

宗教的声楽曲の重要な一形式。13世紀初頭に成立して以来、それぞれの時代の音楽形式の変遷に従って多様な変化を遂げたため、統一的な定義は不可能だが、ごく一般的には、ミサ曲を除く主としてポリフォニー(多声)様式による宗教的声楽曲の総称と考えてよい。
 モテットの語源は、「ことば」を意味する古いフランス語のmotに由来する。13世紀のノートルダム楽派オルガヌムでは独立した楽曲としての「クラウスラ」の上声部(ドゥプルム)は本来母音で歌われたが、それに新しい歌詞motが与えられたため、その上声部がモテトゥスとよばれ、やがて楽曲自体の名称もモテトゥスないしモテットとなった。聖歌に基づく定旋律の上に二つの上声部が置かれたものを二重モテット、三つ置かれたものを三重モテットという。これらの歌詞は、初めはラテン語だったが、しだいにフランス語、しかも世俗的な内容のものが多くなった。これはギヨーム・ド・マショーに代表される14世紀のアルス・ノバ期まで引き継がれたが、旋律を歌詞に関係なく休符を挟んだ短い断片にしてしまうホケトゥスのような特異な唱法や、同一リズム型の反復によるイソ・リズム(アイソリズム)という技法が多用された。
 15~16世紀になると、いわゆるルネサンス様式のモテットが多数作曲された。世俗性は完全に後退し、広くミサ曲を除いたポリフォニーによる宗教的声楽曲として、デュファイに始まりジョスカン・デ・プレで頂点に達するフランドル楽派から、パレストリーナに代表されるローマ楽派に至る傑作群を形成した。とくにパレストリーナにおいては、無伴奏のア・カペラ様式の演奏法が確立された。16世紀後半、ガブリエリに代表されるベネチア楽派では、合唱を分割する分割合唱(複合唱)様式が生まれたが、これはローマ楽派やドイツの作曲家にも大きな影響を及ぼした。
 宗教改革後のドイツ・プロテスタント教会では、ルターがジョスカン・デ・プレを高く評価していたように、フランドル楽派のモテットが演奏されたが、やがてコラールに基づいたコラール・モテットが確立された。シュッツはベネチア楽派の分割合唱や、通奏低音法に基づいたモノディ様式をドイツに導入した。器楽と声楽の協奏も含めた多彩なドイツ・バロック様式の頂点がJ・S・バッハのモテットである。
 フランスではリュリ、ドラランドらの壮麗なベルサイユ・モテットと並んでクープランらの繊細なプチ・モテも生まれ、イギリスではアンセムが生まれた。
 バッハ以後、つまり18世紀後半以降は、啓蒙(けいもう)主義の影響で宗教音楽そのものの重要性が薄れたためモテットの比重も小さくなったが、モーツァルトには『アベ・ベルム・コルプス』などの佳品も少なくない。19世紀以降もドイツではメンデルスゾーン、シューマン、リスト、ブラームス、とくにブルックナーが重要で、現代のディストラー、ペッピングなどは、ドイツ福音(ふくいん)教会を中心にモテットの復興に努めている。フランスにもグノー、フランクからメシアンに至る伝統がある。[樋口隆一]
『皆川達夫著『西洋音楽史 中世・ルネサンス』(1986・音楽之友社) ▽R・ヴリーゲン著『ポリフォニーに見る歓び』(1961・音楽之友社) ▽A・ジェイコブズ著、平田勝・松平陽子訳『合唱音楽――その歴史と作品』(1980・全音楽譜出版社)』

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世界大百科事典内のモテットの言及

【キリスト教音楽】より

ミサ曲)をはじめとする諸作品があり,また俗語を歌詞とする宗教的な歌曲ラウダlauda(イタリア)やキャロルcarol(イギリス)なども隆盛に向かった。 15~16世紀は,ルネサンスの古典対位法の作曲技法の完成によって,ミサ曲やモテットなどの合唱ポリフォニーの作品が,比類のない芸術的な高みに達した時代である。いくつもの声の旋律線が互いにからみ合って流れるポリフォニーの芸術は,慎重な不協和音の処理によって,みごとな陰影を伴った和声的な美しさを獲得したが,その効果はルネサンスの絵画における空気遠近法の効果に比べられよう。…

【中世音楽】より

…とくにパリのノートル・ダム大聖堂では,12世紀後半から13世紀前半にかけて,レオナンの2声の《大オルガヌム曲集》や,ペロタンの3~4声のオルガヌムに代表される多声の宗教音楽がつくり出された(ノートル・ダム楽派)。ある一曲のオルガヌムの特定の一部分(クラウスラ)の第2の声部に,新しい歌詞を与えて歌うことから始まったモテットは,そのような一種の替歌としてではなく,初めから2~4声の曲として作曲されるようになった。モテットではグレゴリオ聖歌の旋律が概して長い音価で最低部に置かれ,その上に第2,第3の声部が付け加えられるのが常であったが,新作の声部は,それぞれ異なった歌詞をもっていた。…

【ポリフォニー】より

…12世紀フランスのサン・マルシアル楽派において,ようやく声部のリズム的独立が認められるようになった。1200年前後のノートル・ダム楽派で登場したモテットでは,各声部がリズム的に異なる流れをもつばかりでなく,声部ごとに異なる歌詞(場合によっては異なる言語のもの)が歌われたという点で,声部間の独立性が極端なまでに推し進められたといえる。13世紀には声部数の増加に伴ってリズムを厳密化する必要が生じ,リズムの音価を詳細に規定する定量理論が成立した。…

【マショー】より

…46年に主君が戦死した後,マショーはジャン・ド・ベリー公(シャルル5世の弟)ほか,フランスの有数の貴族に仕えた。 マショーは,レー,ビルレー,バラード,ロンドーなどの形式による世俗歌曲約115曲,モテット23曲,ミサ曲1曲を残している。レー,ビルレーには単声の曲が多いが,その他の種目では,バラードの1曲を除いて,すべて2~4声で作曲されている。…

※「モテット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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