アメリカの現代作家ヘーリーAlex Haley(1921-92)の小説。1976年刊。アフリカから奴隷としてアメリカに連れてこられたクンタ・キンテとその子孫の生活を描いた長大な物語。ルーツの語には〈祖先〉〈精神的な故郷〉の意味がある。著者自身の祖先をたどった感動的な作品として,翌77年,ピュリッツァー賞を受賞。記録的なベストセラーになり,ABCテレビでドラマ化され,高視聴率を記録した。1970年代のアメリカに最も大きな影響を与えた書物であり,テレビ番組である。著者はこの作品を〈ファクションfaction〉(ファクトfactとフィクションfictionの合成語)と呼んだので,事実に基づいた小説とみることができよう。この作品に対する多少の批判はあったものの,大多数のアメリカ人から支持され,〈ルーツ〉の探索,アイデンティティの確認は一種の社会現象になった。クンタ・キンテの名は黒人連帯のひとつの大きなシンボルになり,《ルーツ》は黒人のみならず他の少数派民族をも力づける作品となった。
執筆者:常盤 新平
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…【端 信行】
[住民,社会]
住民はガンビア川の狭い両岸に居住し,人口密度は90.8人/km2(1993)と,アフリカとしては稠密である。おもに五つの部族があるが,A.ヘイリーの《ルーツ》で著名なマンディンゴ族の人口が最も多く,ガンビア川下流の沼沢地を開拓し,稲の栽培を行っている。マンディンゴ族は13世紀に東から入ってきたが,イスラムを持ち込み,ガンビア川流域に小王国を形成した。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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