デジタル大辞泉 「早」の意味・読み・例文・類語 はや【早】 《形容詞「はやい」の語幹から》[名]1 早いこと。多く、複合語として用いられる。「矢継ぎ早」「足早」2 「早打ち」「早追い」の略。「赤穂への―あいにくと降り通し」〈柳多留・九〉[副]1 時日の経過、ある事柄の実現・完了が、意外に早いという気持ちを表す語。はやくも。もはや。「早五年が過ぎた」「あたりは早暮れかかる」2 すぐに。さっさと。はやく。「―かの御使ひに対面し給へ」〈竹取〉3 実は。ほかならぬ。もともと。「変化げの者にてはなかりけり。―人にてぞありける」〈平家・六〉[類語](1)早早はやばや・早早そうそう・早め・尚早・もう・最早もはや・今や・既すでに・とっくに・つとに・早くも・とうに・とうの昔・とっくの昔・先刻・後悔先に立たず・この期ごに及んで・手遅れ・後の祭り・生まれた後の早め薬・証文の出し後れ・争い果ててのちぎり木・喧嘩けんか過ぎての棒千切り・十日の菊・六日の菖蒲あやめ・会えに合わぬ花・夏炉冬扇・寒に帷子かたびら土用に布子ぬのこ・今さら・覆水盆に返らず そう【早】[漢字項目] [音]ソウ(サウ)(呉)(漢) サッ(慣) [訓]はやい はやまる はやめる さ[学習漢字]1年〈ソウ〉1 ある時間の範囲で、はやいほう。「早期・早春・早朝・早晩」2 通常の時期よりはやい。「早婚・早産・早熟・早世・早退/尚早」3 時間をおかないさま。「早急・早早」〈サッ〉の3に同じ。「早急・早速」〈はや(ばや)〉「早口・早早/足早・気早・最早もはや」〈さ〉若い意を表す。「早苗・早乙女・早蕨さわらび」[名のり]さき・はや[難読]早稲わせ・早生わせ はよ【早】 《「はよう」の音変化》[名]「早う」に同じ。「朝は早から畑に出る」[副]「早う」に同じ。「―起きて遅う寝れば」〈滑・浮世風呂・四〉 さっ【早】[漢字項目] ⇒そう 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「早」の意味・読み・例文・類語 はや【早・速】 ( 形容詞「はやい」の語幹から )[ 1 ] 〘 名詞 〙① 速度が高いこと。速いこと。また、勇気があっていさましいこと。多く、他の語と熟して用いられる。⇔遅(おそ)。[初出の実例]「かく気吹(いぶ)き放ちては、根の国・底の国に坐す速(はや)さすらひめという神、持ちさすらひ失ひてむ」(出典:延喜式(927)祝詞)② 時間的に前であること。先。〔詞葉新雅(1792)〕③ 「はやうち(早打)」の略。[初出の実例]「あこうへの早あいにくとふり通し」(出典:雑俳・柳多留‐九(1774))④ 「はやおい(早追)」の略。[初出の実例]「Hayaga(ハヤガ) キタ 馹」(出典:改正増補和英語林集成(1886))⑤ 「はやがね(早鐘)」の略。⑥ 合百(ごうひゃく)の一種。長期清算取引の各節の相場を目当てに早い勝負を決する博打(ばくち)。[ 2 ] 〘 副詞 〙[ 一 ] 時間がかからないで物事が進行するさまを表わす語。① すぐに。即座に。[初出の実例]「手胼(たこむら)に 虻(あむ)掻(か)き着き その虻を 蜻蛉(あきづ)波夜(ハヤ)咋ひ」(出典:古事記(712)下・歌謡)② 人の動作をうながすことばとして用いる。早く。はよう。→はやはや。[初出の実例]「わが屋外(やど)の松の葉見つつ吾(あれ)待たむ波夜(ハヤ)帰りませ恋ひ死なぬとに」(出典:万葉集(8C後)一五・三七四七)「コラ至極い尤な事。木俣はや行んな」(出典:滑稽本・戯場粋言幕の外(1806)上)[ 二 ] 時間的に早い時期にその状態であるさまを表わす語。はよう。① その時期になる前に。はやくも。[初出の実例]「葛城の高間の草野(かやの)早(はや)領(し)りて標(しめ)刺さましを今そ悔(くや)しき」(出典:万葉集(8C後)七・一三三七)② すでに。もはや。[初出の実例]「昨日こそ年は極(は)てしか春霞春日の山に速(はや)立ちにけり」(出典:万葉集(8C後)一〇・一八四三)「関東へ下る武士に見逢て、はや搦捕ぬ」(出典:梵舜本沙石集(1283)二)③ もともと。元来。実は。ほかならぬ。[初出の実例]「変化の物にてはなかりけり。はや人にてぞ有ける」(出典:平家物語(13C前)六) はやく【早】 [ 1 ] 〘 副詞 〙 ( 形容詞「はやい」の連用形から )① ずっと以前から。とうに。すでに。つとに。はやくに。はよう。[初出の実例]「花妙(ぐは)し 桜の愛(め)で こと愛でば 波椰区(ハヤク)は愛でず 我が愛づる子ら」(出典:日本書紀(720)允恭八年二月・歌謡)② 以前に。はよう。[初出の実例]「よし野がはよしや人こそつらからめはやくいひてしことはわすれじ〈凡河内躬恒〉」(出典:古今和歌集(905‐914)恋五・七九四)③ ( 多く「はやく…けり」の形で用いる ) それもそのはず。驚いたことには。わかってみればなんと。はよう。[初出の実例]「針をひき抜きつれば、はやくしりを結ばざりけり」(出典:枕草子(10C終)九五)「おそろしながら、ことの子細をとふに、はやく盗人なりけり」(出典:古今著聞集(1254)一二)④ もともと。やっぱり。[初出の実例]「其時ぞこの證人のためにはやくさそひけるよと心えてけり」(出典:古今著聞集(1254)一六)[ 2 ] 〘 名詞 〙① 昔。以前。また、早い時期、時刻。「早くから知っている」[初出の実例]「はやくの守(かみ)の子」(出典:土左日記(935頃)承平四年一二月二八日)「朝ははやくから晩はおそくまで働きぬいて」(出典:彼の歩んだ道(1965)〈末川博〉二)② 危険が迫っていること。危篤の状態。[初出の実例]「はやくにておはしませば、申すばかりなし」(出典:たまきはる(1219)) はようはやう【早】 [ 1 ] 〘 副詞 〙 ( 「はやく(早)」の変化した語 )① =はやく(早)[ 一 ]①[初出の実例]「はやう御ぐしおろし給うてき」(出典:大和物語(947‐957頃)一〇三)② =はやく(早)[ 一 ]②[初出の実例]「はやう見し女のことほめいひ出でなどするも」(出典:枕草子(10C終)二八)③ =はやく(早)[ 一 ]③[初出の実例]「みし心ちするこだちかなとおぼすははやうこの宮なりけり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蓬生)[ 2 ] 〘 名詞 〙 =はよ(早)[ 二 ] はやめ【早】 〘 名詞 〙 ( 動詞「はやめる(早)」の連用形の名詞化 )① 歌舞伎の下座音楽で、同じ曲を早めて演奏すること。また、「早めの合方」の略称。[初出の実例]「『この品、身共が清盛公へ』ト双盤の早めにて、雷雲、額を抱へ、向うへ走り入る」(出典:歌舞伎・貞操花鳥羽恋塚(1809)四立)② 「はやめぐすり(早薬)」の略。[初出の実例]「戸あけの水下るとそのまま催生(ハヤメ)の薬を用ゆべし」(出典:女重宝記(元祿五年)(1692)三) はよ【早】 [ 1 ] 〘 副詞 〙 ( 「はよう(早)」の変化したもの ) 早い時期に。また、すみやかな速度で。[初出の実例]「早(ハヨ)起て遅寝れば」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四)[ 2 ] 〘 名詞 〙 ( [ 一 ]の体言化したもの ) 早い時期。「朝もはよから」 そうサウ【早】 〘 名詞 〙 一日のうちのはやい時刻。朝。〔詩経箋‐召南・小星〕 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by
普及版 字通 「早」の読み・字形・画数・意味 早常用漢字 6画 [字音] ソウ(サウ)[字訓] はやい・あさ・つとに[説文解字] [字形] 仮借匙(さじ)の象形。早晩の字に仮借して用いる。〔説文〕七上に「晨(あした)なり。日の甲上に在るに從ふ」とするが、字形として意味をなさない。字は匙の象形で、これに柄の部分をつけると是となる。是は匙の初文。〔石鼓文、作原石〕の(草)の字を、〔呉人石〕に是に従う形に作る。のち仮借して早晩の早、早急の意に用いる。[訓義]1. はやい、あさはやい、あさ。2. すみやか、いそぐ、つとに。3. (そう)と通じ、どんぐり。4. 字はまた蚤に作る。[古辞書の訓]〔名義抄〕早 ハヤク・ハヤシ・ツトニ・スミヤカニ・スミヤカナリ・トシ・ニハカ・アシタ・ツトメテ・ヲサナシ・ヤハラカニ・マヅ[声系]〔説文〕に早声としてを収める。〔周礼、地官、大司徒〕「早物」は「草物」の意。〔釈文〕に字をに作る。は「草斗櫟実」、帛を染めて黒色とするもので、がその本字。木のは、艸がその初文であり、本字である。[熟語]早▶・早晏▶・早秧▶・早夏▶・早寡▶・早霞▶・早臥▶・早衙▶・早駕▶・早寒▶・早鰥▶・早起▶・早計▶・早恵▶・早行▶・早粳▶・早興▶・早婚▶・早歳▶・早作▶・早爨▶・早日▶・早秀▶・早秋▶・早就▶・早熟▶・早出▶・早春▶・早晨▶・早世▶・早成▶・早膳▶・早達▶・早旦▶・早知▶・早潮▶・早朝▶・早天▶・早年▶・早発▶・早晩▶・早眠▶・早霧▶・早夜▶・早涼▶[下接語]及早・歳早・尚早・晩早 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報 Sponserd by