後の祭(読み)アトノマツリ

  • あと
  • の 祭(まつり)

精選版 日本国語大辞典の解説

[一]
① 祭札の翌日。また、その日、神饌(しんせん)を下げて飲食すること。後宴。
※俳諧・鷹筑波(1638)四「八月十六日八幡へ参詣して、跡の祭(マツリ)するや臨時の放生会(はうじゃうゑ)
② (祭の済んだ後の山車(だし)の意から) 物事が、その時機をはずして、無益なものになってしまうこと。手おくれ。
※虚堂録臆断(1534)五「死して後に紙銭を焼て不祥を除く也。をかしいこと也。無用処也。あとのまつり也」
[二] (男女の交わりを、隠語で「おまつり」というところから) 男色の異称。
※雑俳・末摘花(1776‐1801)三「跡の祭りやろうのけいせいをあげ」

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ことわざを知る辞典の解説

時機を逸して、どうにもならないことや、悔やんでも取り返しがつかないことのたとえ。

[使用例] 所詮末のつまらぬ事と。無理に引立いんだのは。娘にひけをとらすまい為おれが気迷ひ。〈略〉コリャ宗岸が一生の仕損ひとサくやんでも跡の祭[浄瑠璃・艶容女舞衣(三勝半七)|1772]

[使用例] 新聞に一度出たものを今更、あの記事は間違っているといったところで後のです。新聞社に談じこめば、記事の訂正は出すでしょうが〈略〉読者なんか見やしません[三浦環*お蝶夫人|1947]

[使用例] 綿入れを着ていたからといって何も冬とはかぎらないのです。〈略〉つまり、小生の容疑者の犯行が成立するわけでございます。が、こう考えついたのはあとの祭、二十年前に考えおよばなかったのを後悔するばかりでございます[松本清張*点と線|1958]

[解説] このことわざの解釈には、二つの考え方があります。一つは、「六日の菖蒲あやめ十日の菊」と同様に、比較的軽い意味で時機に遅れたたとえとするもので、今日でもこの意味でよく使われています。
 もう一つは、「死んだ後の祭」と同義とするもので(「諺語大辞典」)、明治前期のことわざ集「国民の品位」(1891)では、織田信長の教育係を自任したひらまさひでが自刃して諫めた話を引き、信長が大いに悔いて寺まで建てて供養したのも後の祭としています。突き詰めると、「後の祭」が祭のすんだ後なのか死後の祭なのか、ということになりますが、「悔やんでも後の祭」とする用例がいまもあることを考慮すると、底流には、死者を祭るときの後に残された者の悔恨の思いがあったものと思われます。

[類句] 死んだ後の祭/六日の菖蒲十日の菊

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