既に(読み)スデニ

デジタル大辞泉 「既に」の意味・読み・例文・類語

すで‐に【既に/×已に】

[副]
ある動作過去に行われていたことを表す。以前に。前に。「―述べた事柄
その時点ではもうその状態になっていることを表す。もはや。とっくに。「彼は―おとなだ」「手術はしたものの―手後れだった」
動かしがたい事実であることを表す。どう見ても。現に。「この事が―権威失墜を物語っている」
すっかり。まったく。
「天の下―覆ひて降る雪の光を見れば貴くもあるか」〈・三九二三〉
ある事態が近づいていることを表す。もう少しで。今にも。
「仏御前はすげなう言はれ奉って―出でんとしけるを」〈平家・一〉
[類語]早早はやばや早早そうそう早め尚早もう最早もはやはや早くも今やとっくにとうにとうの昔とっくの昔つとに先刻過去以前曽て在りし日往年往時往日旧時昔日昔時昔年往昔往古古昔いにしえ古くそのかみ当時前前かねてかねがね何時か既往これまで従来従前し方先年当年一時一頃その節先に当時古来あらかじめ年来旧来在来その昔太古千古大昔前以て先立ってかつて見越し根回し手回し早手回し手を回す地固めなら布石事前先手先手を打つ手当て準備下準備段取り手筈てはず下見予習備え伏線示し合わせる言い合わせる申し合わせる打ち合わせる口裏を合わせる

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精選版 日本国語大辞典 「既に」の意味・読み・例文・類語

すで‐に【既に・已に】

  1. 〘 副詞 〙
  2. 少しも残るところなくすべてにわたるさま、完全にそうなるさまを表わす語。全く。すっかり。
    1. [初出の実例]「已(すでに)訓に因りて述ぶれば詞心に逮ばず」(出典古事記(712)序)
    2. 「天の下須泥爾(スデニ)覆ひてふる雪の光を見れば貴くもあるか」(出典:万葉集(8C後)三九二三)
    3. 「御鷹師すでに赤面し、頭を地に付け、その人の名を申さんとしける」(出典:仮名草子・浮世物語(1665頃)三)
  3. ( 下に完了、過去を表わす語を伴って ) 事が終わった状態を表わす。以前に。先に。とっくに。もう。また、過程を経て、ことが現実に至るさまを表わす。とうとう。
    1. [初出の実例]「君により吾が名は須泥爾(スデニ)立田山絶えたる恋のしげき頃かも」(出典:万葉集(8C後)一七・三九三一)
    2. 「旧都をばすでにうかれぬ、新都はいまだ事ゆかず」(出典:平家物語(13C前)五)
  4. ( 下の文を断定の表現で結んで ) 動かしがたい事実であるさまを表わす。まぎれもなく。まさに。ちょうど。現に。ほとんど。
    1. [初出の実例]「寄て見るに、射たる所の虎、既に虎に似たる岩にて有り」(出典:今昔物語集(1120頃か)一〇)
    2. 「生あるもの、死の近き事を知らざる事、牛、既にしかなり。人、また同じ」(出典:徒然草(1331頃)九三)
  5. ( 多く下に推量の語を伴って ) 事が近づいた状態を表わす。もう少しで。すんでの事に。もはや。まもなく。
    1. [初出の実例]「月満て既に産するを待つ程に」(出典:今昔物語集(1120頃か)九)
    2. 「金の柱霜雪に朽て、既頽癈空虚の叢と成べきを」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)平泉)

既にの語誌

上代はの語義に限られている。中古に入ると、もっぱら漢文訓読体の語として用いられ、和文では「はやう」が用いられた。後に和漢混淆文契機として広く使われるようになり、の語義も見られるようになる。


すんで‐に【既に・已に】

  1. 〘 副詞 〙 ( 「すでに」の変化した語 ) もうちょっとのところで。すんでのこと。
    1. [初出の実例]「すんてにとがめうとしたよ」(出典:杜詩続翠抄(1439頃)八)
    2. 「宿(しゅく)もすんでに十一宿、その道のりも二十五里」(出典:歌舞伎独道中五十三駅(1827)二幕)

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