デジタル大辞泉
「何と」の意味・読み・例文・類語
なに‐と【何と】
[連語]《代名詞「なに」+格助詞「と」》ほかにも同種類のものがあるという意を表す。助詞的に用いられる。など。
「これかれ酒―持て追ひ来て」〈土佐〉
[副]
1 どんなふうに。どのように。
「さても維盛卿の子息は―候ふやらん」〈平家・一二〉
2 なぜ。どうして。
「―かく思ひも分かでしのぶらん過ぎにし方も同じ憂き世を」〈新後撰・雑下〉
[感]
1 問い返すときに用いる。なんだって。
「『兄弟の者の細首を、ただ一討ちに討ち落としたると申し候』『えい―、―』」〈謡・烏帽子折〉
2 相談・質問などを相手にもちかけるときに用いる。どうだ。ところで。
「―、酒は売れまらするか」〈虎明狂・伯母が酒〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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なに‐と【何と】
- [ 1 ] 〘 連語 〙 ( 代名詞「なに」に助詞「と」が付いたもの )
- ① 不定・不明の事物・事態を指示して連用修飾語とする。どういうことかと。どんなものかと。
- [初出の実例]「心深き事どもの限りを、しおかせ給へれば、なにと分くまじき山伏などまで、惜しみきこゆ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)薄雲)
- ② 一例をあげて、それだけではなく、ほかにもいろいろあるという気持を含めていう。→助詞「なんと」。
- [初出の実例]「かみの兄弟、また他人、これかれ酒なにともておひきて」(出典:土左日記(935頃)承平四年二月二七日)
- [ 2 ] 〘 副詞 〙
- ① 事態や人の行為・発言の実質的意味がよくのみこめない時、または自分のとるべき態度がわからない時の、疑惑・不安の念を表わす。どうしたことを。どんなふうに。
- [初出の実例]「いかでかくは、なにとなどせさせ給ふに」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
- ② 原因・動機などが不明な時の、疑念を表わす。どうして(…なのか)。なぜ(…なのか)。
- [初出の実例]「なにとかく心をさへはつくすらんわがなげきにて暮るる秋かは」(出典:山家集(12C後)上)
- ③ 相手の意見を打診する気持を表わす。どんなものか。いかが。
- [初出の実例]「これをおん目にかけ申さうと存ずるが、なにとござあらうずるぞ」(出典:謡曲・百万‐間狂言(1685))
- [ 3 ] 〘 感動詞 〙
- ① 相手の発言・行為が、ただちに納得しがたい時の、問い返したり確かめたりする言葉。なんだって。どうだって。
- [初出の実例]「暫らく、おん身の名をおん名のり候へ、なにと名を名のれと候ふや」(出典:謡曲・檜垣(1430頃))
- ② 相手の肯定的な返答・応答を期待しながら、相手に話しかける言葉。どうだね。
- [初出の実例]「なにと下戸にて候や」(出典:咄本・醒睡笑(1628)五)
なん‐と【何と】
- [ 1 ] 〘 副詞 〙 ( 「なにと(何━)」の変化したもの )
- ① 事物・事態の不明・不定なさま。どのように。どんなふうに。なんて。
- [初出の実例]「縦人なんと申共、七代までは此一門をば争(いかで)か捨させ給ふべき」(出典:平家物語(13C前)二)
- ② 動機・理由などへの納得・容認しがたい気持を表わす。どうして(…であろうか)。なぜ(…なのか)。
- [初出の実例]「道を立義を立誠をつくす侍に、何と刃が当られう」(出典:浄瑠璃・平家女護島(1719)三)
- ③ 相手の感情や反応をさぐる気持を表わす。どんなものか。
- [初出の実例]「その上お暇まで下されたが、何(ナン)と嬉しうは思はぬか」(出典:雲形本狂言・萩大名(室町末‐近世初))
- ④ 名状しがたいほど程度のはなはだしいことを驚き、あきれる気持を表わす。まことに。
- [初出の実例]「『なんとそれをくだされた』『中々』」(出典:虎明本狂言・文蔵(室町末‐近世初))
- 「なんと無分別ではない歟」(出典:鳩翁道話(1834)三上)
- [ 2 ] 〘 感動詞 〙 相手の同意を期待しつつ呼びかけることば。どうだな。
- [初出の実例]「なんと伝兵衛、町人は爰が心易い」(出典:浄瑠璃・心中天の網島(1720)下)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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