何と(読み)ナニト

デジタル大辞泉の解説

なに‐と【何と】

[連語]《代名詞「なに」+格助詞「と」》ほかにも同種類のものがあるという意を表す。助詞的に用いられる。など。
「これかれ酒―持て追ひ来て」〈土佐
[副]
どんなふうに。どのように。
「さても維盛卿の子息は―候ふやらん」〈平家・一二〉
なぜ。どうして。
「―かく思ひも分かでしのぶらん過ぎにし方も同じ憂き世を」〈新後撰・雑下〉
[感]
問い返すときに用いる。なんだって。
「『兄弟の者の細首を、ただ一討ちに討ち落としたると申し候』『えい―、―』」〈謡・烏帽子折
相談・質問などを相手にもちかけるときに用いる。どうだ。ところで。
「―、酒は売れまらするか」〈虎明狂・伯母が酒

なん‐と【何と】

《「なにと」の音変化》
[副](スル)
どのように。どんなふうに。どう。「これは何としたことか」「何とご返事したらよいでしょう」
感心・失望などの気持ちを強調して表す。なんて。「何と美しい花だ」「何と愚かな人だ」
反語を表す。どうして。
「ふまれて―男がならうか」〈狂言記・文山立〉
[感]相手に呼びかけ同意を求めたり、反応を探ったりするときに用いる語。どうだ。「何と、これでもか」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説

なっと【何と】

( 副 )
〔「なにと(何)」の転〕
なんと」に同じ。 「ソノ戦ガ敗レテカラワ-アッタゾ/天草本平家 4

なにと【何と】

( 副 )
どうして。なぜ。 「岩代のまつこともなき我身さへ-憂世にむすぼほるらん/続古今 雑中
なんと(何)
」に同じ。 「さて座禅の公案-心得候ふべき/謡曲・放下僧」
( 感 )
問い返したり、念を押したりするときに用いる語。なんだって。 「『その人買舟に物申さう』『あら音高し、-、-』/謡曲・自然居士」
話しかけて相談するときなどに用いる語。おいどうだ。 「 -、明日の襟付はどうしたものであらうぞ/狂言記・烏帽子折」

なにと【何と】

( 連語 )
〔代名詞「なに」に格助詞「と」の付いたもの。副助詞「など」の原形に相当する語〕
一例をあげて、同種のものが他にもいろいろあるということを表す。なんど。など。 「守かみのはらから、またことひと、これかれ酒-持て追ひ来て/土左」 → なんどなど(副助)

なんと【何と】

〔「なにと(何)」の転〕
( 副 )
どのように対応したらよいのかわからない気持ちを表す。どのように。どう。 「 -申し上げたらよいのか」
強い驚きや感動の気持ちを表す。たいそうまあ。なんという。なんて。 「 -美しい夜だろう」
相手の意向や反応を確かめる気持ちを表す。 「其の道づれと、-一口遣らうではないか、ええ、捻平さん/歌行灯 鏡花
反語の意を表す。どうして…か。 「誠をつくす侍に、-刃が当てられう/浄瑠璃・平家女護島」
( 感 )
驚いたり感心したりしたときに発する語。 「 -、まあ」 「 -、四つ時で御ざる/狂言・不聞座頭」
相手に念を押すのに用いる語。どうだ。どうですか。 「 -、そうじゃありませんか」 「 -皆様如何でございます/義血俠血 鏡花

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

なに‐と【何と】

[1] 〘連語〙 (代名詞「なに」に助詞「と」が付いたもの)
① 不定・不明の事物・事態を指示して連用修飾語とする。どういうことかと。どんなものかと。
※源氏(1001‐14頃)薄雲「心深き事どもの限りを、しおかせ給へれば、なにと分くまじき山伏などまで、惜しみきこゆ」
② 一例をあげて、それだけではなく、ほかにもいろいろあるという気持を含めていう。→助詞「なんと」。
土左(935頃)承平四年二月二七日「かみの兄弟、また他人、これかれ酒なにともておひきて」
[2] 〘副〙
① 事態や人の行為・発言の実質的意味がよくのみこめない時、または自分のとるべき態度がわからない時の、疑惑・不安の念を表わす。どうしたことを。どんなふうに。
※蜻蛉(974頃)中「いかでかくは、なにとなどせさせ給ふに」
② 原因・動機などが不明な時の、疑念を表わす。どうして(…なのか)。なぜ(…なのか)。
※山家集(12C後)上「なにとかく心をさへはつくすらんわがなげきにて暮るる秋かは」
③ 相手の意見を打診する気持を表わす。どんなものか。いかが。
謡曲・百万‐間狂言(1685)「これをおん目にかけ申さうと存ずるが、なにとござあらうずるぞ」
[3] 〘感動〙
① 相手の発言・行為が、ただちに納得しがたい時の、問い返したり確かめたりする言葉。なんだって。どうだって。
※謡曲・檜垣(1430頃)「暫らく、おん身の名をおん名のり候へ、なにと名を名のれと候ふや」
② 相手の肯定的な返答・応答を期待しながら、相手に話しかける言葉。どうだね。
※咄本・醒睡笑(1628)五「なにと下戸にて候や」

なん‐と【何と】

[1] 〘副〙 (「なにと(何━)」の変化したもの)
① 事物・事態の不明・不定なさま。どのように。どんなふうに。なんて。
※平家(13C前)二「縦人なんと申共、七代までは此一門をば争(いかで)か捨させ給ふべき」
② 動機・理由などへの納得・容認しがたい気持を表わす。どうして(…であろうか)。なぜ(…なのか)。
浄瑠璃・平家女護島(1719)三「道を立義を立誠をつくす侍に、何と刃が当られう」
③ 相手の感情や反応をさぐる気持を表わす。どんなものか。
※雲形本狂言・萩大名(室町末‐近世初)「その上お暇まで下されたが、何(ナン)と嬉しうは思はぬか」
④ 名状しがたいほど程度のはなはだしいことを驚き、あきれる気持を表わす。まことに。
※虎明本狂言・文蔵(室町末‐近世初)「『なんとそれをくだされた』『中々』」
※鳩翁道話(1834)三上「なんと無分別ではない歟」
[2] 〘感動〙 相手の同意を期待しつつ呼びかけることば。どうだな。
※浄瑠璃・心中天の網島(1720)下「なんと伝兵衛、町人は爰が心易い」

なんな‐と【何と】

〘連語〙 (「なになりと」の変化したもの)
① 事物・事態を選択しないさまを表わす。どんなものでも。どんなことでも。
洒落本・陽台遺編(1757頃)秘戯篇「何なと用が有ならいひなんせ」
② 何かしら。何か。
※あなづくし芝居見物見立相撲(1830‐44)「茶屋の女子が仕切りを通るたびに何なと言うて腹たててゐる人」

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