使(読み)シ

デジタル大辞泉 「使」の意味・読み・例文・類語

し【使】[漢字項目]

[音](呉)(漢) [訓]つかう しむ せしむ
学習漢字]3年
つかう。用いる。「使役しえき使途使用駆使行使酷使
さしむけて用をさせる。用をする人。つかい。「使者使節使命急使公使大使勅使天使特使密使遣唐使
使用者」の略。「労使

し【使】

検非違使けびいし」の略。
仏語煩悩異称

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精選版 日本国語大辞典 「使」の意味・読み・例文・類語

し【使】

  1. 〘 名詞 〙
  2. つかい。使者。〔漢書‐韓信伝〕
  3. 巡行、視察、管理などにおもむいた官人。
    1. [初出の実例]「天平元年班田之時使葛城王従山背国薩妙観命婦等所歌一首」(出典万葉集(8C後)二〇・四四五五・題詞)
  4. けびいし(検非違使)」「ほうへいし(奉幣使)」などの略。
    1. [初出の実例]「下の家司左衛門尉ためかたをば、使かけさせ給宣旨下させ給」(出典:栄花物語(1028‐92頃)鶴の林)
  5. 仏語。煩悩の異称。〔法苑珠林‐三二〕

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普及版 字通 「使」の読み・字形・画数・意味

使
常用漢字 8画

(旧字)
8画

[字音]
[字訓] つかい・つかう

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
声符は(史)(し)。(吏)・(事)はもと同形。〔説文〕八上に「伶なり」とあり、使令の意。金文では使役の意に用い、「令~~」(~をして~せしむ)という形式を「~~事~」という形式でしるす。事は遠く外に使して史(祭の名)を行うことで、事(まつり)の使者を意味する字であった。

[訓義]
1. つかい、使する、祭の使者。
2. つかう、つかわす、命ずる。
3. させる、しむ、せしむ。使役の助動詞
4. 召使い
5. もし、仮設。

[古辞書の訓]
名義抄 シム・セシム・タトヒ・ツカヒ・ツカフ・シタガフ・ヤル・ツカサドル・タテマツル/大 オホイウ(オ)モ/副 スクナイオモ/假 タトヒ/ タテマタス

[語系]
shiは同声。事dzhiは、祭の申文を捧げる形であるの上部に偃游(えんゆう)(旗飾り)をつけた形で、の声義を承ける。仕dzhiも事と同声で、事仕の意がある。は内祭、事は外祭に使すること、それに奉仕することが王事であり、そのような祭政一致の形態が古代王朝の実体であった。

[熟語]
使院・使役・使駅・使・使介・使客・使官・使館・使気・使君・使指・使嘴・使事・使者・使酒・使主・使女使臣・使人・使星・使節使嗾・使長・使丁・使典・使転・使費使符・使副使聘・使命・使訳・使用使吏・使料・使令使伶
[下接語]
頤使・役使・遠使・仮使・雁使・器使・急使・向使・駆使・軍使・公使・行使・国使・指使・主使・縦使・上使・制使・大使・中使・勅使・天使・特使・徳使・任使副使・聘使・密使・目使・力使・労使

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「使」の意味・わかりやすい解説

使

仏教用語。煩悩同義語。煩悩は人を駆使して迷妄を起さしめるので使と称される。使に 10種あって十使といわれる。それらは (1) 貪欲,(2) 瞋恚,(3) 愚痴,(4) 慢,(5) 疑,(6) 身見,(7) 辺見,(8) 邪見,(9) 見取見,(10) 戒禁取見の 10種である。前5種をその性質が遅鈍で制伏しがたいから「五鈍使」といい,あとの5種をその性質が猛利であるから「五利使」という。

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世界大百科事典(旧版)内の使の言及

【検非違使】より

…京都の警察・裁判を管掌した令外官(りようげのかん)。略して使とも。弘仁年間(810‐824)の中ごろ創置されたと推測されており,その初見は816年(弘仁7)に左衛門大尉となり検非違使の事を兼行したとみえる興世書主である。…

※「使」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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