十日町(市)(読み)とおかまち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「十日町(市)」の意味・わかりやすい解説

十日町(市)
とおかまち

新潟県南部、信濃川(しなのがわ)上流にある十日町盆地の中心をなす織物の町。1954年(昭和29)十日町と中条(なかじょう)、川治(かわじ)、六箇(ろっか)の3村が合併して市制施行。同年吉田村を編入。2005年(平成17)中魚沼(なかうおぬま)郡川西町(かわにしまち)、中里村(なかさとむら)、東頸城(ひがしくびき)郡松代町(まつだいまち)、松之山町(まつのやままち)を合併。古くは妻有庄(つまりのしょう)とよばれ、現在はJR飯山線(いいやません)、北越急行ほくほく線が通じ、国道117号、253号の交差する交通の要衝になっている。国道403号、252号も通る。近世高田藩の魚沼八組の割元(わりもと)町として栄え、近世中期以後は会津預領の陣屋町が置かれた。この間、魚沼地方の名産小千谷縮(おぢやちぢみ)の四大市場の一つになり、盆地内の手織縮(てばたちぢみ)を集散する問屋町として発展した。近世末には縮が衰退し始めたので、1820年(文政3)ころから高機(たかはた)を導入した絹縮の透綾(すきや)織にかわり、近代は「十日町明石(あかし)」の名で「東の西陣(にしじん)」とよばれる高級絹織物産地に発展した。高位段丘と豪雪地帯で有名な十日町は、例年2月の第3土~日曜日に「雪まつり」が行われる。雪の芸術展と着物ショーを中心に、鳥追(とりお)い、ほんやら洞(どう)、十日町太鼓などの雪国の民俗行事が盛大で、全国から多くの観光客を集めている。稲作のほか高位段丘面は原(はら)とよばれる高原台地で、雑穀、杉苗、イチゴの特産がある。1999年(平成11)、深鉢形土器群(火焔型、王冠型を含む)などの笹山遺跡出土品は新潟県初の国宝に指定された。越後縮(えちごちぢみ)の紡織具および関連資料は国の重要有形民俗文化財に指定され、前述土器群とともに十日町市博物館に収蔵されている。松之山、十日町、清津峡の温泉郷があり、観光の町としても名高い。面積590.39平方キロメートル(一部境界未定)、人口4万9820(2020)。

[山崎久雄]


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