(読み)トガ

デジタル大辞泉 「咎」の意味・読み・例文・類語

とが【×咎/科】

人から責められたり非難されたりするような行為。あやまち。しくじり。「失敗は彼の―ではない」
罰されるべき行為。罪。「盗みの―で捕らえられる」
非難されるような欠点。
筑波嶺にそがひに見ゆる葦穂山悪しかる―もさね見えなくに」〈・三三九一〉
[類語]罪科罪悪過ち罪過犯罪罪障罪業悪徳背徳不徳不仁不義不倫破倫あく悪行あくぎょう悪事違犯

きゅう【咎】[漢字項目]

[音]キュウ(キウ)(漢) [訓]とがめる とが
とがめる。とが。「咎徴/罪咎

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精選版 日本国語大辞典 「咎」の意味・読み・例文・類語

とが【咎・科】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 人から、とがめられるべきこと。責められるような行為。あやまち。過失。失策。
    1. [初出の実例]「彼の徳を讚す応(べ)し。其の欠(トガ)を謗ら不(ざ)れ。〈真福寺本訓釈 欠 止加〉」(出典:日本霊異記(810‐824)下)
    2. 「咎は無れども亦功もなし」(出典:政談(1727頃)三)
  3. 非難されるような欠点。人柄として、足りない点。短所。きず。
    1. [初出の実例]「筑波嶺に背向(そがひ)に見ゆる葦穂山悪しかる登我(トガ)もさね見えなくに」(出典:万葉集(8C後)一四・三三九一)
    2. 「いと口惜しく、たのもしげなきとがや、猶、苦しからむ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
  4. 法的・道徳的にとがめられるべき行為。罪科。罪。
    1. [初出の実例]「咎(トカ)(あやまち)在らむをば見直し聞直し」(出典:延喜式(927)祝詞(九条家本訓))
    2. 「瀬尾を討ったる咎(トガ)に任せ」(出典:浄瑠璃・平家女護島(1719)四)
  5. 罪によって科せられる罰。刑罰
    1. [初出の実例]「罪を謝し科(トカ)を宥(なだめ)らるる」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)下)

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普及版 字通 「咎」の読み・字形・画数・意味


8画

[字音] キュウ(キウ)・コウカウ
[字訓] とが・そしる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
人+夂(ち)+口。夂(ち)+口は各。神の降格する意で「各(いた)る」とよむ。口は祝詞を収める器の(さい)。神が降格して、人に罰することを求める呪詛を行う意。その呪詛によって降されるものを咎という。〔説文八上に「災なり。人に從ひ、各に從ふ。各なるは相ひふなり」と、各を各異の意とするが、呪詛して人にもたらされる災禍を咎といい、神罰を受けることをも咎という。金文の〔(しょうしゅ)〕に「廼(すなは)ち余一人の咎を作(な)さん」、〔詩、小雅、伐木〕「我をして咎らしむること(なか)れ」のようにいう。金文にという字があり、(だく)に従うのは、禍殃として病気となる意であろう。

[訓義]
1. とが、とがめ、わざわい。
2. つみ、うれえ、にくしみ。
3. そしる、にくむ。
4. 国語として、あやしみとう、とがめなじる。
5. 咎(こうよう)は皋陶(こうよう)、舜の賢臣と伝えられる神話的人物。

[古辞書の訓]
名義抄〕咎 トガム・トガ・ワザハヒ・アヤマチ

[声系]
〔説文〕に咎声としてなど十二字を収める。八上に「毀(そし)るなり」とあるのは、咎の声義を承けるものであろう。

[語系]
咎・giuは同声。〔玉〕に「は毀(そし)るなり」とあり、と声義同じ。或いはその異文であろう。

[熟語]
咎悪咎殃・咎過咎戒咎悔・咎害咎毀咎譴咎愆・咎罪咎謝咎醜咎祥・咎証・咎徴咎敗咎罰咎魅・咎誉・咎吝・咎累・咎戻
[下接語]
畏咎・移咎・遺咎・引咎・悔咎・帰咎・休咎・咎・譴咎・後咎・災咎・受咎・追咎・天咎・辟咎・憂咎

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