妻戸(読み)つまど

世界大百科事典 第2版の解説

つまど【妻戸】

寝殿造住宅に用いられた両開きの戸をいう。元来は建物の妻,つまり棟と直交する方向の側面に設けられたため,この名がある。寝殿造の外周建具は蔀戸(しとみど)が主で,これは必要に応じて柱間全部を開け放てる利便があるが,夜間や風雨の強い日にひとたび閉じてしまうと開けるのが容易でない。そこで出入口として数ヵ所に,開閉のたやすい両開きの板戸を設けていた。後には家の端(つま)の方にある両開き戸をもさすようになる。【清水

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大辞林 第三版の解説

つまど【妻戸】

寝殿造りで、出入り口として建物の端に設けた両開きの板戸。
家の端に設けた両開きの戸。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

妻戸
つまど

寝殿造の住宅で、出入口に設けた両開きの板製の扉。寝殿造では、周囲の建具は蔀(しとみ)であったため、出入りには不便であり、そのため建物の端の隅に板扉を設けて出入口とした。妻は端を意味し、端にある扉であるために妻戸とよばれた。寺院建築や神社建築では板扉を板唐戸(いたからと)という。妻戸は板唐戸の形式の扉であったため、この形式の扉は建物の端に設けられなくても、すべて妻戸の名でよばれるようになった。[工藤圭章]

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精選版 日本国語大辞典の解説

つま‐ど【妻戸】

[1] 〘名〙
寝殿造りで、殿舎の側面の出入口に設けた、両開きの板製の扉。
※宇津保(970‐999頃)楼上上「のぞき給へば、東(ひんがし)のつまどのすだれあげて人もなし」
② 家の端の方にある両開きの板戸。
※曾我物語(南北朝頃)九「左衛門尉がふしたる屋形のつまとを、ひそかにおしひらき」
[2] 謡曲「雷電(らいでん)」の異称。「来殿」ともいう。金剛流。大宰府で没した菅原道真の怨霊が比叡山の座主法性坊尊意僧正のもとを訪ね、宮廷に雷となって飛び入り復讐する意志を述べ、その援助を断わられると、怒って妻戸に口にふくんだ石榴(ざくろ)の実を吹きかけ、それが火となって燃え上がるのを見て消える。
※雑俳・柳多留‐二四(1791)「妻戸見て残たざくろ喰人なし」

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世界大百科事典内の妻戸の言及

【寝殿造】より

…間仕切はほとんどない。建物の周囲には蔀戸(しとみど)を吊り,両側面にのみ夜間や風雨の強いときの出入口として両開きの妻戸(扉)が設けられた。四周には縁をめぐらし,上等な家では高欄が付けられた。…

【戸】より

…同じ回転式であるが,扉とは異なって水平方向に回転軸を持つのが〈蔀戸(しとみど)〉である。寝殿造では蔀戸に対し,扉形式の戸は〈妻戸(つまど)〉と呼ばれた。これは元来,建物の妻(棟の両端の側面)に設けられていたことから生まれた名で,出入口として使われた。…

※「妻戸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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