デジタル大辞泉 「寛」の意味・読み・例文・類語

かん【寛】[漢字項目]

常用漢字] [音]カン(クヮン)(呉)(漢) [訓]ひろい ゆるやか くつろぐ
スペースがゆったりと広い。「寛闊かんかつ褐寛博かつかんぱく
気持ちにゆとりがある。心が広い。「寛恕かんじょ寛仁寛大寛容
ゆるやか。おおまか。「寛刑寛厳
[名のり]お・おき・ちか・とお・とみ・とも・とら・のぶ・のり・ひと・ひろ・ひろし・むね・もと・ゆたか・よし

ゆた【寛】

[形動ナリ]ゆったりと心が落ち着いているさま。
「海原の路に乗りてやが恋ひ居らむ大舟の―にあるらむ人の故に」〈・二三六七〉

かん〔クワン〕【寛】

[形動][文][ナリ]扱いが緩やかなさま。「に過ぎる処置」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「寛」の意味・読み・例文・類語

くつろぎ【寛】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「くつろぐ(寛)」の連用形の名詞化 )
  2. かたくしまっているものや、きつくはまっているものなどがゆるむこと。また、そのゆるみや隙間。
    1. [初出の実例]「車輪のつひうつ、又よこかみのくつろきくさひなほす」(出典:教言卿記‐応永一二年(1405)一〇月一二日)
  3. のびのびとすること。ゆったりとした気分や状態になること。休息すること。また、ゆとりを持つこと。また、そういう気分、状態。
    1. [初出の実例]「言必信行必果さんと堅く執て、ちともくつろきのなき体は」(出典:応永本論語抄(1420)子路第一三)
    2. 「御馳走を詰めた胃袋にくつろぎを与へる必要もあったので」(出典:こゝろ(1914)〈夏目漱石〉上)
  4. 納得すること。
    1. [初出の実例]「たのもしの衆中のくつろきなく候ては、くそくうるへからす候」(出典:王子神社文書‐明応七年(1498)三月一六日・紀伊粉河寺東村頼母子講掟)
  5. ( 「窕」とも書く。橋掛りに行くことが、くつろぐような形になるところから ) 能楽の特殊演出の一つ。舞の形の一つで、早舞(はやまい)の途中、橋掛りに行って休息すること。

かんクヮン【寛】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. 他に対する態度がゆるやかなこと。きびしくないこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「戦時ゆゑ艦内の諸規律は却て幾分か寛(クヮン)にして安らかに」(出典別天地(1903)〈国木田独歩〉下)
    2. [その他の文献]〔易経‐乾卦〕
  3. ゆったりと広いさま。〔慶応再版英和対訳辞書(1867)〕

ゆた【寛】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 空間や気持に余裕があってゆったりしているさま。のんびりしたさま。ゆっくりと落ち着いているさま。
    1. [初出の実例]「海原の路に乗りてや吾が恋ひ居らむ 大船の由多爾(ユタニ)あるらむ人の児ゆゑに」(出典:万葉集(8C後)一一・二三六七)
    2. 「墨染のわが衣手のゆたならばうき世の民におほはましものを」(出典:良寛歌(1835頃))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「寛」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 13画

(旧字)
15画

[字音] カン(クヮン)
[字訓] ゆるやか・ひろい

[説文解字]

[字形] 会意
旧字はに作り、宀(べん)+(かん)。宀は屋。〔説文〕七下に「屋、大なり」とし、(かん)声とするが、は眉飾を加えた巫女が祈する形。巫女が中にあって祈し、神意を寛くするのが原義であろう。それですべてゆるやかな気象をいい、寛厚・寛大の意となる。

[訓義]
1. 心がゆるやかとなる、のびやか、おだやか、ひろやか、ゆたか。
2. くつろぐ、ひろい、大きい。

[古辞書の訓]
名義抄 ヒロシ・トホシ・トモガラ・ナダム・ユルス・ユルク・モト・ユタカナリ・アイス 〔字鏡集〕 ユルシ・アイス・ヲシム・ナダム・ヒロシ・トホシ・ユタカナリ・オホイナリ・トモ・トモガラ

[語系]
khuan、曠khuang、闊khuatは声義近く、寛広闊大の意がある。はもと人の心意についていう。

[熟語]
寛易・寛衣寛慰・寛隠寛衍・寛仮・寛暇・寛雅寛懈寛郭寛廓寛闊寛閑・寛間・寛緩寛簡・寛刑寛恵・寛厳・寛限・寛弘・寛厚・寛窄寛弛寛赦寛綽・寛袖・寛柔寛粛・寛処寛恕寛舒・寛敞・寛縦・寛詳・寛饒・寛仁・寛静・寛制・寛征・寛然・寛租・寛怠・寛泰・寛貸・寛大・寛適・寛典・寛忍・寛博・寛譬・寛憫・寛腹・寛放・寛法・寛袍・寛免・寛猛・寛愉・寛裕・寛宥・寛容・寛栗・寛略・寛令・寛和
[下接語]
恩寛・刑寛・自寛・綽寛・致寛・裕寛・優寛

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「寛」の解説

くつろぎ【寛】

和歌山の日本酒。精米歩合60%で仕込む純米酒。濃醇やや辛口の味わい。蔵元の「初光酒造」は明治30年(1897)創業。所在地は紀の川市貴志川町丸栖。

出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報

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