普及版 字通 「専(漢字)」の読み・字形・画数・意味
専
常用漢字 9画
(旧字)專
人名用漢字 11画
[字訓] まるめる・うつ・もっぱら
[説文解字]
[甲骨文]
[字形] 会意
旧字は專に作り、(せん)+寸。は(ふくろ)の上部を括(くく)った形。寸は手。專はの中にものを入れ、これを手で摶(う)ってうち固める意。その丸くうち固めたものを團(団)という。〔説文〕三下に「六寸のなり」とメモ用の手版の意とし、また「一に曰く、專は紡專なり」という。いわゆる紡で、糸をつむぐのに用いる。ものをうち固めることを摶(たん)といい、丸めたものを團、土をやき固めたものを(せん)という。
[訓義]
1. まるめる、うつ、うちまるめる。
2. 土をまるめて作った紡摶、つむぐ、いとまき。
3. うちかためる、一つとする。
4. もっぱら、ひとしい、みちる、まかせる。
5. ほしいまま、ほしいままにする、かつて、ひとり、わたくし、わがまま。
6. まじらぬ、ひたすら、あつい、ひとえに。
7. まるい、まわる。
8. 六寸の簿。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕專 日本紀私記に云ふ、專領、多宇女乎佐女(たうめをさめ)、今按ずるに、俗に老女を呼んで專と爲す 〔名義抄〕專 モハラ・ホシイママニ・ヒトリ・タウメ・タカシ/專領 タウメヲサメヨ
[声系]
〔説文〕に專声として團・傳(伝)・摶・轉(転)など十二字を収め、(せん)は未収。古くは專を用い、紡を專といった。
[語系]
專・團・摶・duanは同声。もと土などをうち固めるときの擬声語であろう。屯dunは縁飾りの糸を固く結んだ形で、丸くて固い状態のものをいう。頓tunもその系統の語。土を丸めるを專、糸を結ぶを屯(とん)、語として両者は親縁の関係にある。
[熟語]
専愛▶・専為▶・専意▶・専一▶・専壱▶・専員▶・専科▶・専家▶・専愨▶・専学▶・専気▶・専居▶・専業▶・専愚▶・専経▶・専決▶・専権▶・専固▶・専攻▶・専差▶・専殺▶・専恣▶・専司▶・専此▶・専志▶・専思▶・専祠▶・専車▶・専修▶・専習▶・専城▶・専場▶・専心▶・専制▶・専征▶・専政▶・専勢▶・専誠▶・専精▶・専擅▶・専属▶・専対▶・専断▶・専▶・専直▶・専独▶・専任▶・専念▶・専柄▶・専弁▶・専房▶・専務▶・専門▶・専有▶・専欲▶・専利▶・専戮▶・専弄▶
[下接語]
気専・騎専・自専・静専・貞専
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報