(読み)ミサキ(英語表記)cape
point

デジタル大辞泉 「岬」の意味・読み・例文・類語

み‐さき【岬/崎】

海や湖などに細長く突き出ている陸地。「―の灯台」
[補説]書名別項。→
[類語]半島

こう【岬】[漢字項目]

常用漢字] [音]コウ(カフ)(漢) [訓]みさき
みさき。「岬角こうかく

みさき【岬】[書名]

中上健次中編小説。紀州の田舎町に暮らす青年の孤独と閉塞感を描く。昭和50年(1975)発表。同年、第74回芥川賞受賞。

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精選版 日本国語大辞典 「岬」の意味・読み・例文・類語

み‐さき【岬・崎・碕】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「み」は接頭語 ) 山や陸が海や湖の中に突き出た部分。水中に突き出た陸地の先端。
    1. [初出の実例]「少彦名命、行いて熊野の御碕(みサキ)に至て」(出典:日本書紀(720)神代上(兼方本訓))
    2. 「ただ、海に波なくして、いつしかみさきといふところわたらん、とのみなんおもふ」(出典:土左日記(935頃)承平五年一月一六日)

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改訂新版 世界大百科事典 「岬」の意味・わかりやすい解説

岬 (みさき)
cape
point

海に突出した陸地の先端部。成因としては,山稜が沈水した場合や,硬い岩石からなるため波の浸食に抗して形成される場合が多い。また砂の堆積で突出する砂嘴(さし)の岬もある。瀬戸内海の岬の多くは沈水山稜タイプであり,太平洋に突出する犬吠埼(いぬぼうさき),伊良湖岬(いらごみさき)などは硬岩タイプである。また北海道の野付崎(のつけざき),神戸の和田岬などは砂嘴タイプである。岬を示す用語としては,岬,崎,埼,碕のほかに角,鼻などがある。
執筆者:

岬は,漁民や海上交通に従事する人々にとって,目印や山アテ(海上で船や漁場の位置を山々の重なりぐあいなどで判断すること)の対象として,きわめて重要な場所であった。それゆえ,岬には必ずといってよいほど,神がまつられ,ここを航行する船は,帆を下げて敬意を表し,この神に捕った魚のお初をあげる風習があった。海上交通と深い関係があるといわれる熊野信仰における神の使い(神使しんし))のカラスをミサキと呼んでいるが,これなども岬の意味を知るうえで重要である。
執筆者:


岬[町] (みさき)

大阪府南西端,泉南郡の町。1955年に深日(ふけ)・多奈川両町と淡輪(たんのわ)・孝子(きようし)両村が合体,改称。人口1万7504(2010)。大阪湾に面し,和泉山脈西部の北斜面を占める。中心の深日は《万葉集》に歌われた吹飯浜(ふけいのはま)とされる。近世は泉大津和歌山を結ぶ孝子街道の要地として栄え,漁業や和泉瓦の生産が盛んであった。西部の谷川港は《土佐日記》にもみえる古い港で,近世は風待港として知られた。明治末期に南海本線が通じ,その後淡輪遊園地がつくられ,第2次大戦後にはみさき公園もできて観光地としても発展した。工業は1941年に川崎重工業艦船工場が設置されてから発展を始め,戦後,工場跡地に関西電力多奈川火力発電所が進出したほか鉄工業,紡織業が行われる。和歌山市との関係が密接で,同市の商圏に含まれる。かつての深日港は淡路島や四国へのフェリーの発着地となっていた。南海本線が通り,みさき公園駅で南海多奈川線を分岐する。
執筆者:


岬(千葉) (みさき)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「岬」の意味・わかりやすい解説

岬(町)
みさき

大阪府南西端、泉南郡(せんなんぐん)の町。1955年(昭和30)深日(ふけ)、多奈川(たながわ)の2町と淡輪(たんのわ)、孝子(きょうし)の2村が合併して成立。新町名は、和泉(いずみ)山脈の西端にあたり、大阪湾に突出する岬に位置するところからつけられた。南海電気鉄道南海本線、同多奈川線と国道26号が通じる。古来漁業と和泉瓦(がわら)の産地であった。第二次世界大戦後、関西電力火力発電所が設置され(2020年3月廃止)、紡績、機械工業も行われた。海浜は景勝地でツツジの名所淡輪遊園と自然動物園のあるみさき公園(2020年以降休園中)のほか、府立青少年海洋センター、せんなん里海(さとうみ)公園がある。西陵古墳(さいりょうこふん)は国指定史跡。船守神社(ふなもりじんじゃ)本殿と、興善寺に安置されている大日如来坐像(だいにちにょらいざぞう)、釈迦(しゃか)如来坐像、薬師如来坐像は国指定重要文化財。面積49.18平方キロメートル、人口1万4741(2020)。

[位野木壽一]

『『岬町の歴史』(1995・岬町)』



岬(千葉県の旧町名)
みさき

千葉県南東部、夷隅郡(いすみぐん)にあった旧町名(岬町(まち))。現在はいすみ市の北部を占める地域。上総(かずさ)丘陵を刻む夷隅川流域に位置し、太平洋に面する。1961年(昭和36)太東(たいとう)、長者(ちょうじゃ)の2町が合併して岬町が成立。2005年(平成17)、夷隅郡夷隅町、大原町(おおはらまち)と合併して市制施行、いすみ市となる。地名は太東崎があることに由来。旧町域はJR外房(そとぼう)線と国道128号が通じ、太東漁港がある。中世、土岐氏(とき)の領有ののち、江戸時代は天領、旗本領地となり、長者地区は六斎市(ろくさいいち)の市場町、また、房総(ぼうそう)東往還の宿場町として発達した。米作が盛んで、トマト、キュウリの野菜やナシの栽培も行われる。海食崖(がい)の断崖上に太東崎の灯台があり、海水浴場も含めて南房総国定公園に属する。太東海浜植物群落は国の天然記念物、坂東(ばんどう)三十三所第32番札所清水(きよみず)寺にある木造十一面観音像は県の指定文化財。

[山村順次]

『『岬町史』(1983・岬町)』


岬(地形)
みさき
cape
headland
point
promontory

海へ突き出た陸地。崎、角(かど)、鼻などともいう。岬の大規模なものを半島と称するが、その先端や側部に突出した部分が岬である。たとえば、鹿児島県の大隅(おおすみ)半島の先端が佐多(さた)岬、長崎県の長崎半島の先端は野母(のも)崎、和歌山県の紀伊(きい)半島の南端は潮(しおの)岬、千葉県の房総半島の先端を野島崎とよんでいることなどはその好例である。岬は海に突き出ているので、海食を受けやすく海食崖(かいしょくがい)となっている所が多い。陸地が沈降したり海面が上昇すると谷は沈水し、尾根は半島や岬となって残る。岬は一般に風光に恵まれた所が多く、古来、詩歌に歌われたり、絵画の題材となっている所が多い。

[市川正巳]

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普及版 字通 「岬」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

[字音] コウ(カフ)
[字訓] みさき

[字形] 形声
声符は甲(こう)。〔玉〕に「山の旁(かたは)らなり」とあり、両山の間をいう。わが国では両水の間、特に海中などに突出しているような地勢をいう。

[訓義]
1. 山あい、山のはざま。
2. 細く連なるところ。
3. わが国では、みさき。

[古辞書の訓]
〔和名抄〕岬 日本紀私記に云ふ、三佐木(みさき)〔名義抄〕岬 ミササキ・マサシ・カタハラ・ミサキ

[熟語]
岬角・岬・岬岫
[下接語]
山岬

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百科事典マイペディア 「岬」の意味・わかりやすい解説

岬[町]【みさき】

千葉県南東部,夷隅(いすみ)郡の旧町。夷隅川河口の低地を占め,外房線が通じる。米,野菜,果樹を産する。漁業では,タコ,タイ,ヒラメなど水揚が盛ん。太東(たいとう)崎など海岸は南房総国定公園の一部。2005年12月,夷隅郡夷隅町,大原町と合併し市制,いすみ市となる。46.66km2。1万5191人(2003)。

岬[町]【みさき】

大阪府南西部,大阪湾に面する泉南郡の町。中心の深日(ふけ)は和歌山へ至る孝子(きょうし)街道(国道26号線)が通じ,展望にすぐれ,古来和歌にもよまれた地。南海電鉄多奈川線が通じており,鋳物工業を行うほか,米作,ワカメの養殖も行う。泉州瓦を特産。火力発電所がある。49.18km2。1万7504人(2010)。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「岬」の意味・わかりやすい解説


みさき

千葉県南東部,いすみ市北部の旧町域。 1961年太東町,長者町の2町が合体して成立。 2005年夷隅町,大原町と合体して,いすみ市となる。夷隅川下流域に位置し,米作のほか野菜の栽培や酪農,畜産も盛ん。中心地区の長者は商業中心地。東部海岸は南房総国定公園に属し,太東崎南端の砂浜には国の天然記念物に指定されている海浜植物群落がある。


みさき
cape

海に突き出た陸地の先端部。半島に比べて小さい。硬い岩石の部分が浸食され残った山地の場合が多いが,砂嘴 (さし) が海に突出したものもある。四国小松島に近い和田ノ鼻は砂嘴による岬の例である。

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