(読み)ケイ

デジタル大辞泉 「恵」の意味・読み・例文・類語

けい【恵〔惠〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]ケイ(漢) (ヱ)(呉) [訓]めぐむ
ケイ
情けをかける。めぐむ。めぐみ。「恩恵互恵仁恵特恵
物を贈られることに敬意を表す語。「恵贈恵投恵与
〈エ〉
(「」と通用)さとく賢い。「知恵
縁起がよい。「恵方えほう
[名のり]あや・さと・しげ・とし・めぐみ・やす・よし

え【恵/慧】[漢字項目]

〈恵〉⇒けい
〈慧〉⇒けい

え〔ヱ〕【恵/×慧】

《〈梵〉prajñāの訳》仏語物事をよく見極め、道理を正しく把握する精神作用。三学の一。智慧

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精選版 日本国語大辞典 「恵」の意味・読み・例文・類語

【恵・慧】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「え」は「恵・慧」の呉音。[梵語] prajñā の訳語 ) 仏語。物や道理などの真実のすがたを見きわめる心の働き。三学の一つで、智と合して智慧ともいう。般若(はんにゃ)
    1. [初出の実例]「故能訪朋百城、勇鋭之心彌励、哭恵一市、渇法之意常新」(出典:性霊集‐七(835頃)僧寿勢入先師忌日料物願文)
    2. 「昔天竺(てんぢく)波羅奈国に、戒定(ぢゃう)(ヱ)の三学を兼備し給へる、一人の沙門をはしけり」(出典:太平記(14C後)二)
    3. [その他の文献]〔成唯識論‐九〕

めぐみ【恵】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「めぐむ(恵)」の連用形名詞化 )
  2. めぐむこと。なさけをかけること。また、その恵まれたもの。あわれみ。いつくしみ。
    1. [初出の実例]「其れ此の如き人、皆君に忠(いさをしさ)無く、民に仁(メクミ)無し」(出典:日本書紀(720)推古一二年四月(岩崎本訓))
    2. 「ひろきおほんめぐみのかげ、つくば山のふもとよりも、しげくおはしまして」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
  3. あわれんで金品をやること。ほどこし。
    1. [初出の実例]「乞食が恵みをもとめて手をさし出した」(出典:後裔の街(1946‐47)〈金達寿〉三)

けい【恵】

  1. 〘 名詞 〙 なさけをかけること。めぐみ。恩恵。
    1. [初出の実例]「良将の軍を統(すぶ)るや人を治、恵(ケイ)を推し恩をほどこし」(出典:浄瑠璃・鎌田兵衛名所盃(1711頃)上)
    2. [その他の文献]〔書経‐蔡仲之命〕

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普及版 字通 「恵」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

(旧字)惠
人名用漢字 12画

[字音] ケイ・エ(ヱ)
[字訓] めぐむ・いつくしむ

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
旧字は惠に作り、(けい)声。〔説文〕四下に「仁なり」と訓し、字を会意とする。金文にを恵の意に用い、のち心を加えて惠となった。は上部を括った(ふくろ)の形で、これを恵の意に用いるのは仮借。恵は金文に「を惠(つつし)む」「祀を惠(つつし)む」のように用い、それより仁恵の意に転じた。

[訓義]
1. つつしむ、したがう。
2. めぐむ、いつくしむ。
3. 美しい、かざる、よい。
4. 発語の助辞、これ。
5. 慧(けい)と通じ、さとい。
6. みつめ矛。

[古辞書の訓]
名義抄〕惠 メグム・アタフ・ウツクシブ・シタガフ・キミ・タクム・アハレブ・アイス・オモフ・タノシム 〔字鏡集〕惠 ウツクシブ・サトシ・サダム・サグル・キミ・サトル・トシ・サヤカナリ・タノシム・サカシ・アハレブ・アイス・オモフ・アタフ

[声系]
〔説文〕に惠声として(すい)など四字を収める。の二字は声が異なり、惠声とすることに疑問がある。穗(穂)の初文は(采)、〔説文〕にその重文として穗を録する。金文の字形にの上部に三つの括り口を作るものがあり、惠は麦の穂の形をにみたてた字であろう。五下に「(ふくろ)の紐なり」とあるのも、その括り口の紐であろう。〔書、顧命〕「二人雀弁し、惠を執る」の〔伝〕に「惠は三隅矛なり」とあるのは、その三矛の形による命名であろう。

[熟語]
恵愛・恵渥・恵育・恵雨・恵益・恵音・恵下・恵函・恵寛・恵鑒・恵気・恵義・恵教・恵・恵君・恵訓・恵言・恵顧・恵口・恵巧・恵思・恵施・恵賜・恵示・恵慈・恵赦・恵恤・恵術・恵順・恵潤・恵書・恵・恵心・恵人・恵綏・恵政・恵声・恵然・恵沢・恵中・恵弔・恵念・恵愍・恵撫・恵風・恵問・恵与・恵養・恵賚・恵利・恵臨・恵和
[下接語]
愛恵・恩恵・温恵・嘉恵・寛恵・敬恵・互恵・孝恵・厚恵・慈恵・柔恵・小恵・仁恵・知恵・智恵・恵・天恵・徳恵・特恵・敏恵

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「恵」の解説

けい

?-599 百済(くだら)(朝鮮)の王子
欽明(きんめい)天皇16年(555)兄威徳王の命で来日,前年に父聖明(せいめい)王が新羅(しらぎ)のために殺されたことを報告した。17年多数の武器・良馬をあたえられ,軍船に護送されて帰国した。598年威徳王の死により第28代の恵王として即位したが,翌年死去。諱(いみな)は季(き)。

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