日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
岡山市中区円山(まるやま)にある臨済(りんざい)宗妙心寺派の別格寺院。護国山(ごこくさん)と号する。本尊は十一面観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)。1698年(元禄11)岡山藩主池田綱政(つなまさ)が信輝(のぶてる)(護国院殿)はじめ祖先の追福菩提(ぼだい)のために開基し、絶外宗純(ぜつがいそうじゅん)を開山として建立。以来、岡山藩池田家の菩提寺として栄え、経蔵、開山堂、三重塔、鐘楼、鼓楼、二つの禅堂、小方丈(ほうじょう)、茶席、総門、山門などの諸堂をもつ典型的な禅宗寺院形式の寺である。仏殿には本尊ほか、歴代藩主の等身大の坐像(ざぞう)を安置している。現在、京都国立博物館蔵の『餓鬼草紙(がきぞうし)』は当寺の旧蔵である。
[菅沼 晃]