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木工芸 モッコウゲイ

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デジタル大辞泉の解説

もっ‐こうげい〔モク‐〕【木工芸】

木材を材料とする工芸。指物挽(ひ)き物刳(く)り物曲げ物などがある。

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世界大百科事典 第2版の解説

もっこうげい【木工芸】

木を材料として美術的に価値ある製品をつくる技術,またその技術を用いてつくられた生産品のこと。家具や調度,建具なども含まれる。
西アジア,西欧]
 木の家具の歴史は古く,古代エジプトではファラオの玉座をはじめ寝台,椅子,腰掛,櫃(ひつ),テーブル,化粧箱,頭架などが作られている。それらの装飾には彫刻,象嵌,塗装,金箔付けなど木工芸にとって主要な装飾技法が使われていた。木材加工に使用した工具には鋸(のこぎり),鑿(のみ),ハンマー,斧,錐(きり),小刀,砥石(といし)などがあり,また部材の組手には枘接(ほぞつぎ)と蟻接(ありつぎ)などが使われていたことからみて,古代エジプトの木工技術はきわめて高い水準に達していたものとみられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

木工芸
もっこうげい

木材を用いて工芸的に加工する技法、またはその製品。木製品には器具や道具類のほかに、建築用材、橋梁(きょうりょう)、木柵(もくさく)、輿車(よしゃ)、舟などがあるが、木工芸は主として器具・道具類を加工する技術をさす。材料は加工法によって適材が選ばれるが、針葉樹では檜(ひのき)、杉、松など、広葉樹では桐(きり)、朴(ほお)、桂(かつら)、欅(けやき)(ぶな)、黄楊(つげ)、胡桃(くるみ)、楓(かえで)などがおもなもので、紫檀(したん)、黒檀(こくたん)、黒柿(くろがき)などの高級材なども用いられる。[荒川浩和]

木工芸の技法

器物を成形する方法によって、刳物(くりもの)、挽(ひき)物、指(さし)物、曲(まげ)物に大別される。[荒川浩和]
刳物
刀や鑿(のみ)を用いて削る方法で、古くは椀(わん)や鉢などの丸物の成形も行われたが、のちには脚、注口、把手(とって)、持送りなどの器物の部分をつくるのに主として用いられる。[荒川浩和]
挽物
轆轤(ろくろ)を用いて、椀、盆、鉢などの丸物を成形する技法。おもに欅、樅(もみ)、栃(とち)、桂、などを用いる。[荒川浩和]
指物
(いた)物ともいい、板材を組み立てて成形する方法。各種の箱類、棚、たんすその他の調度類をつくる技法で、檜、杉、桐、樅、欅などをおもに用いる。[荒川浩和]
曲物
檜や杉の薄板を曲げ、円形や楕円(だえん)形の胴部に底板をつける技法で、桜皮で留める。「わっぱ」とよばれ、蒸籠(せいろう)、ざる、篩(ふるい)、弁当箱、柄杓(ひしゃく)、炭櫃(すみびつ)などをつくるのに用いる。桶(おけ)は同一幅の薄板を円形または楕円形に並べ、底板をつけて箍(たが)で締めて成形するもので、曲物とは区別される。
 木工芸の加飾法には、木画(もくが)、木地螺鈿(きじらでん)、玳瑁貼(たいまいばり)、金銀絵、彩絵、金箔(きんぱく)押し、刻彫(こくちょう)、漆(うるし)塗りなどがある。木画は、木、竹、牙(きば)、角(つの)などの細片を木地に象眼(ぞうがん)して幾何的模様や具象的模様を表す方法と、紫檀、黒柿、香木などの薄板を方形や菱(ひし)形に切って器物に貼り付けて幾何的模様を表す方法とがある。後世の木(もく)象眼や寄木細工はこの系統の技法である。木地螺鈿は紫檀地などに模様に切った厚貝を象眼する技法で、玉、石、サンゴなどを用いた木象眼も同系である。玳瑁貼は器物の表面または一部に玳瑁(べっこう)を貼る装飾法で、裏に彩絵を施したり金箔を押す方法を伏彩色という。金銀絵は金銀の細粉を膠(にかわ)で溶いて模様を描く技法で、顔料(がんりょう)を用いたものを彩絵という。金箔押しは、表面に金箔を押して飾る場合と、模様を表す方法とがある。模様を表す技法は箔絵ともいい、方形、短冊形、菱形などの切箔を用いて具象文や界線を表す方法もある。刻彫は器物に刀や鑿で模様を彫り表す方法で、浮彫りと透(すかし)彫りがあり、一般に「彫物(ほりもの)」とよばれる。漆塗りは透明塗りや各色の塗りを施す方法であるが、木工芸とは別種の技法として扱われることが多い。[荒川浩和]

木工芸の歴史

木製品は腐食しやすく、発見される考古遺物は好適な条件に恵まれた例であり、木工芸の歴史がどこまでさかのぼるか明らかではない。日本で現在知られている木製品の出土例は、福井県鳥浜や千葉県加茂(かも)の縄文前期の遺跡から発見されたものが古い。盆状や皿状木器の断片、櫛(くし)、道具の柄(え)、櫂(かい)、弓その他があり、主として両刃や片刃の磨製石斧(せきふ)を用いたとみられる。縄文後期になると出土品も多く、なかでも青森県是川(これかわ)遺跡の弓、太刀(たち)、椀、高坏(たかつき)その他が知られている。弥生(やよい)時代には各種石斧を用いるとともに、一部鉄製の斧(おの)や手斧(ちょうな)が併用された。弥生中期以降は木工技術が発達し、斧、手斧、鉈(なた)、刀子(とうす)、鑿、錐(きり)などの工具が用いられ、また回転台(轆轤の系統)の使用や(ほぞ)組が行われた。中期の滋賀県近江八幡(おうみはちまん)市の大中の湖南(だいなかのこみなみ)遺跡、後期の静岡県山木遺跡からの出土品が知られ、奈良県唐古(からこ)遺跡や静岡県登呂(とろ)遺跡発見の高坏は回転台使用の好例である。
 古墳時代になると大陸の技術が伝来して、技術が急速な発達をみせる。奈良時代には令(りょう)制では筥陶司(はこすえのつかさ)が宮内省に所属し、箱類や陶製食器類製作にあたった。正倉院宝物中には優れた木工技術や加飾法を示す遺例が多く、輪積法や印籠合口造その他の特殊な木地構成がみられる。
 平安時代には内匠(たくみ)寮が調度の製作や装飾にあたり、これに属する職種のなかには、細工・漆塗工・木工・轆轤工・黒葛工・柳箱工などがある。また、禁中・幕府・社寺などに属す手工業の工房を細工所といい、鎌倉幕府直属の細工所には木工・檜皮(ひわだ)工その他があった。平安時代は貴族文化の爛熟(らんじゅく)期で、いわゆる和様の美が成立し、木工芸の遺例にも洗練された形態の作がみられる。鎌倉・室町時代の調度類は基本的には前代の形式の継承であるが、形態や意匠には時代による相違が現れる。中世の座は、商工業その他の同業者がその特権を保証された特殊な団体だが、応仁(おうにん)の乱(1467~77)以降はこれに属さない職人が徐々に活躍するようになった。
 江戸幕府は西之丸に細工所を置き、細工頭のもとに諸職の世襲用達を管掌させ、各藩も産業奨励の政策もあって多くの工人を抱えた。そのため、この時代には木工芸が広く行われ、技術的にも非常に精巧になった。明治維新によって庇護(ひご)者を失った工人の多くは転業廃業せざるをえなかったが、明治の新政府は内外の博覧会への出品その他によって産業振興を計った。この結果、各地の木工芸も復活し、なかでも江戸指物象眼の系統や、石川県の木工が大いに盛んになった。江戸末期から明治に活躍した木工としては、小林如泥(じょでい)、木内喜八、木内半古(はんこ)、西村荘一郎、仰木(おうき)政斎、石川光明(みつあき)、堀田瑞松(ずいしょう)らが知られている。
 1907年(明治40)には文展が開催されたが、工芸部門は1927年(昭和2)にようやく設置された。第二次世界大戦後の1951年(昭和26)には文化財保護法が制定され、それに基づいて1970年に黒田辰秋(たつあき)(1904―82)と氷見晃堂(ひみこうどう)(1906―75)が「木工芸」の重要無形文化財保持者に認定されたのを第1回に、大野昭和斎(しょうわさい)(1912―96)、中台瑞真(ずいしん)(1912―2002)、川北良造(1934― )、大坂弘道(ひろみち)(1937― )、中川清司(きよつぐ)(1942― )、村山明(1944― )が認定されている。[荒川浩和]
『柳宗理・渋谷貞他編『木竹工芸の事典』(1985・朝倉書店)』

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世界大百科事典内の木工芸の言及

【イスラム美術】より

…工芸諸分野における一つの共通した特徴は,装飾面全体を種々の装飾モティーフですきまなく覆う,過剰とも思える装飾で,これによって,器物本来の性質,質感,機能性などが著しく損なわれる結果を招いている。イスラム工芸には,金属工芸,陶芸,染織,ガラス工芸,象牙細工,木工芸などの分野があり,とりわけ,金属工芸と陶芸が高度の発達を遂げて,東西両洋の美術に少なからず影響を与えている。
[金属工芸]
 金工においても,ササン朝ペルシア,ビザンティン,コプトなどイスラム以前の伝統が継承された。…

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