(読み)かい

精選版 日本国語大辞典 「界」の意味・読み・例文・類語

かい【界】

〘名〙
さかい。また、さかいのうち。区域。区画。世界
日葡辞書(1603‐04)「Cai(カイ)サカイ。すなわち、セカイ」 〔孟子‐公孫丑・下〕
② 特に、ある限られた仲間、社会。
※浮世草子・風流曲三味線(1706)二「さしうつむいたる粧(けは)ひ、此(この)(カイ)大黒とは見へず、吉祥天女に五割もよく」
物事境目。境界。
※学問のすゝめ(1872‐76)〈福沢諭吉〉九「満足にも二様の区別ありて其界を誤る可らず」
④ (Dhātu の訳。層、要素の意で、種族の義があるともいう) 仏語。
(イ) 分類を行なう場合の範疇(はんちゅう)となるもの。六根、六境、六識を総括して十八界といい、地、水、火、風、空、識の六つを六界というごとき場合。
(ロ) 境界(きょうがい)または世界。欲界、色界、無色界のごとき場合。
※九冊本宝物集(1179頃)九「この界にして彌陀の名号を一ぺんとなふれば、さいはうじゃう刹に一の蓮生ず」
⑤ 文章の行間、あるいは用紙の上下の部分に引かれた線。罫(けい)
※延喜式(927)一三「凡写年料仁王経十九部〈略〉鹿毛筆二管 堺料」
⑥ 工芸品などのしたがきに引かれた線。
類聚雑要抄室町)四「香壺筥一双〈略〉堺書料百疋 各五十疋」
生物の分類学上の用語分類群最上位に設けられる階級。生物は動物界植物界菌界などに分けられる。
地質時代時代区分「代」に相当する地質系統。代の期間に堆積した地層および形成されたすべての岩石のことで、たとえば古生代にできた地層や岩石を古生界と呼ぶ。

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デジタル大辞泉 「界」の意味・読み・例文・類語

かい【界】[漢字項目]

[音]カイ(漢) [訓]さかい
学習漢字]3年
空間を分けた区切り。物事のさかい目。「境界結界限界分界臨界
範囲を区切った特定の場所。「界隈かいわい外界各界眼界業界苦界くがい下界財界三界さんがい視界斯界しかい世界政界租界俗界他界冥界社交界

かい【界】

区切り。さかい。仕切り。「を接する」
限られた社会や範囲。多く接尾語的に用いる。「社交」「文学
《〈梵〉dhātuの訳。部類・要素・基礎などの意》仏語。
㋐人間存在の構成要素として類別の範疇はんちゅうとなるもの。六根六境六識のそれぞれを界として、十八界をたてる。
㋑宇宙の構成要素。地・水・火・風・空・識の六大ろくだいのこと。六界。
㋒領域または世界。欲界色界無色界の三界。
生物分類学上の基本階級の一つ。の上に位置し、従来は最上位の分類群とされていたが、現在は界の上にドメインという階級が設けられている。
地質年代による地層区分の最大の単位。年代区分の「」に対応し、「」をいくつか集合したもの。古生代中生代新生代の地層を、古生界・中生界・新生界とよぶ。

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百科事典マイペディア 「界」の意味・わかりやすい解説

界【かい】

地質系統の最も大きな区分単位。地質年代の代に対応する。たとえば古生界は古生代に形成された地層・岩体をさす。
→関連項目

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