芥子・罌粟(読み)けし

大辞林 第三版の解説

けし【芥子・罌粟】

ケシ科の大形二年草。東ヨーロッパ原産。高さ約1メートル。葉は緑白色で基部は茎を抱く。初夏、茎頂に紅・紅紫・白などの大きな四弁花を単生し、球形の果実を結ぶ。種子は小さく黒または白で多数あり、パンや和菓子の飾りに用いる。未熟の果実の乳液から阿片・モルヒネを製するので、一般の栽培は禁止されている。 〔「芥子の花」は [季] 夏。《己れ毒と知らで咲きけり-の花/虚子》〕
ケシ科ケシ属の草花の総称。ヒナゲシ・オニゲシなど。
カラシナの古名。特に、その種子。食用・薬用とするほか、仏寺で護摩をたくのに用いる。
芥子玉けしだま」に同じ。
よろいの飾り。こまかい鋲びようを飾りに打ちつけたもの。
芥子坊主けしぼうず」に同じ。
(名詞の上に付いて)きわめて小さいの意を添える。 「 -粒」 「 -本」

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精選版 日本国語大辞典の解説

け‐し【芥子・罌粟】

〘名〙
① カラシナの種子。その粉末を香辛料や薬用とする。また、辛味に煩悩を調伏する力があるとし、護摩をたくのにこれを加えて用いた。かいし。
※将門記(940頃か)「一七日の間に、焼く所の芥子は七斛有余なり」
② ケシ科の一、二年草。ギリシアおよび西南アジア原産。中近東、インド、中国などで栽培されている。日本には足利時代にインドから津軽地方に伝来したらしく、天保年間(一八三〇‐四四)に関西にも広がり、はじめ「津軽」と呼ばれた。茎は直立して高さ八〇~一七〇センチメートルになる。全体に白粉を帯び、葉は互生し長さ七~一五センチメートルの長楕円形で茎を抱き、縁に不規則な切れ込みがある。初夏、枝の先端に白、紫、紅や絞りなどの四弁花を開く。果実は球形で黄褐色に熟す。未熟のものからはアヘンの原料になる乳液を採り、種子からはけし油をつくる。漢方では果皮を罌粟殻(おうぞくこく)といい、鎮咳(ちんがい)・鎮痛・下痢止めに用いる。日本では「麻薬取締法」「あへん法」によって栽培が制限されている。漢名、罌粟、罌子粟。
▼けしの花《季・夏》
▼けしの実《季・夏》 〔伊京集(室町)〕
※俳諧・猿蓑(1691)二「ちるときの心やすさよ米嚢花(ケシのはな)〈越人〉」
③ (「けしばかり」「けしほど」の形で) カラシナやケシの種子がきわめて小さいところから、きわめて小さなもの、また、ごくわずかなもののたとえに用いる。けし粒。
※霊異記(810‐824)上「功徳大なること地の如く、己が為に一切に施せば、報を得ること芥子の如し」
※曾我物語(南北朝頃)一「年貢所当におきては、けしほどものこらず、横領する間」 〔法華経‐提婆達多品〕
④ 鎧(よろい)などに、こまかい鋲(びょう)をけし粒のついたように打って、飾りとしたもの。
⑤ 「けしだま(芥子玉)」の略。
⑥ (そのさまが②の果実に似ているところからいう) 「けしぼうず(芥子坊主)」の略。
※狂歌・徳和歌後万載集(1785)七「ことしよりつむりにけしを置そめて千代万代の数とりにせん」
※歌謡・松の葉(1703)二・しののめ「外面にしげき市人と、共に売り来るけしの花」
⑧ (頭髪を芥子坊主のようにしていることから) 唐人をあざけっていった語。
※雑俳・柳多留‐一二三(1833)「丸山の畑に芥子の種を蒔」
⑨ 婦人が髪を結うのに、頭頂の毛を少しばかり束ね結ぶもの。②の果実に類似しているところからの名。
※随筆・守貞漫稿(1837‐53)一一「ぐるり落し〈略〉是は正中の芥子を取るのみにて鬂髩一つに出す也」

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