(読み)アリ

デジタル大辞泉 「蟻」の意味・読み・例文・類語

あり【×蟻】

膜翅まくし目アリ科の昆虫の総称。体は小形で、黒色または赤褐色。頭・胸・腹部の間がくびれている。1匹の女王アリ、少数の雄アリ、多数の働きアリで集団生活を営む。地中や樹木に巣を作り、時に巨大な蟻塚を作る。日本にはクロヤマアリクロオオアリサムライアリなど100種以上が知られる。 夏》睡蓮の乾きたる葉に―遊ぶ/年尾
木材の先端に作る、先が広がった鳩尾きゅうび形。継ぎ手仕口しくちなどに用いる。

ぎ【蟻】[漢字項目]

[音]ギ(呉)(漢) [訓]あり
〈ギ〉昆虫の名。アリ。「蟻酸蟻集
〈あり〉「蟻塚蟻地獄白蟻

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精選版 日本国語大辞典 「蟻」の意味・読み・例文・類語

あり【蟻】

  1. 〘 名詞 〙
  2. アリ科に属する昆虫の総称。体色はふつう黒または赤褐色で、体長二~五ミリメートルのものが多い。頭、胸、腹部に区分され、特に胸部と腹部の間に深いくびれがある。大部分の種類では毒針はないが、蟻(ぎ)酸を放出する。地中や樹中に巣をつくり、女王アリ(雌アリ)、働きアリ、王アリ(雄アリ)などによる集団生活を営み、それぞれ分業する。女王アリ、王アリにははねがあり、羽蟻と呼ばれる。女王アリは空中での交尾後、はねは脱落し、多くの卵を産む。種類は多く、世界に広く分布。日本では約一〇〇種がみられる。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
    1. [初出の実例]「ありは、いとにくけれど、〈略〉水の上などを、ただあゆみにあゆみありくこそをかしけれ」(出典:枕草子(10C終)四三)
  3. 木材の端に、鳩尾(きゅうび)のように先を広く作った突起。他の木にはめ込んで、抜けないようにするためのもの。〔日本建築辞彙(1906)〕
  4. ありさし(蟻差)
  5. 衣服の部分の名称。袍(ほう)や直衣(のうし)の下方にある、襴(らん)左右に垂れている、耳のような部分。衽(おくみ)
    1. [初出の実例]「襴の左右に耳の様なる物をばありといふ」(出典:連阿口伝抄(1366)束帯)

蟻の語誌

上代から「あり」という語があったことは、訓仮名として用いられているところから知られる。中古・中世期までは和歌や物語・日記類には、ほとんど現われないが、随筆類・説話類には「蟻通し」の説話やその生態習性をとらえた話題で、しばしば現われている。

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普及版 字通 「蟻」の読み・字形・画数・意味


19画

[字音] ギ・ガ
[字訓] あり

[説文解字]

[字形] 形声
声符は義(ぎ)。字はまた・蛾に作り、蟻冢を作る技術を蛾術という。〔説文〕に蟻字を収めず、蛾字条十三上に「羅なり」とあり、徐鉉の校記に〔爾雅、釈虫〕の「蛾・羅、蛾なり」の文を引く。蛾術の蛾は蟻(ぎ)の音でよむ。〔大戴礼、夏小正〕に「十二玄駒(はし)る」とあり、玄駒とは蟻をいう。

[訓義]
1. あり。
2. ありのような黒い色。

[古辞書の訓]
名義抄〕蟻 アリ 〔字鏡集〕蟻 キササ・アリ・ヒヒル

[熟語]
蟻甕蟻潰・蟻観・蟻宮・蟻丘・蟻径・蟻穴・蟻結蟻孔蟻寇・蟻行・蟻合・蟻酒蟻聚・蟻集・蟻術蟻裳・蟻城蟻壌・蟻・蟻尊・蟻冢蟻垤・蟻塔・蟻動・蟻・蟻鼻蟻附蟻浮・蟻傅・蟻伏・蟻封・蟻磨・蟻民・蟻夢・蟻擁・蟻楼・蟻螻・蟻
[下接語]
巨蟻・群蟻・穴蟻・行蟻・蟻・虫蟻・浮蟻・楼蟻

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動植物名よみかた辞典 普及版 「蟻」の解説

蟻 (アリ)

動物。アリ科の昆虫の総称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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