(読み)ヒ

デジタル大辞泉 「被」の意味・読み・例文・類語

ひ【被】[漢字項目]

常用漢字] [音](漢) [訓]こうむる おおう かぶる かずく きせ
上からおおう。かぶせる。「被覆被膜光被
着る。かぶる。かぶるもの。「被服花被・外被・法被はっぴ
よくないことを身に受ける。こうむる。「被害被災被弾被爆
…される。「被告被曝ひばく被写体被乗数被傭者ひようしゃ
難読被衣かずき

かずき〔かづき〕【被/被衣】

《「かつぎ」とも》
かぶること。また、そのもの。
「この鉢―の風情をものによくよくたとふれば」〈伽・鉢かづき
きぬかずき」に同じ。

ひ【被】

[接頭]行為を表す漢語に付いて、他から…される、他からその行為をこうむる、などの意を表す。「選挙権」「保険者」

きせ【被】

裁縫で、縫い目が表から見えないように糸道にそって深く折ったときの、縫い目から折り山までの部分。折りきせ。「をかける」

かつぎ【被/被衣】

かずき(被)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「被」の意味・読み・例文・類語

かぶせ【被】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「かぶせる(被)」の連用形の名詞化 )
  2. かぶせること。上からおおうこと。また、そのもの。
    1. [初出の実例]「鼻紙袋も昔はひとつ口にして、脇入を入口のかぶせに、銀の大なる平金物に、様々の物好して打たり」(出典:随筆・賤のをだ巻(1802))
  3. 表面だけをよくしてりっぱなもののようにすること。特に、鍍金(めっき)をすること。また、そのもの。かぶせもの。
    1. [初出の実例]「被(カブセ)らしい金時計を帯の間から出して見て」(出典:青春(1905‐06)〈小栗風葉〉秋)
  4. 色仕掛けでだますこと。女が積極的に男に迫ること。
    1. [初出の実例]「せなかのあかをかくや川舟 風呂やものとめてかふせの浪枕〈胤久〉」(出典:俳諧・物種集(1678))
  5. 撒餌(まきえ)をいう。

ひ【被】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 寝る時に身にかけるもの。ふとんふすま。また夜着。ねまき。
    1. [初出の実例]「徐徐開被安枕、随衆而臥」(出典:永平道元禅師清規(13C中)弁道法)
    2. [その他の文献]〔漢書‐王章伝〕
  2. [ 2 ] 〘 接頭語 〙 行為を表わす漢語に付いて、他から…される、他からこうむるなどの意を表わす。「被後見人」「被選挙権」「被保険者」など。
    1. [初出の実例]「是迄戍兵を送り在る保護国は之を引揚げ被保護国に独立の地位を与ふべし」(出典:経国美談(1883‐84)〈矢野龍渓〉後)

かつぎ【被・被衣】

  1. 〘 名詞 〙かずき(被)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「被」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

[字音]
[字訓] ふすま・とばり・こうむる・かぶる

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は皮(ひ)。皮に表面に被るものの意がある。〔説文〕八上に「寢衣なり。長さ一身」とあり、〔論語、郷党〕「必ず寢衣り」の〔玄注〕に「今の小臥被、是れなり」という。衾(きん)は大被でかけ布団。すべて上より被い加えるものをいい、また他より受ける関係のことにも用いて受身の意となる。被離(ひり)は擬声語、ばらばらというのに当たる。

[訓義]
1. ふすま、ふとん、よぎ、ねまき。
2. とばり、ほろ、おおい。
3. こうむる、かぶる、かぶりもの、きもの、おびる。
4. うける、およぶ、くわえる。
5. 受身、る、られる。
6. (ひ)と通じ、かつら、かもじ。
7. (ひ)と通じ、うちかけ。

[古辞書の訓]
名義抄〕被 カウブル・カウブラシム・フスマ・オホス・キル・キス・キモノ・オヨソ・ミダル・クラオク・カヅク・ツク 〔字鏡〕被 カツラ・クラオク・ヤトフ・キル・ヲル・カヅク・カフル・オヨソ

[語系]
被・皮biai、披・phiaiは声近く、は肩衣。すべて上に被覆するものをいう。

[熟語]
被衣・被臥・被害・被劾・被褐・被及・被裘・被巾・被衾・被具・被堅・被譴・被甲・被告・被・被讒・被施・被緇・被児・被酒・被鶉・被褥・被捶・被毳・被錫・被袋・被単・被池・被・被縛・被髪・被般・被被・被誣・被風・被覆・被服・被閉・被謗・被・被麗・被離・被練・被窩
[下接語]
衣被・帷被・横被・温被・加被・画被・外被・寒被・綺被・錦被・広被・光被・絳被・紙被・被・昌被・翠被・被・大被・衲被・被・半被・法被・布被・溥被・覆被・被・夜被・羅被

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【寝具】より

…褥は上蓆(うわむしろ)ともよばれるが,絹織物または藺蓆を表に,真綿や菅を芯にして四周に縁をつけたものである。掛具は衾(被)(ふすま)とよばれた。伏(ふ)す裳(も),つまり寝るときの衣服という意味である。…

※「被」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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