識字(読み)シキジ(その他表記)literacy

翻訳|literacy

デジタル大辞泉 「識字」の意味・読み・例文・類語

しき‐じ【識字】

文字が読めること。文字の読み書きができるようになること。「識字運動」「識字率」

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共同通信ニュース用語解説 「識字」の解説

識字

識字しきじ 文字の読み書きができること。識字の力がない大人は、世界で7億5千万人以上ともいわれる。学校に通えない子どもの多い国もあり、ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんは国連での演説えんぜつで「1さつの本、1本のペンが世界を変えられる」とうったえた。

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精選版 日本国語大辞典 「識字」の意味・読み・例文・類語

しき‐じ【識字】

  1. 〘 名詞 〙 文字を読めるようになること。
    1. [初出の実例]「中国では解放後、識字(シキジ)運動が盛んでありますが」(出典ソ連中国印象(1955)〈桑原武夫〉生産文化と消費文化)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「識字」の意味・わかりやすい解説

識字
しきじ
literacy

文字の読み書きができること。特定の国や地域における識字者の割合識字率 literacy rateと呼び,国際連合教育科学文化機関 UNESCOは成人識字率を 15歳以上の識字者の,人口に占める割合と定義している。どの程度の能力をもって識字とみなすべきかは,対象となる社会言語などによって異なり,専門家の間でも見解が分かれる。自分の名前を書けるか,ある程度実用的な読み書きができるかなど,多様な基準がとられる。識字は教育の基礎となり,経済発展や社会の発展と密接に結びついているため,識字率は重要な経済社会指標として人間開発指数の要素ともなっている。
中世以前は,庶民には教育を受ける機会や日常で接する文字や書物の量が乏しく,識字による便益も少なかったため,識字者は官吏や聖職者,学者などにかぎられた。ヨーロッパでは近代印刷技術が発展,宗教改革と相まって大衆に書物が普及し,市民社会成熟とともに近代的な公教育制度が整備され,識字が広まった。日本では近世文書流通が増加し,また寺子屋が庶民の教育に寄与したため識字率は同時代の世界で比較的に高水準だったとされるが,地域間や男女間,階層間での差が大きく,能力の程度はまちまちだったとする説もある。明治期,学校教育の確立(→学制),就学率の向上により識字率は飛躍的に高まった。今日,日本では公的な識字率の調査は実施しておらず,義務教育の就学率をもって識字率としている。
識字の定義は多様だが,21世紀初めにおいて,世界の男性の 8割,女性の 7割がおおむね識字者とされた。識字率は,欧米や日本など先進国では 100%に近いが,南アジアやサハラ以南のアフリカなどの発展途上国では低い。一地域内でも,社会経済的地位などにより格差があり,女性の教育が軽視される地域では性差が大きい。UNESCOの発表によると,1950年から 2000年までに世界の非識字率は 44%から 20%となったが,非識字者の数は 7億人から 8億6000万人へと増加した。国際連合は 1990年を国際識字年に,2003~12年を「国連識字の10年」と定めキャンペーンを展開した。今日,UNESCOをはじめとする国際機構や各国政府,非政府組織 NGOなどが識字教育を推進している。

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普及版 字通 「識字」の読み・字形・画数・意味

【識字】しきじ

字を知る。

字通「識」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の識字の言及

【読み書きそろばん(読み書き算盤)】より

…読み書きそろばんが人々を鋳型にはめこむのではなく,一人一人に潜在する可能性を引き出し,創造性を育てる役割を果たさせることが必要であり,それを実現できるような教育の確立が求められている。識字運動【山住 正己】
【日本】

[古代]
 日本古代での読み書きは,中国大陸や朝鮮半島から渡来した人々やその子孫について,漢字を学習することから始まった。だが漢字は日本語を表記するための文字ではないので,初めのうちは漢字の意味と関係なしに字音だけを借りて日本語の人名や地名など固有名詞を表記し,文章全体は漢文すなわち中国語で表記せざるをえなかった。…

【ロボティクス】より

…従来,ロボットの設計・製作・制御に重点がおかれていたため,ロボット工学を指す場合が多いが,近年,産業面以外の応用の議論が盛んになされ,ロボットに関連したさまざまな科学研究を総じて〈ロボティクス(ロボット学)〉と呼ぶ傾向が強くなってきている。現在,工場などで利用されている産業用ロボットは,一般大衆がイメージするロボットから程遠く,後者は主に大学や研究所などで〈自律ロボット〉として研究対象となっている。…

※「識字」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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