没する(読み)ボッスル

デジタル大辞泉 「没する」の意味・読み・例文・類語

ぼっ・する【没する】

[動サ変][文]ぼっ・す[サ変]
沈んだり埋もれたりして見えなくなる。また、沈めたり埋めたりして隠す。「太陽が山のに―・する」「姿を暗闇に―・する」
(「歿する」とも書く)死ぬ。「異郷に―・する」
なくする。また、無視する。「自我を―・する」「功を―・する」
所有物を取り上げる。没収する。「資格を―・する」
[類語](1沈む沈没沈める沈下沈降沈殿/(2亡くなる逝く果てるくたばるみまかる瞑する隠れる死ぬ死する眠るたおれる事切れる先立つ旅立つ死去する死亡する死没する物故する絶命する絶息する永眠する瞑目めいもくする逝去せいきょする長逝ちょうせいする永逝えいせいする他界する昇天する往生おうじょうする落命する急逝きゅうせいする急死する頓死とんしする横死する憤死する夭折ようせつする夭逝ようせいする息を引き取る冷たくなるえなくなる世を去る帰らぬ人となる不帰の客となる死出の旅に出る亡き数に入る鬼籍に入る幽明さかいことにする黄泉こうせんの客となる命を落とす人死に物化まか絶え入る消え入るはかなくなる絶え果てる空しくなる仏になる朽ち果てる失命夭死臨終ぽっくりころり突然死即死

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「没する」の意味・読み・例文・類語

ぼっ‐・する【没・歿】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]ぼっ・す 〘 自動詞 サ行変 〙
    1. 沈む。はいる。
      1. [初出の実例]「雲州は日すみの宮と云て日没する方、亥の方ぞ」(出典:日本書紀桃源抄(15C後))
    2. 隠れる。見えなくなる。
      1. [初出の実例]「小作米のことは其の念頭から没し去ることはなかった」(出典:土(1910)〈長塚節〉五)
    3. ( 「歿」とも書く ) 死ぬ。果てる。
      1. [初出の実例]「都の外の荒々たる野原の旅の道、没せし時はいまだしき時なり」(出典:海道記(1223頃)蒲原より木瀬川)
    4. 滅びる。
    5. 闕所(けっしょ)になる。
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]ぼっ・す 〘 他動詞 サ行変 〙
    1. 沈める。うずめる。中に入れる。
      1. [初出の実例]「或時河水俄に溢れ出、家屋田地、尽くこれが為に没せられ」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一三)
    2. 隠す。見えなくする。無いようにする。
      1. [初出の実例]「気の毒とは自我を没(ボッ)した言葉である」(出典虞美人草(1907)〈夏目漱石〉一四)
    3. とりあげる。没収する。また、滅ぼす。
      1. [初出の実例]「さなければ欲に身を没するぞ」(出典:史記抄(1477)一九)
      2. 「其の他、穀を占むる、今亦並に没せらるると」(出典:江戸繁昌記(1832‐36)三)
    4. 闕所とする。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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