シャワー(英語表記)shower

翻訳|shower

精選版 日本国語大辞典 「シャワー」の意味・読み・例文・類語

シャワー

〘名〙 (shower)
① 水や湯をじょうろ状の噴出口から雨のように注ぐ装置。また、その水、湯。
※大英游記(1908)〈杉村楚人冠前記浴場は方(ばう)一坪許り、シャワー、バッスあり、化粧台あり」
② 宇宙線が空気などの物質を通過中に、その原子と衝突して中間子などの粒子を放射状に発生させる現象をいう。〔百万人の科学(1939)〕

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デジタル大辞泉 「シャワー」の意味・読み・例文・類語

シャワー(shower)

じょうろ状の噴出口から湯や水を注ぎかける装置。また、その湯や水。 夏》
高エネルギーの粒子が物質層に入射してその原子と衝突、次々と二次粒子を発生させる現象。
[類語]風呂風呂場浴室バスルーム湯殿蒸し風呂サウナバス

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改訂新版 世界大百科事典 「シャワー」の意味・わかりやすい解説

シャワー
shower

物理学用語。高エネルギー粒子が物質と相互作用をして多数の粒子を発生する現象。その飛跡がシャワー状になるのでこの名がある。入射粒子がハドロンの場合には原子核との衝突によってπ中間子の多重発生を起こし,ハードシャワーhard showerと呼ばれる。また,これが物質中で繰り返し発生して数を増す現象は,核カスケードシャワーnuclear cascade showerあるいはNカスケードN-cascade,核カスケードという。γ線や電子の場合には原子内電場との相互作用によって,γ線は電子・陽電子対の創生を,また,電子,陽電子はγ線の放射を繰り返すため,シャワーの成分はγ線,電子,陽電子の混合したものとなり,電磁カスケードシャワーelectro-magnetic cascade showerまたは電磁カスケードと呼ばれる。いずれのシャワーも入射エネルギーにほぼ比例した粒子数の極大に達した後は,電離損失などによって減衰し物質に吸収される。核カスケードは,通常,シャワー粒子中の中性π中間子が短寿命で二つのγ線に崩壊して電磁カスケードを発生させ,また,荷電π中間子の一部はμ粒子に崩壊するため,これらの成分の混合した複雑なシャワーに発達する。空気シャワーair showerは,その一例で,超高エネルギーの宇宙線が大気中に突入し,その進行方向に沿って発生する高エネルギー核カスケードを中心軸に,多数の電磁カスケードが枝分れして発達し,地上に到達するときには,中心から1~2kmの範囲に数百万個から数十億個の電子成分と,その約10%のμ粒子をもつような巨大なシャワーとして降ってくる。観測された最大の空気シャワーは粒子数1011個,全エネルギー1021eVである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャワー」の意味・わかりやすい解説

シャワー
shower

高エネルギーの宇宙線粒子が多数の二次粒子をつくり,これらがシャワーの水滴のように放出される現象。宇宙線シャワーともいう。 1929年 D.V.スコベルツィンが宇宙線観測中に霧箱の壁の1点から数個の飛跡が出現するのを発見した。霧箱で観測されるシャワーの多くはカスケードシャワーで,二次粒子は電子と陽電子である。霧箱内に鉛板を入れるとその増殖と減衰の過程が見られる。核カスケード過程で発生した透過性シャワーも見られ,二次粒子は核子中間子である。原子核乾板で観測されるジェットはジェットシャワーとも呼ばれる。超高エネルギーの一次宇宙線が大気上空で核カスケード過程と電磁カスケード過程で,多数の電子,陽電子,光子,核子,中間子を生じたものは空気シャワーとなって地上に達する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャワー」の意味・わかりやすい解説

シャワー
しゃわー
shower

背よりやや高いところに、細かい穴が沢山ある噴水口があって、コックをひねると適当な温度の湯が出る装置。その噴水口から出る湯のこともいう。日本には洋風の生活様式とともにもたらされた装置で、住宅では風呂(ふろ)とともに設けられるのが普通であるが、日本以外の地域では単独で設けられることも多い。

 また、洋式の入浴法では浴槽の中でせっけんを使って体を洗うので、最後に汚れを洗い流すためにシャワーが必要である。そのために浴槽の中でシャワーが使えるように、浴槽の上の壁面にシャワーを取り付けるか、ハンドシャワーを設けるのが普通である。最近は和風の浴室でも、洗髪等のためにシャワーを設けることが多くなっている。

[平井 聖]

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世界大百科事典(旧版)内のシャワーの言及

【宇宙線】より

…また,γ線は宇宙線源の近傍で強く放出されるはずなので,γ線点源の探索もなされている。
[軟成分と硬成分]
 一次宇宙線が大気中に突入すると,陽子は約80g/cm2(ここでg/cm2は物質の厚さ(この場合は大気)を示す単位で,密度ρg/cm3の物質lcmの層をρlg/cm2と表す),ヘリウムは約45g/cm2,鉄は約14g/cm2の平均自由行路で空気を構成している原子核と衝突し,シャワーshowerと呼ばれる二次粒子発生現象でエネルギーを失う。このため一次宇宙線は大気の深さとともに指数関数的に強度を減じ,地上に到達するものはほとんどなく,したがって地上の宇宙線は二次宇宙線である。…

【宇宙線】より

… ハドロンの相互作用については,エマルジョンチェンバー(原子核乾板と炭素,鉛などの板とを交互に多数段積み重ねた核反応検出装置)を気球や飛行機に搭載したり,高山に大面積に展開して研究がなされ,中間子多重発生現象では,横方向運動量一定の法則,発生粒子数のエネルギー依存性,特別な型の相互作用など,多くの成果が得られている。さらに高いエネルギー領域については,山上や地上の広大な面積に多数のシンチレーションカウンターやその他の計数管を散在させた装置で,拡大空気シャワーとして降ってくる105~1010個の荷電粒子の観測を行い,超高エネルギー核相互作用の特性についての究明が行われている。また,レプトンについても,μ粒子の寿命は2.15×10-6秒であるが,高エネルギーでは相対論的効果によって寿命が延び遠方まで到達するので,電磁石スペクトロメーターによる運動量と正負の荷電比の測定,カロリーメーターによる相互作用の測定,地下約1万m水深相当(m.w.e.と表示する)までの深さと強度の関係などが観測されている。…

※「シャワー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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