デジタル大辞泉
「閉」の意味・読み・例文・類語
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と・じる とぢる【閉】
[1] 〘自ザ上一(ダ上一)〙 と・づ 〘自ダ上二〙
① ひらいていたものが、ふさがる。しまる。とざされる。おおわれる。
※
源氏(1001‐14頃)明石「あさましくをやみなき頃の
気色に、いとど空さへとづる心地して」
② 人やものが、とじこもる。
※
千五百番歌合(1202‐03頃)八四九番「たえだえの木の葉が下の音づれも霜にとぢたる虫のこゑごゑ〈藤原通光〉」
③ 水がこおる。むすぼおる。凝結する。
※源氏(1001‐14頃)椎本「
つららとぢ駒ふみしだく
山川をしるべしがてらまづや渡らむ」
※明日への
楽園(1969)〈
丸山健二〉三「バーが閉じる時間だ」
[2] 〘他ザ上一(ダ上一)〙 と・づ 〘他ダ上二〙
[一] ひらいていたものを、ふさぐ。しめる。とざす。おおいつくす。
① 場所をとざす。しめる。おおいつくす。
※岩淵本願経四分律平安初期点(810頃)「城の門を閉(トチ)、街巷に坑を鑿ること」
※源氏(1001‐14頃)
夕霧「まだ
夕暮の霧にとちられて、内は暗くなりにたるほどなり」
② (「噤」の字を用いることもある) 口や目をあわせてふさぐ。つむる。つぐむ。
※
蜻蛉(974頃)上「まなことぢ給ひしところにて、経の心とかせ給はんとにこそありけれ」
[二] 中にこめて出ないようにする。
① 人やものを、とじこめる。
※源氏(1001‐14頃)
帚木「葎の門に思ひの外にらうたげな
らん人のとぢられたらんこそ、限りなくめづらしくはおぼえめ」
② 氷が張って水をとじこめて流れなくする。また、氷が張って池などをおおう。
※
拾遺(1005‐07頃か)冬・二四一「冬の池の上は氷にとぢられていかでか月の底に入るらん〈よみ人しらず〉」
[三] 集会や店などを終わりにする。
※倫敦消息(1901)〈
夏目漱石〉一「『
イースター、モンデー』だといふので、又店をとぢる」
とじめ とぢめ【閉】
〘名〙 (
動詞「とじめる(閉)」の連用形の名詞化)
※源氏(1001‐14頃)若菜上「思ひはなるる世のとぢめに、
文書きて
御方に奉れ給へり」
※源氏(1001‐14頃)橋姫「今はのとぢめになり給ひて、いささかの給ひおく事の侍りしを」
※編年大友史料‐永祿九年(1566)二月二一日・大友氏老中連署状「豊前国御闕所閉目之義、稠被二仰付一候之処」
※
上井覚兼日記‐天正二年(1574)八月一七日「是は十四五年彼
御閇目候間、爰に不
レ始由御意候」
とじ・める とぢめる【閉】
〘他マ下一〙 とぢ・む 〘他マ下二〙
① 事をなし終える。はたす。しとげる。
※源氏(1001‐14頃)
賢木「しはすの
二十日なれば、大方の世の中、とぢむる空のけしき」
② 命を終える。
※源氏(1001‐14頃)若菜下「重き病者(びょうざ)の俄にとぢめつるさまなりつるを」
③ とじこめる。
※玉塵抄(1563)
一一「吾がめや手かけ者どもよそえ行ときはま一つにをい入てじゃうををろしてとぢめたぞ」
④ 詮索する。
※日葡辞書(1603‐04)「コトバヲ togimuru(トヂムル)」
とず とづ【閉】
〘名〙 暦でいう十二直(じゅうにちょく)の一つ。この日は墓石を立てるのは吉で適し、開店その他の万事には凶で適さないという。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報