波浪は,風からエネルギーを供給されて発達中の風浪と,その供給を断たれて減衰過程にあるうねりとに分けられる。うねりは風浪にくらべて,峰線の長いなめらかな波面をもつ規則的な波で,多くは波長約100m以上,周期約8秒以上と長く,また波長,周期が長いものほど減衰に時間がかかる。風がやんだり,風域外へ伝播して,風から波へのエネルギー供給がなくなると,風浪はその中の短い周期成分,すなわち短波長成分から減衰を始める。減衰は水の粘性や空気の抵抗のほかに流体運動の非線形作用によって起こる。非線形作用は短波長の波を長波長の波に変える効果があるので,短波長の波ほど急速に消える一方,長い波長の波ほど,より短い波長の波のエネルギーを吸収して最後まで残る。うねりの特徴はこのような理由で現れると考えられている。実際に南太平洋の暴風圏を源とするうねりが赤道を越え,はるかアラスカの沿岸に到達したり,赤道付近にある台風域で発生したうねりが土用波として日本の沿岸にうち寄せるように,暴風域で成長した波長数百mの巨大な波浪は,うねりとして1万km以上の遠方まで伝わることが知られている。またうねりは多くの場合,数分間の周期でその波高が大きく変化するビート現象を伴う。これは周期がわずかに異なる二つのうねりが重なり合うことによって生じるもので,暴風圏の外で現れる予想外の高波の多くは,これによるものと考えられる。このようにうねりは減衰過程にあるといっても,その持続性,広域伝播性から,多くの波浪災害に関係しており,航海の安全や沿岸防災上から決して軽視できない。気象庁ではうねりを表のような階級に分けて観測している。
→波浪 →風浪
執筆者:竹田 厚
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風が、ある程度広い海域をある程度長く吹き続けると風浪が発達する。発達した風浪は風を吹かせた低気圧よりも速く進むので、やがて風が吹く海域の外に出る。外に出ると周期も波長も長くなる。これがうねりである。風浪もうねりもさまざまな周期・波長を含んでおり、風速と発達の度合によるが、卓越する周期と波長は風浪で6秒前後、数十メートルであり、うねりでは11秒前後、200メートルくらいである。海水の摩擦の効果は弱いので、うねりは非常に遠くまで伝播(でんぱ)する。南方洋上の台風の暴風域で発達した風浪がうねりとなって、日本に到達するのが土用波である。風浪・うねりの高さ・周期の予報法は第二次世界大戦中に著しく進歩した。予報の精度は上陸作戦の成否にかかわるからである。
[高野健三]
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…例えば赤道帯や北緯23゜付近では100m/s近い偏西風が吹き,南緯18゜~20゜付近では50m/s近い偏東風が吹いている。
【風浪,うねり,高潮】
風によって起こされる波のなかで波長のあまり長くないものを風浪といい,波高の割合に波長の非常に長いものをうねりという。風浪とうねりでは波の形も異なり,風浪の波頂はとがっているが,うねりの波頂は山形にまるくなっている。…
…水面波のなかで,海面,湖面などに日常みられる風浪,うねり,およびそれらが岸近くの浅海で変形した磯波を総称して波浪という。すなわち波浪は,おもに風の力が原因となって生成される周期や波長の短い水面波で,潮汐,津波,高潮などの波とは,周期や波長,成因などの点から区別される。…
※「うねり」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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