精選版 日本国語大辞典 「カード」の意味・読み・例文・類語
カード
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翻訳|card
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繊維塊を解きほぐし,くし削って繊維を平行にし,ひも状の長い繊維束のスライバーsliverをつくる紡績機械。綿紡では梳綿(そめん)機とも呼ばれ,混打綿工程の後で使用される。これより後の工程では,細い糸をつくる際に用いるコーマーを除けばきょう雑物を取り除く操作は行われないので,雑物や不良繊維を除去することも重要な役目になっている。昔は繊維塊から直接糸を紡いでいたが,18世紀になると針を植えた板に綿花を載せて,同様な板でくし削るようになり,これが現在のカードへと発展した。図1に綿紡用の回転フラットカードの模式図を示す。Aは帯状に繊維を集めたラップで,ほどかれて右へ移動し,テーカーインBののこぎり歯状ガーネットワイヤで繊維は削り取られる。C,Dの部分で雑物を払い落とした後,繊維は反対方向に回転するシリンダーEに巻かれた針布の針またはのこぎり歯状のメタリックワイヤの歯(図3)に捕らえられて上方に移動し,ゆっくり動くフラットF(トップフラットともいう)の針との間でくし削られて平行になる。また雑物や短繊維は遠心力のためにフラット側に移り落綿となる。続いてシリンダー上の繊維はドッファーGの針先に移った後,ドッファーコームHでウェッブ状にはぎ取られ,ファンネルIで集束されてスライバーとなる。毛,麻,落綿などの紡績では,フラットの代りにメタリックワイヤを巻いたローラーを用いたローラーカードが使用される。ローラーは繊維をくし削るウォーカーとウォーカー上の繊維をシリンダーに戻すためのストリッパーとが1対になって作用する(図2)。梳毛では複数のシリンダーをもつカードを使用し,紡毛では各種原料を均一に混合するため梳毛用2台分に相当するカードを使用する。なおシリンダーとフラットあるいはローラー間,向かい合う針や歯などの相対位置や間隙(ゲージ)は重要である。図3-aでは針先が対向している状態で繊維を互いにくし削るが,bでは速度の大きい針のほうへ繊維はかき取られる。最近では,トップフラット以外はほとんど針の代りにのこぎり歯状のメタリックワイヤが用いられている。
執筆者:近田 淳雄
脱脂乳に酸または凝乳酵素を加えてできるカゼインを主成分とする凝固物をいう。牛乳の主要タンパク質であるカゼインは,等電点がpH4.6であるので酸を加えると沈殿し,凝乳酵素(レンネット,ペプシンなど)によっても変性して沈殿する性質をもつ。全乳から同様にして生ずるカードには脂肪も含まれる。カードを生成する牛乳のこのような性質はヨーグルトやチーズなどの製造に利用されている。牛乳を飲むと胃の中で胃酸とペプシンによりカゼインが凝固してカードができるが,そのカードが柔らかいと消化性がよい。牛乳を処理して,乳児の消化に適するような柔らかいカードができるようにした牛乳または育児用粉乳をソフトカードミルクという。ソフトカードにする処理法としては加熱,均質化,タンパク分解酵素処理あるいはイオン交換樹脂による脱カルシウムなどがある。無糖練乳(エバミルク)も一種のソフトカードミルクである。
執筆者:吉野 梅夫
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