翻訳|symposium
多数の者が一つの問題をめぐって議論を交わす集団討議法の一種。夕食後などに行われる酒宴を意味するギリシア語symposionに由来する。プラトンが,酒席で行われた〈愛〉をめぐる討論を内容とする著書(《饗宴》)の題名にシュンポシオンの語を用いてから,親しい雰囲気のなかで行われる論議をこう呼ぶようになった。一般に,数人の報告者がそれぞれ異なった角度から見解を述べ,そのあと参加者全員が加わって討論を行う形態をとるが,ときには,中心的な報告者が基調となる見解を述べ,これに複数の討論者が議論を加えたのち,全員の討議に移るなど,バラエティのある方法がとられることもある。他の類似の集団討議よりも大規模なものを,この名で呼ぶことが多い。従来はアカデミズムなど一部の世界に限られたものであったが,一つの問題をめぐりさまざまな観点から議論を展開することができるため,また多様な領域にまたがる複雑な構造をもつ現代的な問題を論ずるのに適した方法であるところから,今日では,さまざまな分野でシンポジウムの名を冠した企画が立てられるようになり,きわめて隆盛の感をみせている。とくに,新聞,放送,出版などのマス・メディアが,文化事業の一環として,現代的なテーマをかかげたシンポジウムを開催したり,さらにこれを紙上や放送で広く紹介するなどの事例が多く,海外からゲストを招き,国際的なスケールで行われる場合も少なくない。
執筆者:広瀬 英彦
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…一般的には,数人の討論者(パネラー)が司会者の進行により討議を交わし,そのあと聴衆も参加して質疑応答を行う形をとる。シンポジウムでは,数人の報告者がそれぞれ自己の見解を開陳し,それを素材に全員で討議するのに対し,ここでは,パネラーに対立的な意見を代表する者を選び,討論者相互で十分な議論を行うことに重点がおかれる。しかし,シンポジウムのなかにパネル・ディスカッション的な討論が組み込まれる場合もあるなど,類似の集団討議法との関係は必ずしも明確ではない。…
※「シンポジウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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