ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「フランドル美術」の解説
フランドル美術
フランドルびじゅつ
Flemish art
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フランドルは元来一州の名で、その地域はほぼ今日のベルギーにあたる。したがってフランドル美術とは、独立以前のベルギーの美術のことになるが、美術史的にはこの地に17世紀に栄えた美術をさし、この地を中心とした15~16世紀のネーデルラント美術と区別する意味で用いている。もちろんこの名称は、やがてこの地域がベルギーとして独立する1830年まで続くが、美術史上の繁栄は17世紀、とくにその前半であり、ここでもネーデルラント美術と同様、絵画が中心である。
17世紀は、ヨーロッパ美術史ではバロック時代であり、バロック美術である。植民地経済と反宗教改革後の旧教と結び付いた強大な王国の発達と隆盛のもとに展開したバロック美術は、たとえばフランスのベルサイユ宮殿によって代表される建築に、その一つの象徴をみる。一方、絵画も、当時の王侯貴族の豪華趣味と時代の現実主義のもと、独自の発展をする。しかも、フランドル絵画はその中核の一つであり、その象徴ともいうべき代表者がルーベンスである。彼はスペインのベラスケス、オランダのレンブラントとともに、17世紀最大の巨匠であるが、バロック絵画という場合、彼こそ、それにもっともふさわしいといえよう。17世紀バロック絵画は、彼の支配と影響のもとに、北方ルネサンス以来の自然主義を基調として展開した。そして、彼を中心に、それぞれに特色をもつファン・ダイク、ヨルダーンス、ヤン・ブリューゲル、テニールスらの大画家が輩出した。
その後、18世紀を経て、ベルギーとして独立後も、19世紀中ごろまでは、まったくフランス絵画の地方画壇となり、ようやく19世紀後半に至って、その存在を明らかにした。他方、建築と彫刻は、オランダ同様、一地方様式にとどまり、19世紀に至って、彫刻の写実主義者ムーニエが出た。これに対し工芸は、15世紀以来、優れた織物やレース編みの産地として発展し、ヨーロッパの指導的役割を果たしてきた。
[嘉門安雄]
『『世界美術全集33 近世I』(1965・角川書店)』▽『嘉門安雄解説『大系世界の美術16 バロック美術』(1973・学習研究社)』
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…一般には,17世紀初頭にイタリアのローマで誕生しヨーロッパ,ラテン・アメリカ諸国に伝播した,反古典主義的な芸術様式をいう。 バロック(フランス語でbaroque,イタリア語でbarocco,ドイツ語でBarock,英語でbaroque)という語の由来については2説ある。一つはイタリア語起源説で,B.クローチェによると,中世の三段論法の型の一つにバロコbarocoと呼ぶものがあり,転じて16世紀には不合理な論法や思考をバロッコbaroccoと呼ぶようになった。…
※「フランドル美術」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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