翻訳|machismo
中南米で色濃く残る男性優位主義。植民地時代、大土地を所有する主人が下僕や女性を強い指導力で率いる文化が浸透し、女性を男性に従属する存在とみなす思想につながった。中南米で強大な権限を持つ大統領制を敷く国が多いことの背景とも言われる。語源のスペイン語「マチョ」は男らしさを意味し、日本語で筋骨隆々を表す「マッチョ」の起源とされる。男性による女性への暴力だけでなく、育児や家事に参加しないこともマチスモの一例。(メキシコ市共同)
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ラテン・アメリカのメスティソ社会において男らしさを強調する言葉。マチョmachoは雄を意味するスペイン語であり,男性の力,勇気,誇り,性的能力に言及する言葉であるが,ラテン・アメリカに入るとインディオ的解釈が加わり,植物や物の大きさ,状態,力,その他の属性における優位性をも意味するようになった。マチスモは男らしさを強調する生き方を意味し,メスティソ社会の価値観を代表する。ヨーロッパ地中海世界に共通にみられる,家族や社会的名誉をになう男らしさを重視する傾向が,主としてスペインを通じてラテン・アメリカに入り,定着したと推測できる。しかし男女平等を一応の原則とする北アメリカのアングロ世界が対照例として強調しすぎたきらいがある。
執筆者:黒田 悦子
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…この傾向が政治面でも働いてくると,カウディーリョ(政治ボス)が出現し,制度と官僚制を無視した独裁制が生まれがちである。 信頼に耐える人間は内的個性,つまり魂(アルマalma)をもっており,他人の侮辱をうけないように魂を男らしく守らねばならず,ここから男らしさの強調,つまりマチスモが生まれる。魂を守って孤独に生きる人間はフィエスタfiestaに安らぎを求める。…
※「マチスモ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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