デジタル大辞泉
「丁」の意味・読み・例文・類語
ちょう〔チヤウ〕【丁】
[名]
1 2で割り切れる数。偶数。特に、さいころの目の偶数。「丁か半か」⇔半。
2 市街地を分けたもの。町。「銀座八丁」→丁目
3 「町2」に同じ。「頂上まで五丁」
4 ⇒てい(丁)3
5 ちょうど。まさに。
「わしは戌で―六十」〈浄・鑓の権三〉
[接尾]助数詞。
1 和装本の裏表2ページをひとまとめにして、それを数えるのに用いる。枚。葉。「五丁の草子」
2 豆腐を数えるのに用いる。
3 料理・飲食物の一人前を単位として数えるのに用いる。「天丼一丁」
4 相撲・将棋などで、勝負の取組・手合わせなどの回数を数えるのに用いる。番。
5 ⇒挺
てい【丁】
1 十干の第四。ひのと。
2 成績や等級・順位などの第四位を表す語。「甲・乙・丙・丁」
3 律令制で、庸・調・雑徭の賦課対象となる21歳から60歳までの男子。正丁。
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ちょうチャウ【丁】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① 令制で、成人男子のこと。二一歳から六〇歳までの男子。てい。→丁(てい)。
- ② ( 「長」とも書く ) 偶数。特に采の目の偶数をいう。半の対。→調(ちょう)。〔六物図抄(1508)〕
- ③ ( 「長」とも書く ) ちょうど…の意を表わす。しばしば、漢語数詞の上に付き、接頭語のように用いる。
- [初出の実例]「かだましいうでこきの英雄ちゃうほむるやうでそしったぞ」(出典:玉塵抄(1563)二)
- ④ ( 「長」とも書く ) 「ちょうせん(丁銭)」「ちょうひゃく(丁百)」の略。
- [初出の実例]「『いくらだね』『ハイハイ九百長(テウ)五十でござります』」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)三)
- ⑤ ⇒ちょう(町)
- [ 2 ] 〘 接尾語 〙
- ① 書物、特に、和装本の裏表二ページをひとまとまりとして数えるのに用いる。枚。葉。
- [初出の実例]「今日伊勢物語立レ筆、十余丁書レ之」(出典:実隆公記‐大永七年(1527)六月五日)
- ② 豆腐を数えるのに用いる。
- [初出の実例]「豆腐といふ物一丁出て」(出典:俳諧・本朝文選(1706)九・弁類・豆腐弁〈許六〉)
- ③ 料理・飲食物の一人前を単位として数えるのに用いる。
- ④ 相撲・将棋など、勝負の取組・手合わせなどの回数を数えるのに用いる。番。
- ⑤ 乗り物の駕輿(がよ)を数えるのに用いる。
- [初出の実例]「このまいを申せしとき、いぬゐのざしきに、こしが三ちゃうたったりしが」(出典:説経節・説経しんとく丸(1648)上)
てい【丁】
- 〘 名詞 〙
- ① 十干(じっかん)の第四番目。ひのと。また、事物を分ける時、甲乙丙についで四番目にあたるものを表わすのにも用いられる。
- [初出の実例]「丁 ヒノト テイ 強圉(キャウギョ)」(出典:元和本下学集(1617))
- [その他の文献]〔爾雅‐釈天〕
- ② 強いこと。さかんなこと。さかん。〔史記‐律書〕
- ③ 令制で、二一歳から六〇歳までの男子をいう。男子で庸・調・雑徭の力役を課される年齢の者。天平宝字元年(七五七)に下限を二二歳に引上げ、翌二年老丁の下限を六〇歳に引下げたので、丁の範囲は二年短縮された。ちょう。→正丁(せいてい)。
- [初出の実例]「凡男女三歳以下為レ黄。〈略〉其男廿一為レ丁」(出典:令義解(718)戸)
- [その他の文献]〔唐六典‐戸部・黒正〕
- ④ 令制で、女を表わす語の上に付いて二一歳から六〇歳までの女子を示す。ただし、女子には力役を負担する義務がなかった。
- [初出の実例]「女建部伊母豆売、年弐拾伍歳、丁女。〈略〉婦己西部哿麻売、年肆拾歳、丁妻」(出典:正倉院文書‐大宝二年(702)筑前国嶋郡川辺里戸籍)
- ⑤ ( 接尾語的に用いて ) 令制で、課役の対象となる男子であることを示す語。正丁・残丁・次丁の類。
ひ‐の‐と【丁】
- 〘 名詞 〙 ( 「火の弟(おと)」の意 ) 十干(じっかん)の第四番目。五行説によって五行の火に十干の丁(てい)を配したもの。てい。
- [初出の実例]「ひのと 夕されば逢見るべきを春の日の疾暮ぬこそ侘しかりけれ」(出典:歌仙本兼輔集(933頃))
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
普及版 字通
「丁」の読み・字形・画数・意味
丁
常用漢字 2画
[字音] テイ・チョウ(チャウ)・トウ(タウ)
[字訓] くぎ・ひのと・あたる
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
釘の頭。その頭を平面形の口で示すことがあり、卜文・金文はその字形であった。〔説文〕十四下に「夏時、物皆丁實す。象形」とする。「丁實」は丁壮の意であろう。また「丁はを承く。人心に象る」とするが、心の象形は心であり、丁はその形でない。〔爾雅、釈魚〕に「魚枕、之れを丁と謂ふ」とする。魚腸を乙、魚尾を丙とするのと一類の説である。十干の第四に用いる。
[訓義]
1. くぎ、釘の初文。
2. ひのと、丙丁は五行では火。丙をひのえ、丁をひのとという。
3. あたる、当と通用する。
4. さかん、つよい。
5. わかもの、丁壮、公役に供する人、人口、召使い。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕丁 ヒノト・アツ・アタル・サカユ・サカリ・ヲトコ・イホノカシラノホネ 〔字鏡〕丁 イホノカシラノホネ・ヨヲロ・カセ・カムカフ・カタキ・アツ・アタル・ヨシ・サカユ・ウツ・カセキ
[部首]
〔説文〕に部首一字、〔玉〕には汀の異文一字を加える。丁の初文であるが、〔説文〕十四上に「釘(てい)は(れんぺい)の金なり」とあって、金の板とする。その形は丁に似ており、釘頭の鋳塊であったのであろう。
[声系]
〔説文〕に丁声として・訂・亭・・頂・汀・町・釘および(成)など十二字を録する。は戉(えつ)(鉞(まさかり))に綏飾(すいしよく)を加えて器の成るを祝い、その呪飾とする意で、丁形はその綏飾であり、丁声の字ではない。他はおおむね丁の声義を承ける。頂は釘頭を人頂の意に及ぼしたものである。
[語系]
丁・頂tyengは同声。また巓tyen、天thyen、定dyeng、題dyeはみな声近く、山の巓頂(てんちよう)、顔の題額(ひたい)の部分をいう語である。當(当)tang、貞tiengは「あたる」とよむ字。その打つ音を丁丁という。丁丁は擬声語である。
[熟語]
丁▶・丁役▶・丁艱▶・丁彊▶・丁口▶・丁香▶・丁黄▶・丁妻▶・丁冊▶・丁算▶・丁子▶・丁字▶・丁実▶・丁女▶・丁税▶・丁籍▶・丁銭▶・丁壮▶・丁属▶・丁稚▶・丁中▶・丁冬▶・丁東▶・丁倒▶・丁当▶・丁寧▶・丁年▶・丁夫▶・丁賦▶・丁部▶・丁夜▶・丁憂▶・丁老▶・丁丁▶
[下接語]
役丁・園丁・戸丁・甲丁・獄丁・識丁・初丁・正丁・成丁・征丁・租丁・壮丁・男丁・馬丁・白丁・発丁・符丁・募丁・民丁・輸丁・輿丁・落丁・伶丁・零丁
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
丁
(1)和装本の二つ折りされた1枚の紙葉で,表裏2ページ分にあたる.丁数は各葉の折り目に記されている.張ともいう.枚と同義で使われることもある.(2)洋装本の基本的な構成単位である折丁のこと.
出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報
丁
てい
「ちょう」とも。律令制の年齢区分の一つ。男女の21~60歳の者を丁(正丁・丁女)と称する。籍帳に記載された例では,丁男・正女という表現もある。また丁には仕える者,課役負担者といった意味があり,数々の複合語で用いられている。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
丁
十干の一つ。五行の火行のうち、陰の火をあらわす。自然界では、きらめく焚き火やロウソクの火に例えられる。暗いところで、そばにいる人を暖めるという性質がある。
出典 占い学校 アカデメイア・カレッジ占い用語集について 情報
丁
本の表と裏のページを合わせた2ページ分、紙1枚のこと。
出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の丁の言及
【丁半】より
…さいころ2個を使ってする賭博。丁半賭博ともいう。丁とは偶数,半とは奇数のことである。…
【町割】より
…この敷地割が中世になるとくずれ,一つの街区が四つの面からなる四面町に移行する。やがてそれぞれの面が独立性を強めた丁(ちよう)と呼ばれるようになり,中世末にはさらに,縦横の街路をはさんで両側の丁で一つの町を構成し,両側町(りようがわちよう)が全面的に成立するようになる。中世京都におけるこの変遷は,都市の実際の居住者である商工業者たちが,実力で自分たちの活動に都合のよい,両側町という町割に作り変えたとみなすことができる(図1,図2)。…
※「丁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」