反訴(読み)ハンソ

デジタル大辞泉 「反訴」の意味・読み・例文・類語

はん‐そ【反訴】

[名](スル)民事訴訟の係属中に、被告から原告に対して提起する訴え。本訴併合して審理することを求めるもの。→応訴提訴
[類語]訴訟起訴上訴控訴抗告上告提訴訴える

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精選版 日本国語大辞典 「反訴」の意味・読み・例文・類語

はん‐そ【反訴】

  1. 〘 名詞 〙 民事訴訟で、訴訟の進行中にその訴訟手続を利用して被告の方から原告を相手方として提起する訴え。
    1. [初出の実例]「被告は口頭弁論の終結に至る迄本訴の繋属する裁判所に反訴を提起することを得」(出典:民事訴訟法(1926)二三九条)

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改訂新版 世界大百科事典 「反訴」の意味・わかりやすい解説

反訴 (はんそ)

原告が訴えた事件(本訴)が審理されているとき,被告がその事件といっしょに審理されるよう求めて提起する訴えをいう。たとえば,原告が貸した金を返せと訴えを起こしたのに対し,被告が別の債権で相殺すると主張し(抗弁),さらに残金があるからそれも支払えと訴える場合がこれにあたる。このような場合に,新たに別の訴えを起こさなければならないとすると,不経済でもあるし,矛盾した裁判が出たりするおそれもある。また,原告には請求の併合や訴えの変更が認められていることとのつりあいからいっても,被告に本訴手続を利用して併合審理される機会を与えるのが公平である。しかし,無制限に反訴を認めると,訴訟が膨大なものとなったり長期化するおそれもあるので,民事訴訟法一定の制限をもうけている。第1に口頭弁論終結までに限ること(ただし,控訴審では相手方の同意が必要である)。第2に反訴が他の裁判所専属管轄に属するような事件(たとえば,執行に関する裁判)でないこと,第3に本訴の請求と関連していること(たとえば,原告が買った品物を引き渡せと訴えたのに対し,被告がその代金の支払を請求する場合),または本訴の攻撃防御方法と関連していること(たとえば,原告が不法占有であるとして家屋の明渡しを求めたのに対し,被告が賃借権の確認を求める場合),第4に同種手続による裁判であって反訴が禁止されていないことなどである。反訴が禁止されている手続に,手形小切手訴訟や少額訴訟がある(民事訴訟法146条,300条,351条,369条)。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「反訴」の意味・わかりやすい解説

反訴
はんそ

民事訴訟法上の用語で、訴訟の係属中に被告から原告に対し、本訴請求またはこれに対する防御方法と関連する請求をするために、同一訴訟手続において提起する訴えをいう(146条1項)。要するに被告が、その防御方法の一つとして、原告に対し本訴手続において提起する新たな訴訟中の訴えである。たとえば、自動車どうしの衝突事故により損害賠償を請求された被告が、その事故は原告の過失に基づくと主張して、逆に損害賠償を請求するような場合である。反訴は、本訴の口頭弁論の終結に至るまでいつでも提起することができる。また控訴審においても、相手方の同意があるときは提起できる(300条)。反訴手続には、本訴の規定が適用される(146条3項)。

[内田武吉・加藤哲夫]

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百科事典マイペディア 「反訴」の意味・わかりやすい解説

反訴【はんそ】

民事訴訟において訴訟中に被告から原告を相手にして本訴(現在係属中の訴え)との併合審理を求めて提起する訴え(民事訴訟法146,300条)。本訴の請求と関連のある当事者間の争いを一挙に解決するためのもの。第一審または控訴審の審理が終了するまでに提起しなければならないが,控訴審では原告の同意を要する。
→関連項目本訴

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「反訴」の意味・わかりやすい解説

反訴
はんそ
Widerklage

訴訟の係属中に被告が原告に対して,当該訴訟手続で審判すること,すなわち,本訴との併合審理を求めて提起する訴え (民事訴訟法) 。たとえば,売買代金請求訴訟において,被告が売買契約が有効とされる場合に備えて,売買の目的物の引き渡し請求訴訟を提起する場合がこれにあたる。反訴の提起にあたっては,反訴請求が本訴請求と関連していることが要件とされる。関連性があるかないかは,反訴請求の権利の目的物またはその発生原因である事実が,本訴請求のそれらと共通性をもっているかどうかで決められる。反訴は本訴の第1審または控訴審では原告の同意を得て提起できる。

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