原告が訴えた事件(本訴)が審理されているとき,被告がその事件といっしょに審理されるよう求めて提起する訴えをいう。たとえば,原告が貸した金を返せと訴えを起こしたのに対し,被告が別の債権で相殺すると主張し(抗弁),さらに残金があるからそれも支払えと訴える場合がこれにあたる。このような場合に,新たに別の訴えを起こさなければならないとすると,不経済でもあるし,矛盾した裁判が出たりするおそれもある。また,原告には請求の併合や訴えの変更が認められていることとのつりあいからいっても,被告に本訴手続を利用して併合審理される機会を与えるのが公平である。しかし,無制限に反訴を認めると,訴訟が膨大なものとなったり長期化するおそれもあるので,民事訴訟法は一定の制限をもうけている。第1に口頭弁論の終結までに限ること(ただし,控訴審では相手方の同意が必要である)。第2に反訴が他の裁判所の専属管轄に属するような事件(たとえば,執行に関する裁判)でないこと,第3に本訴の請求と関連していること(たとえば,原告が買った品物を引き渡せと訴えたのに対し,被告がその代金の支払を請求する場合),または本訴の攻撃防御方法と関連していること(たとえば,原告が不法占有であるとして家屋の明渡しを求めたのに対し,被告が賃借権の確認を求める場合),第4に同種手続による裁判であって反訴が禁止されていないことなどである。反訴が禁止されている手続に,手形小切手訴訟や少額訴訟がある(民事訴訟法146条,300条,351条,369条)。
執筆者:竜㟢 喜助
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民事訴訟法上の用語で、訴訟の係属中に被告から原告に対し、本訴請求またはこれに対する防御方法と関連する請求をするために、同一訴訟手続において提起する訴えをいう(146条1項)。要するに被告が、その防御方法の一つとして、原告に対し本訴手続において提起する新たな訴訟中の訴えである。たとえば、自動車どうしの衝突事故により損害賠償を請求された被告が、その事故は原告の過失に基づくと主張して、逆に損害賠償を請求するような場合である。反訴は、本訴の口頭弁論の終結に至るまでいつでも提起することができる。また控訴審においても、相手方の同意があるときは提起できる(300条)。反訴手続には、本訴の規定が適用される(146条3項)。
[内田武吉・加藤哲夫]
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