精選版 日本国語大辞典「右」の解説
みぎ【右】
〘名〙
① 正面を南に向けたときの西側にあたる側。人体を座標軸にしていう。人体で通常、心臓のある方と反対の側。また、東西に二分したときの西方。右方。
※栄花(1028‐92頃)著るはわびしと嘆く女房「今朝見れば嘆き明せる涙にはみぎの袂ぞあらはれにける」
※源氏(1001‐14頃)竹河「左大臣うせ給て、右は左に、藤大納言、左大将かけ給へる、右大臣になり給」
③ 歌合など、左右に分かれてする勝負事で、右方。
※昌泰元年亭子院女郎花合(898)「花はみぎおとり、歌はみぎ勝ちにけり」
④ 雅楽の分類で、右楽をさしていう語。高麗楽。
※古今著聞集(1254)一三「舞人、〈略〉右、左少将公親朝臣、左少将俊通朝臣」
⑤ (古代中国で列位の右方を上席としたところから) 上座。上席。
※浄瑠璃・仮名手本忠臣蔵(1748)四「拙者迚も其右には座せ共、今日より浪人となり、妻子をはごくむ術なし」
⑥ からだの中央から右側にある手足や器官。
※説経節・をくり(御物絵巻)(17C中)一四「よっぴきひょうとはなすやを、いちのやをば、みきでとり、二のやをば、ひたりでとり」
⑦ (②から転じて) 下座。
※読本・春雨物語(1808)死首のゑがほ「母と兄とすすめ、後に五曹の右に在て立ち走りするを」
⑧ (⑤から転じて) 二つを比べてすぐれている方、もしくは位の上位の方をいう。
※読本・椿説弓張月(1807‐11)前「その威徳(いきほひ)遂にわが父の右(ミギ)にあるべし」
⑨ 縦書きの文書で、前に述べたこと。前条。前件。以上。
※万葉(8C後)一一・二三六二・左注「右十二首柿本朝臣人麻呂之歌集出」
※日葡辞書(1603‐04)「miguini(ミギニ) マウシタ ゴトク」
⑩ (⑨から転じて) 話などで、前に述べたこと。
※浄瑠璃・仮名手本忠臣蔵(1748)二「主人判官申付候故右の仕合、此通若狭助様へ御申上下さるべしと」
⑪ (「右の」の形で) 例の。あの。
※天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事「miguino(ミギノ) ニニンノ モノドモガ ヲカサヌ カヲデ マウスワ」
⑫ 保守的、反動的な思想傾向があること。また、その人。右翼。
※ブラリひょうたん(1950)〈高田保〉ブラリズム「近ごろ中道ということがしきりといわれるが、あれは右でもあれば左でもあるというらしいから私とは大分違う」
みぎり【右】
※禅鳳雑談(1513頃)上「右の足を左へ踏み越すやうにしてみきりへかへる、大きに見ゆる」
みぎ‐・する【右】
〘自サ変〙 みぎ・す 〘自サ変〙 右の方へ行く。右の道をとる。〔名語記(1275)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報