(読み)ウ

デジタル大辞泉 「右」の意味・読み・例文・類語

う【右】[漢字項目]

[音](呉) ユウ(イウ)(漢) [訓]みぎ
学習漢字]1年
〈ウ〉
みぎ。「右折右辺右腕右往左往
保守的なこと。「右傾右派右翼極右
野球で、右翼。ライト。「右飛・右中間
〈ユウ〉
みぎ。「机右左右座右
たっとぶ。「右文
補佐する。「右筆
〈みぎ〉「右腕右側右手右端
[名のり]あき・あきら・これ・すけ・たか・たすく
[難読]右近うこん左右そう左右とかく左右とにかく右手めて

みぎ【右】

東に向いたとき南にあたる方。大部分の人が、食事のときはしを持つ側。右方。「四つ角に曲がる」⇔
右方の手。みぎて。「を差して寄って出る」⇔
左手より右手の利くこと。右利き。「の速球派投手」⇔
野球の右翼。ライト。「越え本塁打」⇔
保守的な思想傾向があること。右翼。「寄りの党派」⇔
二つを比べてすぐれている方。
縦書きの文章でそれより前の部分、またはそれより前に記してある事柄。「に述べたとおり」
《御所から見て右側になるところから》京都の町で西側の部分。「の京」
歌合わせ・絵合わせなどで、右側の組。⇔
10 官職を左右に分けたときの右方。昔、中国では右を上席とし、日本の官位制度の中では左を上位とした。「大臣おとど」⇔
[類語]右手右側右方ライト右翼右翼手

みぎり【右】

《「ひだり」に合わせて「みぎ」に「り」を添えた語か》「みぎ」に同じ。
「夫人の―の脇より身の中に入り給ひぬ」〈今昔・一・一〉

ゆう【右】[漢字項目]

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精選版 日本国語大辞典 「右」の意味・読み・例文・類語

みぎ【右】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 正面を南に向けたときの西側にあたる側。人体を座標軸にしていう。人体で通常、心臓のある方と反対の側。また、東西に二分したときの西方。右方。
    1. [初出の実例]「今朝見れば嘆き明せる涙にはみぎの袂ぞあらはれにける」(出典:栄花物語(1028‐92頃)著るはわびしと嘆く女房)
  3. 古く、官職を左右対称に区分したときの右方。通常左を上位とした。右大臣・右大将など。
    1. [初出の実例]「左大臣うせ給て、右は左に、藤大納言、左大将かけ給へる、右大臣になり給」(出典:源氏物語(1001‐14頃)竹河)
  4. 歌合など、左右に分かれてする勝負事で、右方。
    1. [初出の実例]「花はみぎおとり、歌はみぎ勝ちにけり」(出典:昌泰元年亭子院女郎花合(898))
  5. 雅楽の分類で、右楽をさしていう語。高麗楽。
    1. [初出の実例]「舞人、〈略〉右、左少将公親朝臣、左少将俊通朝臣」(出典:古今著聞集(1254)一三)
  6. ( 古代中国で列位の右方を上席としたところから ) 上座。上席。
    1. [初出の実例]「拙者迚も其右には座せ共、今日より浪人となり、妻子をはごくむ術なし」(出典:浄瑠璃・仮名手本忠臣蔵(1748)四)
  7. からだの中央から右側にある手足器官
    1. [初出の実例]「よっぴきひょうとはなすやを、いちのやをば、みきでとり、二のやをば、ひたりでとり」(出典:説経節・をくり(御物絵巻)(17C中)一四)
  8. ( から転じて ) 下座。
    1. [初出の実例]「母と兄とすすめ、後に五曹の右に在て立ち走りするを」(出典:読本・春雨物語(1808)死首のゑがほ)
  9. ( から転じて ) 二つを比べてすぐれている方、もしくは位の上位の方をいう。
    1. [初出の実例]「その威徳(いきほひ)遂にわが父の右(ミギ)にあるべし」(出典読本・椿説弓張月(1807‐11)前)
  10. 縦書きの文書で、前に述べたこと。前条。前件。以上。
    1. [初出の実例]「右十二首柿本朝臣人麻呂之歌集出」(出典:万葉集(8C後)一一・二三六二・左注)
    2. 「miguini(ミギニ) マウシタ ゴトク」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  11. ( から転じて ) 話などで、前に述べたこと。
    1. [初出の実例]「主人判官申付候故右の仕合、此通若狭助様へ御申上下さるべしと」(出典:浄瑠璃・仮名手本忠臣蔵(1748)二)
  12. ( 「右の」の形で ) 例の。あの。
    1. [初出の実例]「miguino(ミギノ) ニニンノ モノドモガ ヲカサヌ カヲデ マウスワ」(出典:天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事)
  13. 保守的、反動的な思想傾向があること。また、その人。右翼。
    1. [初出の実例]「近ごろ中道ということがしきりといわれるが、あれは右でもあれば左でもあるというらしいから私とは大分違う」(出典:ブラリひょうたん(1950)〈高田保〉ブラリズム)

みぎり【右】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ひだり」の語形に合わせて「みぎ」に「り」を添えた語か。また、一説に「にぎり」の変化したもので、「みぎ」の古い語形かとも ) =みぎ(右)名語記(1275)〕
    1. [初出の実例]「右の足を左へ踏み越すやうにしてみきりへかへる、大きに見ゆる」(出典:禅鳳雑談(1513頃)上)

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普及版 字通 「右」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 5画

[字音] ユウ(イウ)・ウ
[字訓] みぎ・たすける

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
(又)(ゆう)+口。は右手、口は祝告の器の(さい)。右に祝の器であるをもち、左に呪具である工を以て、神をたずね、神に接する。それで左右を重ねると、(尋)となり、神に接するとき、左右颯々(さつさつ)の舞を舞う。〔説文〕口部二上に「助くるなり」、また三下に重出して「手口相ひ助くるなり」とあり、〔段注〕に「手もて足らず、口を以て之れを助くるなり」とするが、そのような意味の会意ではない。左右の初文は工・口に従わず、卜辞では神祐を受けることを「(いういう)を受(さづ)けられんか」という。「」は「有祐」の意。は右・佑・(祐)の初文で、をその諸義に用いた。左右は神につかえる方法であったが、のち輔佐の意となり、金文には〔鐘(はつしよう)〕「先王其れ嚴としての左右に在り」、〔叔夷(しゆくいはく)〕「余(われ)一人を左右せよ」のように用いる。

[訓義]
1. みぎ、のりとをささげる手、みぎて。
2. たすける、のりとをささげてつかえる。
3. 侑(ゆう)と通じ、すすめる、したしむ。
4. たっとぶ、だいじにする。
5. さいわい、しあわせ。

[古辞書の訓]
名義抄〕右 ミギ・トル・タヒリ・ススニ・タスク/左右 トニカクニ・タスケ・タスク 〔立〕右 トル・スケ・ニモ・タヨリ・イヤメツラ・アマタ・タスク・マサニ・ヤスシ・コレ

[声系]
〔説文〕にの一字を録する。卜辞に右()を佑・の意に用いており、佑・・右の形声の字とみてよい。

[語系]
・右・佑・hiuは同声。が初文。右以下はその形声の字で、佑・は右の声義を承ける字。尤hiuと同声であるが、尤は対待の義で、尤禍の意。

[熟語]
右顧右援・右学・右鬼・右魚・右軍右契・右券・右史・右署・右職右姓右戚右族右袒・右武・右文右輔右榜・右列
[下接語]
掩右・海右・関右・貴右・居右・挙右・契右・権右・顧右・江右・攻右・豪右・左右・座右・在右・車右・戎右・尚右・将右・推右・折右・先右・陝右・薦右・尊右・袒右・端右・致右・道右・門右

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「右」の意味・わかりやすい解説


みぎ

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【象徴】より

…一般的に言って,象徴は,精神を一つの課題に直面させ,探究的な思惟へと向かわせ,さらに思考をいわゆる一義的な記号の閉じた回路から解き放つと同時に,精神をある全体的なものに向かわせる働きをもつといえよう。 たとえば右手と左手。右手と左手の機能差は単なる生理的な事実でしかない。…

【右と左】より

…右あるいは左を絶対的に定義することは不可能である。一般には例えば右を〈北を向いたとき東にあたる方〉とか〈東を向いたとき南にあたる方〉と定義するが,東を定義するのに〈北に向かって右〉とかいうふうに右,左を使わねばならないから,これは一種のトートロジーである。…

※「右」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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