(読み)シツ

デジタル大辞泉 「執」の意味・読み・例文・類語

しつ【執】[漢字項目]

常用漢字] [音]シツ(慣) シュウシフ)(呉)(漢) [訓]とる
〈シツ〉
手にとる。「執刀執筆
とり行う。「執行執政執務
とりついて離れない。「執拗しつよう確執固執
〈シュウ〉とりついて離れない。「執心執着執念我執固執偏執妄執
[名のり]もり

しゅう〔シフ〕【執】

物事を深く思い込んで、それにとらわれること。執着の心。執念。
「かかればこそは、何事にも―は留めじと思ふ世なれ」〈横笛

しゅう【執】[漢字項目]

しつ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「執」の意味・読み・例文・類語

しっ‐・す【執】

〘他サ変〙
① 深く心にかける。執心する。執着する。しゅうする。
※屋代本平家(13C前)五「昔より国々所々に多くの都を立てられしかども、此の如くの勝地はなしとて、桓武天皇殊に執(シッ)し思食されて」
② 物事を大切にする。大切に扱う。
太平記(14C後)九「御先祖累代の白旌(しらはた)あり、是は八幡殿より、代々家督に伝て執(シッセ)らるる重宝にて候けるを」
敬意を表する。おそれうやまう。尊重する。
梅津政景日記‐慶長一七年(1612)四月八日「せんさくの時かくし候事、公儀をしつせざる故歟」
④ とりつぐ。執奏する。
読本椿説弓張月(1807‐11)後「朝廷へ聞えあげて、為朝勅免の事を執(シッ)し申されしかば」

しゅう‐・する シフ‥【執】

〘他サ変〙 しふ・す 〘他サ変〙 深く心にかける。執心する。執着する。しっす。
今昔(1120頃か)三一「慈恵僧正の強く被執(しふせられ)たりける事にこそ有ぬれ」
人情本・貞操婦女八賢誌(1834‐48頃)二「自ら著(ぢゃく)し自ら執(シフ)する煩悩の、魔に迷ふをば」

とり‐・す【執】

〘他サ変〙 一つの事を、心を傾けてする。また、執心する。一心に行なう。熱心になる。
源氏(1001‐14頃)若菜下「あやしく人のざえ、はかなくとりすることどもも、もののはえありてまさるところなる」

しゅう シフ【執】

〘名〙 一つのことに深くとらわれること。ある物事を深く思いこんで忘れないこと。執念。執着。
※源氏(1001‐14頃)若菜下「なほ、みづからつらしと思ひ聞えし心のしふなむ、とまるものなりける」

とる【執】

〘名〙 民間暦でいう十二直(じゅうにちょく)の一つ。家造り、井掘り、種蒔き婚礼、取入れには吉、移徙(いし)出行蔵開きなどには凶とされる。〔暦日諺解(1789)〕

しゅう‐・す シフ‥【執】

〘他サ変〙 ⇒しゅうする(執)

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