精選版 日本国語大辞典 「理」の意味・読み・例文・類語
り【理】
り‐・す【理】
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中国思想における重要概念の一つ。その字義は物事の筋目、事物の条理法則をいう。理という語は『論語』『老子』にはみえず、『孟子(もうし)』にはわずかに「条理」の語がみえるだけで、戦国後期の『荘子(そうじ)』(外篇(がいへん)、雑篇)、『荀子(じゅんし)』『韓非子(かんぴし)』などに多くみえる。『荘子』では道がすべての事物にあるという主張から、道と事物とのかかわりを問題にしながら万物の理が説かれている。『荀子』にも「事理」「物の理」がみえ、『韓非子』では道を法として展開するとともに、道と理との関係を規定して、理が個物化・特殊化の原理であることをいっそう明確にした。こうした理の観念は漢代の『淮南子(えなんじ)』で深められる一方、戦国末から漢代にかけて道家の思弁の影響を受けた儒家文献において、『楽記』の天理・人欲の論、『易経』説卦伝(せっかでん)の「窮理尽性」の説がつくられ、後世に多大の影響を与えた。
理の概念は、魏晋(ぎしん)の玄学において有・無の議論とかかわって本体的な解釈を施され、六朝隋唐(りくちょうずいとう)期の中国仏教学のなかで、体用の論理を根底に置きながら、後の宋(そう)学の理につながる完全に本体的な形而上学(けいじじょうがく)的概念となった。とくに華厳(けごん)教学では「理事無礙(りじむげ)」「理法界」という、究極の境地を理の世界としてとらえる宗教哲学が生まれた。宋代の新儒学においては、理は気と並んできわめて重要な役割を果たした。程朱学では、一物に一理があり、「理一分殊」と称し、性即理の説から、事事物物の理を窮めることによって己に内在する理の発現を図るという「格物窮理」説を唱えた。これは、理を個物の原理と同時に普遍原理とすることによって、存在法則と道徳規範との一致を説こうとするものであった。朱熹(しゅき)(朱子)以後、こうした理の性格や理気の関係をめぐり、さまざまな考え方が出された。
[大島 晃]
『小野沢精一他編『気の思想』(1978・東京大学出版会)』▽『山田慶児著『朱子の自然学』(1978・岩波書店)』
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…中国で礼といえば,日常の礼儀作法にとどまらず,冠婚葬祭の通過儀礼はもとより,家,地域社会,学校,朝廷といった場における作法や式次第も包括する。特定の時と場にふさわしい,対他的な身体行動を規範化したもの,といえるだろう。のみならず,こうした個人の身体行動を超えて,国家を維持し運営してゆくためのシステムの総体もまた,礼の名で呼ばれた。《周礼(しゆらい)》は《儀礼(ぎらい)》《礼記(らいき)》とならぶ〈三礼(さんらい)〉の一つであるが,この古典的礼書には,宇宙の秩序になぞらえて官僚制度や文物典章が整然と記述されている。…
…〈悪〉という字の〈亜〉は古代の住居の基址を上から見た形で,押さえつけられたいやな感じをあらわすとされるし,北京語の〈悪心〉は,胸がつかえたときの不快感をいう。 悪とは何かという問題は,昔から倫理学の難問とされてきたが,西洋と東洋ではかなり違った考え方が見られる。西洋では,古代キリスト教の教父たちがこの問題と取り組んでいる。…
…中国,南宋の朱熹(しゆき)(子)によって集大成された思想体系。朱熹自身は自己の教義を〈道学〉〈理学〉〈聖学〉〈実学〉〈義理の学〉などと呼んだ。これらは本来,北宋時代に興った新儒教の一派の自称であって,朱熹はその教義のもっとも正統な後継者をもって自任していたのである。…
…そのため禅心学は無の哲学をその中核に保有する。これに対抗して宋の程朱学(朱子学)は理学(性理学,道学)を主唱した。彼らは禅心学を,定準なき心に安易に依存し容易に私意妄行に陥り,これでは主体性を確立し人格的に自立することも不可能であり,経世済民の責任を担うこともできない,と激しく非難した。…
…北宋の程頤(ていい)(伊川)によって提唱され,南宋の朱熹(しゆき)(子)によって発展させられたテーゼ。程伊川と同時代の張載(横渠(おうきよ))は〈心は性と情とを統括する〉と述べたが,伊川―朱子によれば,性(本性)は理であるのに対して情(感情,情欲としてあらわれる心の動き)は気であるとされる。気は本来善悪とは関係のない存在論的なカテゴリーであるが,朱子学では心を形づくる気は不善への可能性をはらむとみなすので,情=気の発動いかんによっては本来的に天から賦与されている善性=理がゆがめられるおそれがある。…
…中国では文化の担当者が政治家・官吏であったため,学問が現実生活の必要に密着しすぎ,理論としての体系を構成することが不十分であった。哲学もまたその例外ではなく多くの場合,道徳学・政治学の域にとどまることが多かった。…
…このときに書かれたのが,その思想の総決算というべき《程氏易伝(えきでん)》(《易経》の注釈書)であった。彼の思想はひと口に〈理〉の哲学といわれるが,理と気を峻別し,一事一物に宿る理の追求(窮理)を学問の根底にすえた。また,〈性即理〉説にもとづいて人間性のたえざる純化と向上を説き,その修養法として〈窮理〉と〈居敬〉の双修を提唱した。…
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送り状。船荷証券,海上保険証券などとともに重要な船積み書類の一つで,売買契約の条件を履行したことを売主が買主に証明した書類。取引貨物の明細書ならびに計算書で,手形金額,保険価額算定の基礎となり,輸入貨...
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