精選版 日本国語大辞典 「室」の意味・読み・例文・類語
むろ【室】
しつ【室】
もろ【室】
むろ【室】
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
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風の入らない温暖な部屋をいう。古代には,家の中で,特に風を通さないように作られた寝室を室と呼んでいたことが〈新室寿(にいむろほぎ)〉(《古事記》)などのことばから知られるが,その実際の形式は不明である。また,地中にうがたれた穴蔵や山腹などに掘ってつくった岩屋も室と呼ばれた。しだいに室が住宅の部屋を示すことはなくなり,冬期に得られる氷を夏期まで保存させておく氷室(ひむろ)や醸造に不可欠の麴室(こうじむろ)などに室ということばが使われている。
氷室は具体的な形が残った遺跡としては発見されていないが,夏期に宮中へ毎日氷が供給された記録が残っている。それは土を3mほど掘り下げ,底や側壁に草を敷きその上に茅や粗朶(そだ)を並べ,氷を入れて土で覆ったもので,草と茅や粗朶の断熱層に守られて,冬期の氷を夏期まで保つことができた。麴室は土壁で塗られた建物の中に,周囲の壁から30cmから60cm離して四周を土壁で塗り,天井にも土を置いた囲いを作る。囲いの入口は1m幅くらいの狭い板戸で窓はない。外側の壁と囲いの間の空気が断熱層になって,一定の室内環境を保ち,酵母の育成を進める。麴室は,酒や醬油造りに欠くことのできない施設である。
執筆者:鈴木 充
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…家族にはじまる社会組織と住居形態との対応の議論はL.H.モーガンをもって嚆矢とし,なお論じ続けられている。たとえばモーガンの扱ったアメリカ・インディアンのイロコイ族のロングハウスでは,母系リネージで結ばれた合同家族が集居し,各夫婦単位が寝室を保有していた。より一般的に大型住居と母系集団との相関関係を説く者もいる。…
※「室」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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