新自由主義[経済思想](読み)しんじゆうしゅぎ[けいざいしそう](英語表記)neoliberalism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

新自由主義[経済思想]
しんじゆうしゅぎ[けいざいしそう]
neoliberalism

自由市場競争の価値を強調する経済思想,政策類型。ネオリベラリズムとも呼ばれる。1930年代以降の全体主義の台頭や,第2次世界大戦中から戦後にかけてとられた,市場経済に政府が積極的に関与するケインズ政策(→ケインズ学派)に反発し,個人の自由の尊厳を説き,政府の恣意的政策を排し,法のもとでの自由を強調する。恣意的,強権的権力の行使に反対する点ではアダム・スミスらの自由放任主義と共通するが,普遍的な法の支配の必要を説き,法秩序のもとでの自由を強調する点で自由放任主義と異なる。主要な論者はウォルター・オイケン,ウィルヘルム・レプケ,ルートウィヒ・フォン・ミーゼス,ゴットフリート・フォン・ハーバラー,フリードリヒ・フォン・ハイエク,ライオネル・チャールズ・ロビンズ,ミルトン・フリードマンなど。これら新自由主義に立つ研究者らは,1947年モンペルラン・ソサエティーを創設した。1970年代までに,先進諸国における経済的な停滞や公債の増大を背景に識者の間で自由主義への回帰が起こり,新自由主義が台頭した。ハイエクやフリードマンらの思想は,1979~90年のイギリスのサッチャー政権,1981~89年のアメリカ合衆国のレーガン政権の政策に強く影響を及ぼし(→サッチャリズムレーガノミクス),1990年代以降も新自由主義の思想と政策は世界的に影響力を増した。グローバル化の時代に世界経済が相互依存性を強めるのに伴い,新自由主義者は自由貿易と資本移動の自由を唱えている。しかし,2008年のリーマン・ショックは一部の経済学者や政治指導者らに影響を与え,新自由主義の主張を放棄させ,金融・銀行業に対する規制強化へと向かわせた。(→自由主義新保守主義マネタリズム

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

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