(読み)ソウ

デジタル大辞泉 「桑」の意味・読み・例文・類語

そう【桑】[漢字項目]

常用漢字] [音]ソウ(サウ)(呉)(漢) [訓]くわ
〈ソウ〉
植物の名。クワ。「桑園桑梓そうし桑田
(俗字「桒」の文字分析から)四八。「桑年
〈くわ(ぐわ)〉「桑畑桑原山桑
[補説]「桒」は俗字。
[難読]桑港サンフランシスコ

くわ〔くは〕【桑】

クワ科クワ属の落葉高木の総称ヤマグワカラクワロソウなどで、品種も多い。葉は卵形で先がとがり、切れ込みのあるものもある。雌雄異株が普通で、4月ごろ、淡黄緑色の小花が集まって咲く。実は複合果で、熟すと紫黒色になり、食べられる。養蚕用に栽培されるのは主にヤマグワ。根皮は薬用にもする。クワ科の双子葉植物は約1400種が熱帯を中心に分布コウゾイチジクインドゴムノキイヌビワなどが含まれる。 春 実=夏》「千曲川心あてなる―のみち/花蓑」
[類語]山桑

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精選版 日本国語大辞典 「桑」の意味・読み・例文・類語

くわくは【桑】

  1. 〘 名詞 〙
  2. クワ科クワ属の落葉高木または低木で、分類学上および養蚕上いくつかの種類や系統に分けられる。幹は直立して高さ一〇メートル以上になるものもあるが、栽培種では毎年枝条を刈るので低木状に見える。葉は柄をもち、卵形または卵状心臓形、先はとがり縁は鋸歯(きょし)状となり、両面に短毛を生じる。葉身が三~五裂することもある。雌雄異株または同株。春、葉腋(ようえき)に長さ約二センチメートルの黄緑色の花穂をたれる。果実はキイチゴの実に似ており、初め赤色でのち紫黒色に熟し甘味があり食べられる。葉は蚕の重要な飼料。樹皮は黄色染料に用いられ、またその繊維から布、ロープ、和紙などを製造し、材は床柱火鉢、鏡台、三味線の胴などに使われる。北半球の温帯、暖帯に約三五種分布する。栽培種は主として日本各地に野生するヤマグワ、中国山東省原産のロソウ、中国、朝鮮原産のカラヤマグワ(トウグワ)の三種を改良したもの。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「此の神の頭(かしら)の上(うへ)に蚕(かひこ)と桑(クワ)と生(な)れり」(出典:日本書紀(720)神代上(水戸本訓))
  3. 桑の木材。桑材。堅く、つやがあり、くるいが少ないので、家具細工物、あるいは床柱、床板などに用いる。
    1. [初出の実例]「桑脇息一脚」(出典:吾妻鏡‐文治五年(1189)一一月一八日)
  4. 桑の葉。蚕の飼料とする。
    1. [初出の実例]「囀りしあとりの声に時過ぎて桑飼ふ事を打ち忘れけり」(出典:為忠集(鎌倉中か))
  5. くわいろ(桑色)」の略。
  6. 紋所の名。窠(か)の紋のこと。「窠」の字音が「くゎ」であったところから、桑に当てたもの。

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普及版 字通 「桑」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

[字音] ソウ(サウ)
[字訓] くわ

[説文解字]

[字形] 象形
桑の葉の茂る形。その全体象形の字。〔説文〕六下に「(かひこ)のらふの木なり。(じやく)木に從ふ」という。は〔説文〕六下に「榑桑(ふさう)木なり」とあり、字はまた(若)木に作る。日が東方のこの木より昇るとされる神木であるが、桑とは関係がない。ただの卜文の字形は巫が手をかざして舞う形で、いくらか似たところがある。養蚕のことはすでに殷代に行われ、卜辞には蚕示(さんじ)(蚕の神)を祀ることがみえる。また大きな桑の葉の上に、蚕の繭(まゆ)作りの形をしるしたものもある。古く桑林は歌垣の場所でもあり、のち採桑女を主題とする文学が生まれた。

[訓義]
1. くわ、くわの木。
2. くわつむ、くわとる。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕桑 久波乃木(くはのき)〔和名抄〕桑 久波(くは)〔名義抄〕桑 クハフ(ノ)キ 〔字鏡集〕桑 クハ・クハノキ

[熟語]
桑域・桑陰・桑園・桑秧・桑海・桑間・桑眼・桑弓・桑戸桑弧・桑公桑穀・桑柴桑蚕・桑梓・桑主・桑薪・桑桑枢・桑竹・桑中桑疇・桑田・桑年・桑婦・桑封桑濮・桑麻・桑門・桑野桑楡・桑落・桑林
[下接語]
宜桑・給桑・窮桑・空桑・枯桑・公桑・耕桑・穀桑・采桑・柴桑・山桑・蚕桑・梓桑・種桑・秋桑・柔桑・春桑・女桑・神桑・親桑・田桑・農桑・扶桑・桑・老桑

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「桑」の解説

桑 (クワ)

学名:Morus bombycis
植物。クワ科の落葉高木,園芸植物,薬用植物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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