① クワ科クワ属の落葉高木または低木で、分類学上および養蚕上いくつかの種類や系統に分けられる。幹は直立して高さ一〇メートル以上になるものもあるが、栽培種では毎年枝条を刈るので低木状に見える。葉は柄をもち、卵形または卵状心臓形、先はとがり縁は鋸歯(きょし)状となり、両面に短毛を生じる。葉身が三~五裂することもある。雌雄異株または同株。春、葉腋(ようえき)に長さ約二センチメートルの黄緑色の花穂をたれる。果実はキイチゴの実に似ており、初め赤色でのち紫黒色に熟し甘味があり食べられる。葉は蚕の重要な飼料。樹皮は黄色染料に用いられ、またその繊維から布、ロープ、和紙などを製造し、材は床柱、火鉢、鏡台、三味線の胴などに使われる。北半球の温帯、暖帯に約三五種分布する。栽培種は主として日本各地に野生するヤマグワ、中国山東省原産のロソウ、中国、朝鮮原産のカラヤマグワ(トウグワ)の三種を改良したもの。《 季語・春 》