(読み)コウ

デジタル大辞泉 「構」の意味・読み・例文・類語

こう【構】[漢字項目]

[音]コウ(漢) [訓]かまえる かまう
学習漢字]5年
組み立てる。かまえる。「構成構想構造構築仮構虚構
組み立て。「機構結構
かこい。「構外構内遺構

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精選版 日本国語大辞典 「構」の意味・読み・例文・類語

かまえかまへ【構】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「かまえる(構)」の連用形の名詞化 ) 自然なものに対して、人為的につくられたものや、たくらんだこと。
  2. かまえること。つくり。結構。構造。かまい。
    1. [初出の実例]「白峯の御墓に尋参って拝奉れば、纔(わづかに)方形の構(カマヘ)を結置といへ共、荒廃の後修造の功もいたさず」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)下)
  3. つくったもの。邸宅。家屋敷。また、それを囲む一区画。囲い。とりで。
    1. [初出の実例]「蓬来宮のうちにあらたなるふみをつくりて、十二楼のかまへをかきあつめさせ給へるもしほ草」(出典:高倉院升遐記(1182))
  4. 工夫。計画。はかりごと。こしらえごと。工作。
    1. [初出の実例]「人よりはまめなるとさかしがる人しも、殊に人の思ひ到るまじき隈(くま)あるかまへよ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)浮舟)
  5. 用意。準備。したく。そなえ。
    1. [初出の実例]「『いささか人に知らるまじきかまへは、いかがすべき』と宣へば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)浮舟)
  6. 人の姿や態度。
    1. (イ) 恰好(かっこう)。様子。姿勢。身がまえ。
      1. [初出の実例]「迯べき構へをし給」(出典:打聞集(1134頃)慈覚大師入唐間事)
    2. (ロ) 身体の部分のつくり。特に、顔かたち。
      1. [初出の実例]「此あたりに名医あって、顔の構(かま)へも大方は直ったとの事」(出典:歌舞伎・独道中五十三駅(1827)四幕)
    3. (ハ) 武道での基本姿勢。体や精神のそなえ。「正眼の構え」
  7. かまい(構)
    1. [初出の実例]「いつぞや俺が構への時、言ひ渡しの役人に、瓜を二つのあいつが面付(つらつき)」(出典:歌舞伎・小袖曾我薊色縫(十六夜清心)(1859)序幕)
  8. 漢字の部首の名称。「門がまえ」「国がまえ」など。
  9. 将棋で、ある陣形を作ること。また、その陣形。

かまいかまひ【構】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「かまう(構)」の連用形の名詞化 )
  2. かまうこと。かかわること。こだわること。気を使うこと。関係。世話。骨折り。おかまい。
    1. [初出の実例]「さきざきまでかまふといふ事はわたくしなり。かまひあるは宗庿(そうべう)の臣一品成べし」(出典:仮名草子・清水物語(1638)下)
  3. さしつかえ。故障。邪魔
    1. [初出の実例]「此折かみを見るかほにて、中通りの折目をもかまひなくひろげて」(出典:寒川入道筆記(1613頃)愚痴文盲者口状之事)
  4. 手落ちつみ。とが。違法。また、違法としてのとがめ。おかまい。
    1. [初出の実例]「一町人下人を手討之事、尤主人には搆無之」(出典:御当家令条‐二二・町奉行衆役人手前之扣(1663頃か))
  5. 江戸時代の刑罰の一つ。罪状によって、範囲を定め、その居住地から追放するもの。また、特定の職業につくことを禁ずること。公刑として行なわれる場合と、私刑として行なわれる場合がある。一宗構、一派構、神職構、奉公構の類。おかまい。かまえ。〔禁令考‐前集・第一・巻三・寛永九年(1632)九月二九日〕
    1. [初出の実例]「今の世にかまひといひて、一代奉公ををさへて先々をふせぎて困窮せしむることは、或は死罪、流罪の罪につぐ者なれば」(出典:集義和書(1676頃)一四)
  6. かまえ(構)
    1. [初出の実例]「台場の堅固なるは、世界中第一番ともいふべき構(カマ)ひにして」(出典:西洋道中膝栗毛(1874‐76)〈総生寛〉一二)

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普及版 字通 「構」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 14画

(旧字)
14画

(異体字)
13画

[字音] コウ
[字訓] かまえる・しくむ・つくる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(こう)。は組紐を結び合わせる形で、象徴的な方法で婚儀を示す。組み合わせる意。〔説文〕六上に「蓋(おほ)ふなり」とあって、屋を架構することをいう。木を組み合わせること、それよりすべてものを構成することをいう。の異文。

[訓義]
1. かまえる、くむ、くみあわせる。
2. しくむ、つくる、つくりあげる、なる。
3. はかる、ことをおこす、しかける。
4. と通じ、あう。

[古辞書の訓]
名義抄 カマフ 〔字鏡集〕 カマフ・オホフ・トドム・アフ

[語系]
koは同声。桷keokも同系の語で、たるき。屋架を構成する木である。

[熟語]
構怨・構火・構駕・構会・構害・構陥・構毀・構逆・構求・構・構隙・構抉・構結・構殺・構山・構思・構死・構刺・構賞・構情・構譖・構成・構精・構扇・構造・構築・構邸・構綴・構図・構屯・構難・構文・構兵・構木・構乱・構立
[下接語]
遺構・雲構・仮構・架構・禍構・改構・開構・解構・危構・奇構・基構・機構・巨構・虚構・結構・巧構・交構・宏構・高構・讒構・修構・重構・宿構・成構・素構・粗構・造構・築構・締構・堂構・丕構・誣構・門構・余構・

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改訂新版 世界大百科事典 「構」の意味・わかりやすい解説

構 (かまい)

江戸時代の一種の追放刑。〈かまえ〉とも読む。特定地域から排除する場合と,特定団体・社会関係から排除する場合とがあった。日本国外追放を日本国構と称したことなどは前者の例であるが,後期幕府法においては,刑名はおもに追放,払(はらい)の語を用い,立入り,居住制限区域をとくに御構場所(おかまいばしよ)と呼んでいた。一方団体・社会関係からの排除として《公事方御定書》には,僧尼閏刑で追院,退院より重い一宗構(所属宗旨からの追放),および一派構(宗旨中の所属宗派からの追放)の刑名がある。さらに武家家中に科する刑罰的処分に奉公構があった。これは家臣が主従関係を離れる際,将来他家へ召し抱えられることを禁ずるもので,1635年(寛永12)の武家諸法度および諸士法度によって幕府法上も保障された。以後主家からの出奔武士にとって容易なことではなくなった。近代に至って,追放刑の廃止,封建的身分制度の廃止により構の概念も消滅したが,1887年の保安条例は,内務大臣山県有朋が,民権家に対する〈江戸御構〉として構想した立法であった。
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動植物名よみかた辞典 普及版 「構」の解説

構 (カジノキ・カジ;カミノキ)

学名Broussonetia papyrifera
植物。クワ科の落葉小高木・高木,薬用植物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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