深川(東京都)(読み)ふかがわ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「深川(東京都)」の意味・わかりやすい解説

深川(東京都)
ふかがわ

東京都江東区(こうとうく)の西部にある町名であるが、広義には江東区の西半分(旧、深川区)をさす。1947年(昭和22)旧深川、城東両区が合併して江東区となった。慶長(けいちょう)年間(1596~1615)に摂津(せっつ)の人深川八郎右衛門(ふかがわはちろうえもん)が開拓したというが、『寛永(かんえい)江戸図』に村名はない。明暦(めいれき)の大火(1657)後に本所(ほんじょ)とともに計画的に開発されて、周辺の材木置き場(木場(きば))をここに集中移転させて以来発展した。江戸時代には木材の集散地として深川木場が繁栄し、また永代寺、富岡八幡宮(はちまんぐう)の門前町として成長した。埋立ての伸展に伴い岡場所も多くでき、また深川芸者はその方角により辰巳(たつみ)芸者ともよばれた。水運の便に恵まれていたため、明治になって工場地帯として発展し、現在も都内有数の工業地区で、金属工業、重工業、化学工業の工場地帯を形成している。深川木場は夢の島、新木場へ移転し、いまは町名を残すのみになっている。

[菊池万雄]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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