(読み)ロウ

デジタル大辞泉 「狼」の意味・読み・例文・類語

ろう【狼】[漢字項目]

人名用漢字] [音]ロウラウ)(呉)(漢) [訓]おおかみ
動物の名。オオカミ。「狼藉ろうぜき狼狽ろうばい餓狼豺狼さいろう
星の名。シリウス。「天狼星
難読狼狽うろたえる狼煙のろし

おお‐かみ〔おほ‐〕【×狼】

《「大神」の意》食肉目イヌ科の哺乳類。中形で、ふんが長く、耳は立ち、先がとがり、尾が太い。ヨーロッパ・アジア・北アメリカに分布。春から夏にかけて家族単位で暮らし、冬には群れをつくって共同で狩りをし、大形のシカなども襲う。亜種ヨーロッパオオカミシンリンオオカミ別種に絶滅したニホンオオカミなどがある。 冬》日本狼
優しそうに装っているが、実際は恐ろしい人。「送り
《「狼に衣」のことわざから》破戒僧
「―へ犬のついてる御殿山」〈柳多留・二四〉

おお‐かめ〔おほ‐〕【×狼】

おおかみ」の音変化。
「―モ羊モ水ヲ飲ムニ」〈天草本伊曽保・狼と羊〉

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精選版 日本国語大辞典 「狼」の意味・読み・例文・類語

おお‐かみおほ‥【狼】

  1. 〘 名詞 〙
  2. イヌ科の哺乳類。大きさは大型のイヌくらい。耳は立ち、尾は長く、ふさふさした毛がある。体毛は灰茶色、時に白色、黒色。群れをなし、大形のシカなどを食べるほか、冬には家畜を襲うこともある。平原や林の岩場などにすみ、ほえ声は遠くまで響く。ヨーロッパ、アジア、北アメリカに分布。タイリクオオカミマダラオオカミシロオオカミなどともいう。三二亜種があり、日本にはニホンオオカミ、エゾオオカミの二亜種がいたが明治時代に絶滅したとされている。おおくちのまがみ。やまいぬ。おおかめ。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「陛下譬へば豺狼(オホカミ)に異(け)なること無し」(出典:日本書紀(720)雄略五年二月(前田本訓))
  3. ( 「狼に衣」のことわざから ) うわべはやさしくよそおっていて実は凶悪な人。特に、破戒僧の異称。
    1. [初出の実例]「衣着た狼女ばかりくひ」(出典:雑俳・川傍柳(1780‐83)三)
  4. おくりおおかみ(送狼)」の略。
    1. [初出の実例]「狼が送れば狸先へたち」(出典:雑俳・柳多留拾遺(1801)巻一四上)

狼の補助注記

は昔から、「山神の使い」として敬われ、埼玉県三峰神社、静岡県山住神社など各地の神社に像があり、「御犬」と呼ばれる姿を描いた守札が出されている。この守札を門口に貼っておくと、盗難・災難よけになり、田畑に竹などに差しておくと鳥獣が荒さないという。なお、中世から「おおかめ」と呼ばれることも多かった。


お‐いぬ【狼】

  1. 〘 名詞 〙 動物「おおかみ(狼)」の異名
    1. [初出の実例]「慈覚大師のたましゐをこめて作たまへは、此ひかりにおちて、おいぬ(〈注〉狼をいふ)、うちなの、ゆめ此邑に入来す」(出典:菅江真澄遊覧記(1784‐1809))

おお‐かめおほ‥【狼】

  1. 〘 名詞 〙 「おおかみ(狼)」の変化した語。〔法華経音訓(1386)〕
    1. [初出の実例]「虎(とら)(オホカメ)のやうな主人も」(出典:談義本当世下手談義(1752)三)

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普及版 字通 「狼」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 10画

[字音] ロウ(ラウ)
[字訓] おおかみ・みだれる・あらい

[説文解字]
[甲骨文]

[字形] 形声
声符は良(りよう)。〔説文〕十上に「犬に似て頭白頰(はくけふ)、高廣後なり」という。その鳴く声は小児に似ているが、暴虐の甚だしいものとして恐れられた。〔左伝、宣四年〕「是の子や、熊虎(ゆうこ)の、豺狼の聲なり。さずんば必ず敖(じやくがう)氏を滅ぼさん」とみえる。狼(ろうぜき)・狼狽(ろうばい)はいずれも狼とは関係がなく、仮借の語。良は風箱で穀の良否をよりわける器。反覆してはげしく動かすものであるから、繆戻(びゆうれい)の意を含む語に用いることがある。狼戻(ろうれい)は双声の連語。〔広雅、釈詁三〕に「很(こん)なり」、〔釈詁四〕に「(れい)なり」とあり、繆戻の意に用いる。

[訓義]
1. おおかみ。
2. みだれる、あわてる。
3. あらい、すさむ、もとる。
4. 天狼。星の名。

[古辞書の訓]
名義抄〕狼狽 アハツ/豺狼 ノオホカミ。下、ミダリガハシ 〔字鏡集〕狼 オホカミ・メオホカミ

[熟語]
狼悪狼煙・狼火・狼窩・狼鬼・狼裘・狼拠・狼顧・狼虎・狼・狼伉・狼吼・狼抗・狼毫・狼・狼子・狼摯・狼疾・狼食・狼心・狼性・狼噬・狼・狼籍・狼貪・狼頭・狼纛・狼獰・狼毒・狼憊・狼狽・狼跋・狼糞・狼忙・狼望・狼僕・狼奔・狼猛・狼戻
[下接語]
餓狼・群狼・狼・虎狼・豺狼・貪狼・天狼・白狼・野狼・羊狼・老狼

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

デジタル大辞泉プラス 「狼」の解説

1955年公開の日本映画。監督・脚本:新藤兼人、撮影:伊藤武夫。出演:乙羽信子、浜村純、殿山泰司、菅井一郎、高杉早苗、信欣三、斎藤美和ほか。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「狼」の解説

狼 (オオカミ)

学名:Canis lupus
動物。イヌ科の哺乳動物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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