矛・戈・鉾・鋒・戟(読み)ほこ

精選版 日本国語大辞典 「矛・戈・鉾・鋒・戟」の意味・読み・例文・類語

ほこ【矛・戈・鉾・鋒・戟】

〘名〙
① 敵を突き刺すのに用いる長柄の武器。戦闘用の兵仗と装飾用の儀仗とがある。兵仗は平安時代の末から長刀(なぎなた)、鎌倉時代の末から鑓(やり)に代わり、儀仗は検非違使の矛をはじめ神事芸能の採物(とりもの)祭祀の儀場の威容を示すものとなった。
書紀(720)舒明即位前「亦、大臣の遣はせる群卿は従来(もとより)厳矛〈厳矛、此れをば伊箇之保虚(いかしホコ)と云ふ〉の中取りもてる事の如くにして奏請(ものまう)す人等(とも)なり」
※米沢本沙石集(1283)二「一人は鉾(ホコ)を以て付きつらぬきて」 〔書経‐武成〕
② 枝についたままの果実。あるいは、果実などを串刺(くしざし)にした形をいうか。
※書紀(720)垂仁後紀(熱田本訓)「則ち齎(もてあか)る物は非時の香菓八竿(やホコ)八縵(やかけ)なり」
③ ①をかたどり、刃をつけず、装飾を施すなどしたもの。神事や祭礼、特に御霊会(ごりょうえ)に用いる。また、それを立てた山車(だし)。特に、京都の祇園会に巡行する山鉾(やまぼこ)
謡曲・丹後物狂(1430頃)「簓(ささら)八撥なんどと申すことは、あの鉾のもと囃す京童の芸でこそ候へ」
弓幹(ゆがら)末弭(うらはず)に近い先端部をいう。
源平盛衰記(14C前)四一「波の荒き所へ弓のほこを指し入て」
⑤ 「たかほこ(鷹槊)」の略。
尺素往来(1439‐64)「日来所繋置鷹、〈略〉倶解条於架(ほこ)。同収旋於
陰茎をいう。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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