知らせる(読み)シラセル

デジタル大辞泉 「知らせる」の意味・読み・例文・類語

しら・せる【知らせる/報せる】

[動サ下一][文]しら・す[サ下二]
他の人が知るようにする。言葉やその他の手段で伝える。「手紙で無事を―・せる」「事件を―・せる」「虫が―・せる」
身にしみて分からせる。思い知らせる。「この恨みを―・せずにおくものか」
[用法]しらせる・つげる――「時を知らせる(告げる)鐘の音」など、知るようにする意では、相通じて用いられる。◇「知らせる」は、「電話で事故を知らせる」のように一方的な伝達受け手意志を問題としないこともあるが、知りたいと思っている相手に伝える場合にも用いられる。「心配していた家族に無事を知らせた」「近況を知らせてください」など。◇「告げる」は情報よりも意志とか命令などを相手に伝える意が強い。この場合相手は個人でも、不特定の人々でもよい。「三日以内に立ち退くように告げた」「いとまを告げる」◇類似の語に「報ずる」がある。「報ずる」は、ふつう多くの人々に、何らかの情報を伝える場合に用いる。「ニュース首相外遊を報じた」
[類語]告げる伝える報ずる宣する知らす触れる言い送る申し送る申し伝える申し越す申し渡す言い渡す達する伝達する通知する連絡する通告する通達する下達する令達する口達する通ずるコミュニケートする取り次ぐ伝言する話す

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「知らせる」の意味・読み・例文・類語

しら‐・せる【知せる・報せる・領せる】

  1. 〘 他動詞 サ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]しら・す 〘 他動詞 サ行下二段活用 〙 ( 動詞「しる(知)」に使役尊敬助動詞「せる(す)」の付いてできたもの )
  2. [ 一 ] 「せる(す)」が使役の意の場合。
    1. 他の人が知るようにする。物事の状態、出来事、考えなどを他に伝える。告げ聞かせる。通知する。しらす。
      1. [初出の実例]「常陸さし行かむ雁もが吾が恋を記(しる)して付けて妹に志良世(シラセ)む」(出典万葉集(8C後)二〇・四三六六)
      2. 「われにはけしきしらする人のなきなめり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)匂宮)
    2. 経験させる。
      1. [初出の実例]「袖の色のこく成りぬればわが恋をしらせそめつる涙なりけり」(出典:西宮左大臣集(982頃))
    3. ( 「しる」は、治める、領ずるの意 ) 治めさせる。また、家などを相続させる。しらす。
      1. [初出の実例]「嫡子なりける者の、世間賢く貧しからぬままに、此の所領を買て父にしらせける事度々に成ぬ」(出典:米沢本沙石集(1283)三)
  3. [ 二 ] 「せる(す)」が敬意を強める意の場合。( 「しらせたまふ」の形で用いて ) お治めになる。また、領有なさる。御相続になる。
    1. [初出の実例]「一条殿をば、今は女御こそはしらせ給へ」(出典:栄花物語(1028‐92頃)見はてぬ夢)

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