達する(読み)タッスル

デジタル大辞泉 「達する」の意味・読み・例文・類語

たっ・する【達する】

[動サ変][文]たっ・す[サ変]

㋐ある場所目的地に行きつく。至る。「登山隊が山頂に―・する」
物事の内容が伝わり届く。「噂が教師の耳にも―・する」
㋒ある数値になる。一定の数値に届く。「被害は二億円にも―・した」「募金が目標額に―・する」
㋓ある状態程度になる。「世界的水準に―・する」
学問技芸に深く通じる。熟達する。「一芸に―・した人」
物事をなしとげる。はたす。達成する。「望みを―・する」
告げ知らせる。伝える。わからせる。「命令を―・する」
[類語](1及ぶ上る/(4伝える知らせる報ずる告げる言い送る申し送る申し伝える申し越す申し渡す言い渡す伝達する通知する連絡する通告する通達する下達する令達する口達する通ずるコミュニケートする取り次ぐ伝言する宣する知らす触れる話す

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精選版 日本国語大辞典 「達する」の意味・読み・例文・類語

たっ‐・する【達】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]たっ・す 〘 自動詞 サ行変 〙
    1. 対象にとどく。及ぶ。
      1. (イ) 人や物が、離れた他のある場所にまでいたる。
        1. [初出の実例]「予、彼郷に、達するときは、速かに、音信して」(出典:小学読本(1873)〈田中義廉〉二)
        2. 「君若し一村に達(タッ)するの路を指示し玉あらば」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉一)
      2. (ロ) 評判、知らせ、気持などが他のある人にとどく。伝わる。
        1. [初出の実例]「便宜をうかがひ高聞に達せしめ」(出典:平家物語(13C前)一一)
        2. 「賢才の誉(ほまれ)、兼てより叡聞に達(タッ)せしかば」(出典:太平記(14C後)一一)
      3. (ハ) 望みがかなう。目的が成就する。
        1. [初出の実例]「今汝が所望達せば」(出典:平家物語(13C前)三)
      4. (ニ) ある時になる。
        1. [初出の実例]「各七日ごとに、二夜は暁に達するまで眠らずして」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉四)
      5. (ホ) 程度が、ある限度にまで及ぶ。
        1. [初出の実例]「吸水管は〈略〉これより長れば、吸力達せず」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一〇)
    2. 程度が、究極に及ぶ。
      1. (イ) 最高の境地にいたる。また、深く通じる。広く知り及ぶ。
        1. [初出の実例]「利仁、心猛くして其の道に達せる者にて」(出典:今昔物語集(1120頃か)一四)
        2. 「管絃の道に達し、才芸世に勝れて御坐しければ」(出典:屋代本平家(13C前)三)
      2. (ロ) 完全にその状態になる。多く「達して」「達したる」の形で、すっかり、まったく、完全な、などの意で用いられる。
        1. [初出の実例]「シシタル モノラ ヲ ヨミガエシ タマワバ、taxxite(タッシテ) シンズ ベシ ト イエリ」(出典:サントスの御作業の内抜書(1591)一)
    3. 官位が高くなる。
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]たっ・す 〘 他動詞 サ行変 〙
    1. 対象にとどかせる。及ぼす。知らせ、命令、気持などを他のある人に伝える。
      1. [初出の実例]「軍士を得て後、案内を達せんとするところに」(出典:平家物語(13C前)四)
    2. 目的、望みなどをとげる。達成する。
      1. [初出の実例]「命あれば前途を達(タッス)ること、異国本朝に多かりき」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)下)
      2. 「義仲去じ年の秋、宿意を達せんがために」(出典:平家物語(13C前)七)
    3. 物事を広く見通す。達観する。
      1. [初出の実例]「ふかく罪福の相を達(タッ)(〈注〉サトリ)して、あまねく十方をてらす」(出典:妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)五)

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